第22話:4柱のインフラ整備
「あらやだ、びしょ濡れじゃない」
そう言って風神様が風を起こしてくれた。
寒い…冷たい…温風は出せんのか…
そういえば炎神様の周りだけ空気が暖かい気がする。
「炎神様、ちょっとここに、あっち向いて立ってもらってもらえますか?」
私は風神様の前に炎神様を垂直に、2柱がT字になる様な形に立たせた。
少し離れたところに私が立つと、温風が来る様になった。
あぁそう、これこれ。程よく暖かい風。乾かすならこうでなければ…
「腑抜けた面をしているが、何が緊急事態なんだ?」
地神様がど直球に聞いてきた。
「カピバラ温泉を作るよ!」
水神様が答えた。
この神、緊急で呼び出しておいて、まぬけな結論だけ言ったぞ。
他の3柱はため息をついた。
「またいつものこいつの暴走か…」と誰かがつぶやいたのが聞こえた。
しょうがないので、私が順を追って説明する。
邪悪な落魂を活用して浄化した水を温めたいこと、あわよくば温泉を作りたいこと、その過程でカピバラが出てきたこと、緊急事態ではないが、なる早がいいこと———
「そんなこんなで、地神様と炎神様で、ここの地下深くにミニマグマ作れません?水神様が水脈引っ張ってきてくれたら温泉湧くじゃないですか。
そしてその地熱を活用して、浄化水も温められるという算段なんですけど、どうでしょ?」
「………私はなんでつれて来られたの…?」
風神様がまっすぐ私を見て言った。
私はそっと目を逸らし、「…この神が『ついでに捕まえた』って言ってました」と水神様を指差す。
「仲間はずれは良くないかなって…」と水神様も目を逸らす。
風神様が諦めたようにため息をついた。
私は悪くない。
「水、溜まりましたよー」
スイが空気を読まずに言う。
助かった!色々な意味で!
私は試しにトイレを流しに行く。
水流れたー!トイレ問題は解決だ。あとはセントラルヒーティングと温泉…
「それで…できますかね…?」と地神様と炎神様に聞く。
「できないことはないが、その家を巡るお湯?なら、『あれ』の下を通る水を中心に温めればいいんじゃないか?あれは確か火をくべておくものだろう?」
炎神様が指差した先には、床が窪んだ囲炉裏がある。梁から鍋などが吊るせる様になっている。
祖母が亡くなって以来使っていない。もはやただの穴である。
いっそおかき用のホットスポットにしようかと、重点的にパイプを巡らしてはいる。
「でも、薪とか定期的に焚べないといけないんでしょう…?」
でも、お高いんでしょう?みたいな言い方になってしまった。
「いや、俺には消えない炎をつけることができる。囲炉裏の火がつきっぱなしでいいならできるぞ」
なんと!
どうせここは永遠に寒いんだ。素直につけてもらうことにした。
「ロウくん、ちょっと外の木を切って、薪作ってきてくれる?永遠に燃えるらしいからちょっとでいい」
そう言うと、ロウくんが風神様に声をかけて一緒に出て行った。
「あとは温泉か…」と地神様が言う。
「あとカピバラもね…」と水神様が続く。
「わざわざマグマまで作らなくても、焼けた岩を地下の穴に置いておいて、その上を水脈が通ればいいんじゃないか?この家の仕組みみたいに。
ただ、囲炉裏と違って流石に規模が大きいから定期的に炎を強化する必要はあるな。
そこはまぁ眷属を派遣しよう」
炎神様が人差し指だけ立てて、まるで暇つぶしにバスケットボールでも回すかのように、指の上に火をつけながら、提案しとくれた。
地神様も、「地下に穴を空けるくらいならすぐできるぞ。水を通すとなると、地盤が緩むだろうからそこはうちからも眷属を定期的に派遣しよう」と続く。
「「その代わり」」
2柱の声が揃った。
「あの神力水を定期的に作って欲しい」
炎神様がどこか遠慮がちに言った。
神力水…あの規律の眷属を作った時のやつだよね…
「あのただの水…?なにゆえ…?」
「実は怠惰が残していった神力水を、あの後、俺たち4柱と眷属たちで飲んだんだ。
そしたらめちゃくちゃうまくてな…飲み明かしたんだ。
昨日も残った分をみんなで飲んでいたら尽きてしまってな…」
地神様が残念そうに打ち明けた。
私が野宿してる間に、湖にぶち撒けておいてって言った神力水で宴会してたんか!
「私にはただの水の味だったんだけどなぁ…まぁ神力水で派遣してくれるなら全然良いですけど…そういえば今日はダイチとエンは?」
「あいつらは、えーっと人間文化だとなんて言うんだったかな…あ、そう、二日酔いみたいなもんだ!
ちょっと強いのを飲みすぎたんだろうな。俺にはちょうどよかったけど」
炎神様の酒強い自慢か?じゃあ今ごろきっとフウも二日酔いなんだろうなぁ…
「スイは平気なの?」
「僕もダウンしてたんですけど、しらたまちゃんの呼び出しとあっては行かないわけには参りませんので!そして湖に落ちてスッキリしました」
しらたまからの呼び出しじゃなくて、私からの呼び出しなんだけどな!
そこに、風神様とロウくんが戻ってきた。風神様が、明らかに疲れている。何があったんだ…
「ロウくん、風神様に何したの」
「ひま…お手隙の様に見受けましたので、かまいたちを起こして、木を切って薪状態まで加工していただきました。もちろん、薪は乾燥も。
薪は囲炉裏に置いておきますね。これだけあれば炎神様に木灰も含めて作ってもらえるでしょう」
ロウくん…神まで使う、できる狼!というか本人は薪を運ぶしかしてない!
風神様も神力水飲み明かしたんだし、等価交換ということで…
「あのロウとかいう子、手強いわ…」
ハクちゃんが気の毒そうな顔で、そっと空中の1番大きな金魚を捕まえて、風神様に渡す。
いや、クッションじゃないよ?
その間も、地と炎神様の話し合いは進んでおり、元となる岩を用意するため、岩の神を呼ぼうということになっていた。
岩の神は地神様の傘下らしく、呼べばすぐ来るらしい。
「犬たちに迎えに行ってもらった方がいいですか?」と聞くと、その必要はないと言われた。
地神様は、庭にある岩を見て「ちょうどいい」と言い、思いっきり岩をビンタした。
すると、岩からふわっと左頬を押さえた神が具現化した。
「お呼びでしょうか…」
ビンタがクリーンヒットしてるー!
読んでいただきありがとうございます!
ロウくは風神様に何をしたんでしょうねぇ…
もし『このキャラ好き』『この場面笑った』みたいなものがあればぜひ教えてください。
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