第21話:スイ召喚!
トイレか…
「実は前世の記憶で作ったから、うちにもお風呂とトイレ自体はあるんだよね。
ちょっとそこで実験してからでも良い?」
「トイレだけでなくてお風呂まで!?待ちます!!でも早くしてくださいね!!」と咲さんが目を輝かせた。
とは言ったものの…とりあえずスイを呼ぼう。
私はメモ帳に手紙を書く。
「えーっと『ちょっと来て。なる早』…と。しらたまー!ちょっとこれでスイ呼んできてー!」
しらたまは小さな姿で細い枝に止まっていたが、すぐに来てくれた。
「ん!」といってメモ帳を咥え、ずもももももっと大きくなると飛んでいった。
スイからは、御神木様周りの湖に手紙を浮かべれば伝わると言われている。
とりあえず私とおかきは、もともと家に着いていた浄化槽に、結界を張り、浄化用スライムを作って放り込む。
そして、浄化された水がトイレの貯水タンクに組み上がる様にポンプをつけた。
それとは別で、私はセントラルヒーティングという手法を試そうとしていた。
昔、他の文化圏なら私も適応できるのでは?と、留学した寒い国にあったものだ。
お湯を溜め、そのお湯が張り巡らされたパイプを通り、家中を温めてくれるのだが、とても便利だった。
エアコンって掃除がめんどくさいし。
スライムが完全浄化した水を、トイレを流す水と、セントラルヒーティング用の水としてぐるぐる使いまわしたい。
エコという名の、水汲み作業拒否!
そんなことを考えていると、スイの首根っこを掴んだしらたまが飛んで来て、スイがすぐ隣の湖に落とされた。
思っていたよりだいぶ早かった。
「しらたま!ありがとう!」ぼふん!とおなかにダイブする。
スイが湖から這い上がってくると同時に、湖の水面がバシャーンっ!と揺れて水神様も現れた。
「来ちゃったっ!」と水神様が言う
「しらたまちゃんが『僕を』呼んだので、全てを置いて向かおうとしたのですが、主様も行くって聞かなくて…
湖にちょうど落としてくれたのでお呼びしました。」
暇なんか?
「いやーまさか神様まで来ていただいて…完全に雑用なんですけど…」
私はこの家の構造を話し、全体に行き渡るくらい水を入れて欲しいと頼んだ。
水神コンビに、栓をしていないお風呂から水を注ぎ続けてもらった。水を出す勢いと排水のスピードが合ってないので浴槽に水が溜まっていく。
小さくなったムーンとたぬきが脚元に代わる代わる様子を見に来て、その度に水を出す手が止まるので、出入り禁止にした。
「問題は加熱なんですけど、なにか良い方法あります?」とついでに相談してみた。
スイが、神力で人間界の手法で加熱はできないのかと聞いてきたが、あまり神力頼りにしたくない。
加熱ってなんか電気代かかったし、神力も食いそうなんだよなぁ…
いざと言うときに、有無を言わさぬ力を蓄えておかなければ…
この天界は人間のお金と同様、神力でぶん殴れば大半のことは片付きそうだし。
水神様が閃いた。
「あ!温泉引っ張って来ればいいんじゃない!?」
なんだと…!?
「それって水神様だけでも出来るんですか!?」
元人間としては『温泉』と聞くと、思わず飛びついてしまう。
「いやぁ…炎神と地神がいないと難しいかなぁ…」
「そっかぁ…残念だなぁ…カピバラの番頭がいる温泉とか、作りたかったなぁ。かわいいだろうなぁ…カピバラたち」チラッチラッ
「なっ!ちょっと行ってくる!」と言って、風呂に溜まっていた水が吹き飛んだと同時にいなくなった。
「ねぇスイ、水神様ってどうしても水をぶちまけないと転移できないの?」
ずぶ濡れの私が聞くと、同じくずぶ濡れのスイが答える。
「まぁ…反動はつきものですよ。あとなんかその方が水神っぽいじゃんって言ってました」
たぶん後半が本音だろうな。
すぐに地震が起き、窓がカタカタ鳴っている。
どうやら地神様が来てくれたらしい。
またも風呂の水が吹き上がり、びしょ濡れになると同時に水神様が帰ってきた。
「地神と炎神と、ついでに風神も捕まえてきたよ!」
え!?こんなことにもう3柱召集したの!?眷属でなくて!?
「おい!緊急事態とは何事だ!?」と3柱が家に入ってきた。
いや、私じゃない。
緊急事態なんて言ったのは私じゃない。




