第10話:天界での初めての夜
「これ『神ふんじゃった』だ!」
きなこが、『うまいこと言った!』みたいなドヤ顔をしている。
「『猫ふんじゃった』みたいに言わないの!ほら、足あげて」
確かに私が昔よく歌ってたけども。
規律の神をひっくり返すと、生徒会長でもやっていそうなきっちりした若い青年だった。
理不尽な校則とかを執拗に守れって強要してきそうなタイプだな、と言うのが最初の印象だった。
ペチペチペチペチ…
まさか…死んだ…?
風神様が「物理的な損傷では神は死なないから、気絶ね…」と教えてくれた。
「水でもぶっかける?」と聞いてみると、エンが首を振った。
「もう夜になるし、規律様もこんな状態だし、続きは明日にしないか?
ちょうど明日は休神日だから、神々のご予定も空いている」
休神日?祝日的な?
確かに今日はもう色々あって疲れたしな…
「そだね。朝にここに集合?」
地神様が「そうだな。まだ土地勘もないだろうし同じ場所の方が良いだろう。ここに我々も来る」と合わせてくれる。
「わかりました。ではおやすみなさい。
みんなー!集合ー!」
私はモフモフたちを集めた。ほどよい寝心地の場所を探してごそごそする。
ムーンは毛が長すぎて鼻がむずむずするし…
やっぱたぬきかきなこかアッシュの間あたりか…
「な、なにをしてるんだ…?」ともふもふの向こうからエンの声がする。
私は起き上がって顔を出した。
神々も眷属たちも解散せずにこちらを見ている。
「え?朝ここに集合なんでしょう?ここで寝る」
「お…お部屋を用意するわよ?」とフウが提案してくれる。
………………えぇ…
「移動がめんどくさいからここが良い。なんかまた新しい場所に行くのもだるいし…」
「そ、そう…さすがね…」
じゃあまた明日、と解散した。
やっと身内だけになれた。
色々ありすぎて気疲れしてしまった。
夜の御神木も月明かりが染み渡って神秘的だ。
「あのキラキラが魂かぁ…天の川みたいだねぇ。生きてた頃はいつも雨か曇りで天の川なんか見たことないけど…」
ん?流れ星…?
今魂が落ちていったような…
ドンが「あれは『落魂』っていうらしいぞ。転生できずに天界に落ちてきてしまうらしい」と教えてくれた。
そんなことがあるんだねぇ。
きれいだね
全員で集合できるのって初めてだね
幸せだね
おかき寒くない?
たぬきにあっためてもらってる?
なんてとりとめもなく話しているうちに、私たちはぐっすり眠っていた。
「あのー!起きてくださーい!」
なんか…顔がもしょもしょする。
目を開くと、スイがコリドラスを私の顔に乗せていた。
「あ…あと1時間……」
「主様がドン様を質問攻めして困らせているんです…」
ガバァッ!!
「大丈夫かドンッ!!!水神様は距離感バグってるけどキレたらダメだぞ!!」
屈強なドンがキレたら、神相手だろうがシャレにならん!!!
慌てて飛び起きると、昨日の4柱と眷属たち、規律の神とノウナシもすでに集まっていた。
「お、おはようございます…」
「もう昼前だがな」とダイチに言われる。
「え?何でもっと早く起こしてくれなかったの?」
「結界が張られてたのよ…神の私たちでも壊せないくらい強力な…」と風神様が答えた。
おかき!
おかきがいれば、野宿もどこでも平気だね!!
昨日のフルーツを外からチラつかせて、神々が説得して解除してもらったらしい。
「いやぁうちの子が優秀すぎてすみませんね。さっそく本題に入りましょう」
「お前が言うな」とエンにつっこまれた。
お、いいぞ、打ち解けてきたぞ。
「みんな交代で散歩でも行ってきたら?誰かしらは残ってほしいけど」
そう言うと、ムーンがきなこの首に巻きつけた風呂敷を奪ってフラッとどこかに行き、ドンとアッシュも競い合うように猛ダッシュで走っていった。
「さて、始めましょう」
ノウナシは余裕をこいているというか口元がニヤついている。神がどうにかしてくれるとでも思っているのだろうか。
いや、処すからね?




