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女子的な趣味をオープンにしたら似たような趣味の女子達と仲良くなれて親友まで出来ちゃったお話  作者: いちくん
第二章:女子的な趣味をオープンにしたら魔王と呼ばれてしまった話(仮)
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変化する俺たちの関係と日常

 大弥との問答を経て、俺は平和な高校生活を送ることが出来るようになった。


 今までの人生で最も充実している。


 もう俺の趣味を隠す必要はない。


 悪意や揶揄いに煩わされる必要もない。


 まだ、クラスメイト以外にはかすかに噂が残っていたようだが、新たな噂の出現によって、それも消えた。


『スポーツマン葛原が新たに彼女を作った早々に肉体関係を迫り、まさかの当日に振られた』


 この新たなる噂のおかげで、俺はさらに過ごしやすくなった。




☆★☆ 5月28日(日) ☆★☆




 この日の午前中に、杉見手芸店でのブーケ作りが完了した。


 カオリおばちゃんには「もうこんなアホな事はするなよ」と念を押して、午後、4人で遊びに行くことになった。


 今日は『ボウリング』を教えてくれるらしい。


 その前に昼食を摂る事にしたのだが


「ファミレスに行ったこと? ないよ」と正直に言ったら、連れて行ってもらえることになった。


 メニューには特に驚かなかったが『ドリンクバー』というシステムが理解できていない俺は、みんなに新たな笑いを提供してしまった。


 ボウリングは正直に言って悲しい結果に終わった。


 遥香さん『202点』 しおりちゃん『184点』 亜子『156点』


 まぁ、経験者だったらしいからこの位が普通なのだろう。


 だが俺は『71点』で終わり。泣きそうになった。


「時間はまだある」と言ってリベンジ。


 それでも『78点』で、「80点以上の壁は厚いんだな……」と呟いたら爆笑された。それでも楽しいことには違いない。上手でなくても楽しい事は楽しいのだ。


 午後4時頃、カオリおばちゃんから偉そうなメールが届いた。


『打ち上げパーティーをする。各自「自宅に夕食は杉見手芸店で摂る」と連絡せよ』


 みんなで家に連絡し、全員家族からOKをもらった。


 俺は連絡なしでも大丈夫だと思っていたが、一応連絡はしておいた。


 杉見手芸店に戻ると、食事の準備は俺の『新アトリエ』にされていた。


「居間じゃないの?」と聞くと


 母さんとばあちゃんも来てるから、居間じゃ狭いんだ。と、みんなでアトリエでやることになった。


 母さん、ばあちゃん、おじちゃんはみんなと初対面だ。


 多少の緊張感はあったが、最初のカオリおばちゃんの乾杯の挨拶で一気に緊張感が吹っ飛んだ。


「みんな、よくやった!お前らのおかげで杉見手芸店の未来はまた一歩明るくなった。特に遼太!来月の給料には間に合わんが、7月はお前、200万超えるぞ!カンパーイ」


 とまあ、こんな感じだ。


 具体的金額言いやがった。とあきれたが、まぁ、でもこれがカオリおばちゃんだ。諦めよう。


 誰も乾杯の音頭に唱和することなく、おじちゃんはカオリおばちゃんを叱り、ばあちゃんは「あらあら、いつもごめんなさいね~」とひたすら謝っている。


 母さんは「遼ちゃんも稼げる大人になったのね~」などと感慨深げに呟いているけど、俺、まだ子供ですから。高校1年生ですからね?


 亜子、しおりちゃん、遥香さんの3人は、驚き戸惑っている。


 母さんと、ばあちゃん、そしてカオリおばちゃんの3人がダメな大人なため、おじちゃんが苦労して場を整えようと俺たちに話かけて気を使ってくれるが、早々に混沌である。アルコールが入る前から収拾がつかない。苦笑。


 混沌の中、俺たちは小声で話しながら『寿司』『ピザ』『仕出し屋のオードブル』から思い思いに摘み、腹を満たしていく。


 午後7時。そろそろお開きかという時間、お酒を飲んでいない母さんが


「女の子たちは車で送るから、遼ちゃん道案内しなさい?」


 と、俺たちに申し出てきた。


「わかった。じゃ、そろそろ行こうか」


「「「ごちそうさまでした」」」


「おう! また、いつでも遊びに来いよ!」


 酔っ払いのカオリおばちゃんのぞんざいな挨拶におじちゃんが謝り、


「この度、遼太を支えてくれてありがとう。カオリはどうでもいいが、これからも遼太だけはよろしくな」


 と、変な挨拶で締めてくれた。






『諸悪の根源による大量注文事件』


 ついに、これも解決した。




☆★☆ ☆★☆ ☆★☆




 6月に入って、俺たちの関係が少し変化した。


 遥香さんとしおりちゃんが、マミちゃんとさゆちゃんに誘われて『手芸部』に入った。


 なんでも、部員が足りなくて、廃部の危機らしい。


「だったら俺も入ろうか?」と言ったら「遼太は仕事があるでしょ? それにプロの参加はちょっと…」と、やんわりと断られた。


 時々しか一緒に下校できなくなるが、昼休みは毎日一緒に過ごしている。




☆★☆ ☆★☆ ☆★☆ 




 下校は、亜子と2人で帰ることが多くなった。


 手芸部の活動は基本「月・水・金」なのだが、「火・木」も自由に部室は使えるらしい。


 遥香さんもしおりちゃんも今のところは毎日部活に通うそうだ。


「亜子は手芸部に入らないの?」


 あんなに仲が良かったしおりちゃんと一緒の部活に入らないのが不思議だったので聞いてみた。


「う、ん……」


 いつもハキハキしている亜子らしくない、歯切れの悪い返事だ。


「なんかあった? 良ければ相談に乗るよ」


「わたし、アルバイトしないかって誘われてるの」


 亜子ともこれからは放課後にあまり会えなくなるのかな? などと少し淋しく感じたが表情には出さないよう頑張る。


「へ、へー、いいね! どこでバイトするの?」


 ちょっと吃音(ども)っちゃったじゃないか。だが


「杉見手芸店……」


「え!?」


「カオリさん、ブログの管理がいい加減だから、私にどうだ? って」


「あ、あー、なるほど」


「それと、ショーウインドウの管理と店番。カオリさんも少し、自由時間欲しいみたいで」


「あー。そういえば出かけるときとか、店を閉めなきゃだもんな~」


「ほかにもちょっとあるみたいで、最低週3日。できればもう少しって言われてて」


「結構いいじゃん?って、あ、もしかして時給とか安すぎない? カオリおばちゃんそういうとこいい加減だから」


「時給はすごくいい。と思う……」


「だったら俺は賛成だな。もちろん決めるのは亜子だけど、放課後も一緒にいれるのって嬉しいからね」


「え? 嬉しい? みんなでじゃなくて、わたしだけなのに?」


「そ、そりゃあ、嬉しいに決まってるじゃん。仲良しなんだし」


「そっか…そっか。じゃあ、今日お返事する。このまま杉見手芸店に行こ?」


「お、おう」


 亜子が、杉見手芸店で基本「月・水・金」の放課後から午後5時半(閉店時間)までアルバイトすることが決まった。


 手芸部の活動日とかぶっているのは果たして偶然なのだろうか?




☆★☆ ☆★☆ ☆★☆




 とある土曜日、ボクシング部の試合の応援に誘われた。


 1年生同士で行われる新人戦。


大弥者’S(ダイヤモンズ)』の中でもただ一人ボクシング部ではない原田君から、俺たち4人へのお誘いがかかった。当然見に行く。


「アイツは負けるとこ見られたくないって言い張って、絶対誘うなって言ってたけど、どうせ『振り』だろ?来て欲しいに決まってる。応援して、負けるところをしっかり見てやってくれ」


 原田君は大弥が絶対負けるような口ぶりで話しているが、きっと冗談なのだろう。俺は、大弥が負けるはずないと思いながらも


「わかった。華麗に負ける姿を見届けさせてもらうよ」


 などと軽口をたたいた。


「わたし、ボクシングなんて初めて見るわ」

「私たちもそうだよ」


 遥香さんも亜子もしおりちゃんも、ボクシングの事は良く知らないらしい。俺も良く知らんけど。


 だが、たかが地区予選の一回戦だ。大弥なら負けるはずはない。



☆★☆ ☆★☆



 やがて大弥の試合が始まった。


 ゴングと同時に勢いよく飛び出す大弥。


 迫力が凄い!相手が萎縮しているように見える。


 これは勝てるな。と、思ったのもつかの間、大振りのスキを突かれて細かいパンチを2発喰らった。左ジャブ。


 特にダメージはなさそうだ。大丈夫。


 大弥はしばらく攻め続けていたが、1ラウンド終了間際、相手が仕掛けたフェイントに引っ掛かったのか、ガードを上に上げたところでボディーに2発。その後ガードが下がった顔面に右フック1発。


 大弥はまだ立っているが、レフェリーが「ストップ」と言った。


 なんだなんだ? どうなってるんだ?


 良くは分からなかったが、大弥が負けたらしい。


 マジで何が何だか分からなかった。




☆★☆ ☆★☆




 原田君は試合後の大弥とは会わず、俺たちに「できれば慰めてやってくれ」とだけ言い残して先に帰ってしまった。


 大弥は負けてしまったが、他の試合はまだ続いている。いつになったら大弥に会えるのか分からない俺たちは客席から動けずにただ静かに座っていた。


 その客席に大弥がやってきた。


「よう。やっぱり来てたのか……原田の奴、どこ行った?」


 ちょっと不機嫌に見えたが、それは俺たちにではなく原田に対しての不機嫌っぽかった。


「先に帰るって……帰った」


「ハッ、アイツらしいな」


 大弥の顔をよく見ると、右目が少しと左目がかなり腫れている。


「大丈夫か? 目の周り結構腫れてるけど」


「あ~あ、もう腫れてきたか~。腫れてくる前に話をしようと思ったんだがな」


「腫れてくる前にって?」


「こういうのって、後から来るんだ。明日は結構見れない面だぜ?」


 明るく笑顔で言ってるけど……


「そんなに強くたたかれた感じはしなかったのに……」


 遥香さんの呟きを大弥はスルーする。


「なあ、遼太。あ~森口に、みんなも。オレの負けの言い訳、聞いてくれねーか?」


「ああ……」



 渡辺大弥の言い訳……


 実はオレさ、これでもガキの頃は何をやっても上手く行ってて、柔道と空手も習ってたんだけどよ、県の上位までは普通に勝ててたんだ。ま、全国には行ったことねえけどな。


 中学ではよ、空手部は無かったから柔道部に入ってよ、1年の時は大活躍できたんだが、2年の中頃からだったな、全然勝てなくなっちまったんだ。


 今まで格下だと思ってた奴らにも、力だけでは通用しなくなってよ。『柔よく剛を制す』ってやつ?


 スピードとか、技とか、フェイントとか、とにかくオレの攻めが通じなくなって、逆に俺の力は相手に利用されるようになっちまった。


 オレだって負ける理由が分かってるんだ。オレもよ、スピード・技・フェイントを磨いてまだ上に行けるって頑張ってみたんだけどな。


 身体に染み付いちまった癖ってやつなのか、全然上手くいかなくてよ、今度は自分の取り柄だったはずの力まで、勢いを失っちまった。


 『ボクシング』っていう高校からじゃなきゃ出来ないスポーツだったら、最初はみんな横一線。技術を磨いて上手く行きゃあ、いいとこまで行けるかも、とかって思ってたんだけどな~。


「ハハハッ。上手くいかねーや」


 大弥らしくない、力ない笑い。もしかして


「辞めるのか?」


「いや、辞めねーよ」


 即答した大弥に少しホッとした。


「卒業までに、一回だけでも勝って見せる。公式戦じゃなくてもいい。例え練習試合でも。一回くらい勝って終わりてえじゃねえかよ」


 大弥に力強さが戻った。


「また、応援に来てもいいか?」


「こんなダッセー姿をまた見たいって? オラッ? 虐めか?」


「いや、勝ってカッコイイ姿を見たいんだ。次は見せてくれよ?」


「……約束は出来ねえぞ」


「そんなの要らねえよ。俺が勝手に期待するだけだから」


「ふん。勝手にしろ」


 あ、大弥がちょっと照れてる。


「あ~、オレは先輩たちの手伝いとかでまだまだ帰れねえから、お前らはそろそろ帰れ」


「え? 最後まで見て行こうかと」


「オレだけ負けて、もし関口と奈良が勝ったら、かっこ悪いじゃねえか? だからサッサと帰れ!」


「わかった…… みんな! 帰ったフリして場所変えるぞ、関口君と奈良君の応援だ!」


 この位なら揶揄っても許されるだろう。なあ大弥?


「わかった~。じゃ、渡辺くん帰るね~。バイバ~イ」


「……チェッ」


 渡辺大弥。お前、かっこ悪くなんか無いぞ。



☆★☆ 7月14日(金) ☆★☆


 今日も平和に日常が過ぎていく。


 そして今日は給料日だ。


 6月からバイトを始めた亜子にとっては初めてのお給料。


 給料は振り込みだから、俺たちはカオリおばちゃんから明細書だけを受け取る。


 そして亜子が目を回した。


「カオリさん、これは何かの間違いでは?」


「ん~? いや、全然間違いじゃないよ~」


「だってこれ……」


「ちゃんと表示してるだろ? 時給+特殊管理手当+歩合給ってさ」


「歩合給が大きすぎませんか?」


「亜子。アンタはさ、400万近い売り上げをたたき出した遼ちゃんのサポートをしてたんだよ? 遼ちゃんの取り分の10%。つまり総売り上げの5%が亜子のサポートとしての取り分だ。ちゃんと計算通りなんだよ」


「亜子? 見せてもらってもいい?」


 俺の頼みに応じ、亜子が明細を見せてくれる。


「別におかしい所は無いな。あ、一応俺のも見せるよ」


 比べてみてわかる。俺の給与は技術料の『182万7000円』のみ。

 亜子の給与『時給1000×28 特殊管理手当2万円 技術補助歩合給18万2700円=計23万0700円』


 うん。おかしい所はないけれど、頭はおかしくなるかも?






『諸悪の根源による大量注文事件』の



 最後の影響だな。



 これから先は平凡な高校生活が待っているはず……

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― 新着の感想 ―
[良い点] 少しずつ渡辺君の深掘りが進んできているところ。 かなり設定は考えられているんだな、と感じました。 [一言] 女子組のボーリングのスコア、凄いですね! 私は最近は行っていませんが、アベレージ…
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