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人生ってこんなもん?他人事な百年終えたら、最強神だったと判明しました〜お疲れ元人間はかつて愛したもふもふと怠惰を謳歌したい〜  作者: 瑠璃玉ねむ
【第1章】天界チュートリアル

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第3話:葉露凪の人生と正体

 手違い

 手違いねぇ…

 その言葉を聞いた時、真っ先に腑に落ちたことがあった。


 私が中学生くらいの頃だっただろうか。母が、いつものようにヒステリーを起こした際に放った一言だった。


 「3人目なんて想定外だったのよ!!」


 3人兄妹の末っ子の私に。

 いや、知らんがな…と当時は内心ドン引きした。


 母は身体が弱く、父は転勤族で仕事も忙しく、家にあまりいなかった。母は見知らぬ土地で、ワンオペで子供を3人育てていた。

 育児ノイローゼってやつだろう———

 自分がつらい分だけ、1番幼く反抗しない私によく当たり散らした。


 幼少期から繰り返されたが、私には申し訳なさそうに笑顔を浮かべるしかできなかった。


 母の地雷を踏まないように、常に機嫌や顔色を窺い、息を潜めて円満な家族を保とうと道化(ピエロ)のように努める日々。


 母は私につらく当たった日は、寝ている私のところに来て、深いため息と共に私の頭を優しく撫でた。


 彼女なりの懺悔と後悔。


 自己嫌悪で壊れてしまいそうなことが、彼女の手のひらから伝わり、幼いながらにも理解できてしまった。


 「まぁそりゃ八つ当たりもしたくなるわなぁ」と思っていたが、大人になってから考えると自分の機嫌は自分でとってほしいものだった。


 それでも、サンドバッグにされる私の痛みは、彼女にぶつけることもできず、自分の中で処理していくしかなかった。

 そうこうしているうちに、私は心を守るために離人症的なものになってしまったのかと思っていた。


 診断を受けたわけではない。そこまでする興味もなかったし。


 いや通りでねぇ…完璧主義で神経質、きっちりした彼女が『想定外の子』なんておかしいと思ったんだ。


 「———なるほどね…。あの両親の苦悩も、私の異物感も全部ミスだったからってこと?」


 怒るでもなく、泣くでもなく、ただそう静かに問いかける私に、4人はただただ、ひざまずき、うつむいていた。


 沈黙は肯定。



 あの絶望的に不幸というわけでもなく、


 かといって満ち足りた人生でもない、


 他人を信用することも心を開くこともなく、


 何をしても希薄な現実味、


 周囲との残酷なまでの温度差、


 いつも俯瞰した自分が、他人事の様に自分を見ている地に足のつかない感覚


 あの「葉露(はづゆ) 凪(なぎ)」としての100年が手違いか。


 私が自立してからの母は、とても穏やかな人だった。私の家族も巻き添えの被害者とは気の毒だ。


 まぁ1番の被害者は私だけどね?


 そして死後の今、本来儀式が必要なはずなのに朝礼中に現れてしまった、と。


 これもまた、手違いということはないのか?


 いったい私は何なんだ?


 「凪は凪だよ!捨てられたぼくたちを助けてくれたでしょ!」


 アッシュの言葉が脳内に響く。たぬきの尻尾も降りてきた。

 そうだ、生前に愛するこの子たちに出会い、そして再会できたことは確かだ。


 抱きしめた尻尾の温もりが確かな証拠だ。私は尻尾に顔を擦り寄せる。

 それにしてもいい毛並みだな。何食べてんだろ。



 なんだかもう、なる様にしかならんという気がしてきた。


 「ちょっと、どこかで詳しい話を聞けますか?ここは広すぎて落ち着かないし」


 そう言うと、金髪の筋肉が「それでは1番現状がわかりやすい外の応接間に行きましょう」と答え、案内をしてくれることとなった。



 そして私は今、ずーっと螺旋の階段を降りている。


 エレベーターはないのか?天界なんだし、転移とかあったっていい。歩くのがめんどくさくなってきた。


 あの場で話を聞けばよかったかなぁと考えていると、巨大なドンに咥えて持ち上げられた。


 「ドンさんや、宙ぶらりんはちょっとつらいよ」と伝えると、ドンはアッシュの背中にポイっと私を乗せた。


 おぉ!快適快適ぃ!!ふかふかだ…これは冬毛だな…季節があるのか?


 というか私たちはどれだけ高いところにいたんだろう。


 朝礼ってことはこの階段を上り下りして定期的に集まってるのかな…


 うわ!だるっ!!想像しただけでサボりたくなる。


 そうこうしているうちに、外に出た。今は夕暮れ時のようだ。


 私はただただ、目の前の光景に圧倒された。


 私たちは、とんでもなく大きな木の中にいたようだ。しかも、その木は透き通っている。

 柔らかいクリスタルとでもいうのだろうか、見たことのない素材だった。


 枝葉は風に優しくなびいている。

 頑丈な根が張り巡らされ、一体どこまで伸びているのか見当がつかなかった。


 夕日に照らされ、煌めく巨木はどんな言葉を使っても描写できない。


 湖の真ん中に丘のような島ができていて、そこにこの巨木があるようだ。


 水面に夕陽が反射して、巨木が揺らめいて見える。



 どうやら本当に私は、とんでもないところに来てしまったらしい。



 「怠惰様、こちらでございます」



 「あ、はい」と我に返る。


 お?——怠惰様って言った?

 たいだってあの怠惰?なまけもの?



 え?上位の神って話は?



 聞いてたんと違う!






読んでくださりありがとうございます!

凪の暗い過去、それすらどこか他人事に捉えてしまっていたけど、エレベーターがないのは許せないのは怠惰の神ならではかも?

もし『ここが好き』『この場面笑った』みたいなのがあれば教えてください!

ブックマークしておくと更新通知が届くので、続きが気になってくれた方はぜひ。

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