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女子的な趣味をオープンにしたら似たような趣味の女子達と仲良くなれて親友まで出来ちゃったお話  作者: いちくん
第二章:女子的な趣味をオープンにしたら魔王と呼ばれてしまった話(仮)
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竹中遼太の述懐~あの頃と今と~

☆★☆ 5月16日(火) 朝6時 ☆★☆


 俺は目を覚ますと、まず顔を洗い歯磨きした後、すぐに作業を始めた。


 32枚の花の為の布は、必要な枚数を色別に分けておいてある。


 チョキチョキとハサミを入れ始める。


「32枚切るのに50分か……」


 慣れてくればもう少し早くなるかな?


 そう思いながらも、疲れがたまればペースは落ちるってこともわかっている。


 今度は切った布を巻いて花弁を作る。


 くるくる巻いて糸で固定して接着剤。

 おしべめしべは必要ない。知らない人のための造花だ。無駄な手間はかけない。


 日陰にある別の作業台に放置して次に取り掛かる。


 作業しながらも、どの工程を西村さんに手伝ってもらおうかな。と、効率よく進める手順なんかも考える。


 森口さんと村上さんは片付けや準備ををお願いすれば俺の移動時間分作業が早くなるな。

 などと考えているうちに朝食に呼ばれた今、7時半。


 準備が良かったからか、一つ目の半分ほどの進捗率だ。イケル。


 朝食後、作業再開。


 自分の世界に没入する。


 そろそろ授業が始まる頃だろうか。


 西村さん。村上さん。森口さん。

 みんな、学校にいるんだろうな。

 俺だけが学校をサボって杉見手芸店にいる。不思議な気分。




 そういえば、前にも学校をサボってここでペーパークラフトやってたことがあったな。


 あの頃の俺は、この趣味の事を散々に言われて落ち込んでて、学校に行こうとしたんだけれど、怖くて行けなくなって、この辺をウロウロしてたんだった。


 どこにも行く当てはないのに、学校には行きたくなくて、でも、家に帰って母さんに話す勇気もなかったあの頃……





 作業は終盤にかかる。





 あの時カオリおばちゃんに見つかって、わけを話したらこの教室に連れ込まれたんだっけ。


 学校サボったことは母さんに黙っててやるから、詳しく聞かせろって言われて、素直に全部言っちまったんだっけな。


 あの時は、結局、丸一週間は学校に行けなかったっけ。


 カオリおばちゃんには『聞こえない悪口は悪口ではない』って屁理屈を教えてもらったけど、最初は理解できてなかったな。


 今なら分かるんだけど。


 馬鹿にされても、馬鹿にしたやつはそのことをすぐに忘れてしまうんだって事も教わった。

 馬鹿にされた方はいつまでも心に傷を負ってるんだってことも教わった。

 だから絶対に人を馬鹿にするなとも言われた。



 案外、カオリおばちゃんもいじめられっ子だったのかな?



 くくっ…だったら笑えるな。今度母さんに聞いてみよ。カオリおばちゃんは絶対に正直に言ってくれないからな。



 そういえば、逃げる方法や隠れる方法もカオリおばちゃんに教わったな。


 嫌だってことは、必ず態度で示せ、とか。

 逃げるときは堂々と逃げろ、とか。

 隠れるときは完璧に隠れろ、とか。





 一個目のブーケが仕上がった。

 俺は接着剤をあまり信じていないから、日陰で丸一日は放置したい。





 嫌な奴や怖いやつからは、目を見て逸らすな。

 殴られたらお前の勝ちだ。

 殴ったらお前の負けだ。


 そんなことも教わった。


 今ならわかるけれど、当時はまるで意味が分からなかった。


 殴られたら負けじゃね?ってずっと疑問に思ってた。





 ハサミ入れが終わった。今何時だ?10時45分。まぁまぁだな。





 今回学校をさぼるのも一週間弱だな。


 ん? 小5の時も月曜日は学校に行ってたから、同じサイクルで学校をさぼってるのか。


 偶然だな。


 あの時は、学校サボった一週間、ひたすらカオリおばちゃんと話をしながら造花を作ってた…。


 カオリおばちゃんが俺の作品をショーウインドウに飾ってやる、と言ってくれた時は嬉しかったな。


 お前が作ったということは誰にも言わない。だが、お前が作った作品はここでたくさんの人の目にとまる…だったっけ?


 だれかがこれを褒めてくれたら、お前に必ず教える。

 だれかがこれを(けな)したらその事はお前には絶対に言わない。

 聞こえない悪口は悪口ではないからな。

 良い言葉だけを届けてやる…だったな。


 はははッ、今思えばエゴサーチかよ。マネージャーが編集済みの。





 造花部分が出来上がった。今11時半か。ならば12時半までに二つ目も仕上げる!





 開き直る方法をいろいろ教えてもらったのも、学校さぼってた時期だったな。


 悪意を味方にする方法。怖くて実践は出来なかった。


 話し相手がいればいじめられにくくなるって言っても、俺にはなかなか話し相手は出来なかった。


 今回、村上さんと仲良くなれたのは凄い幸運だったな。


 噂を消すには次の噂を待てっても言われたな。


 なんだ、俺が森口さんを守るために戦えたのは、ほとんどカオリおばちゃんの入れ知恵(おかげ)じゃないか。

 ガキの頃の敵討ちが出来たのもそう。


 なんだかんだ言って、俺がカオリおばちゃんの一番弟子なんじゃねーか? なんか認めたくねーけど…



 そういえば、仲直りする方法も熱く語ってたな。


 小さな喧嘩で仲たがいしても、何かが起きた時には力を貸してやれ。

 ピンチの時に見捨てるな、だっけ。


 実践する機会には恵まれなかったけど、村上さんと最初にトラブった状況が類似(るいじ)しているかも。


 女子的な趣味は、大人になってから威力を発揮するっても言ってたな。


 女子が多い幼児教育学科に入ってきた、たった3人の男子学生は平凡な男子ばかりだったけれど、メチャメチャモテてたとか言ってたな?


 本当だろうか?


 俺も、服飾の専門学校とかに行ったらモテるんだろうか? 女子多そうだし。





 2個目のブーケが完成した。

 12時半。予定通り。





 今回は俺がサボったのではなくて、サボらされた形だが、あの頃を思い出すことが出来て、なかなか乙な気分だ。






 今日の昼飯は久々に俺が作ってやるかな?


 カオリおばちゃんの料理は結構奇抜で、俺の舌には合わないことが多いからな。


 俺は作業が一段落したこともあり、一旦休憩を入れることにした。


「おーい。カオリおばちゃーん。良かったら俺が昼飯作るよー!」


 店にいるカオリおばちゃんに聞こえるように、俺は店先の方に歩いて行く。


「とりあえず2個完成したし!」


 チャーハンと冷凍餃子。既に昨日、俺は冷蔵庫の中をチェックしている。


「おー! さすが遼ちゃんだな。アタシの見込み通りだ」


 得意げなカオリおばちゃんの返答に少しだけこちらも得意げに


「カオリおばちゃんの料理は激マズだからな」


 と、憎まれ口を叩いた。 

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― 新着の感想 ―
[良い点] 前回に感想で書いた印象がガラッと変わりました。 個人的には、ヘイトは感じませんでした。 二人の過去の描写と、本人からではなくおじさんの謝罪は良かったと思います。 [一言] セリフで憎まれ口…
[良い点] 学校サボったり、というか風邪で休んでたり有給取って会社休んで、みんな勉強したり仕事してる時間に自分はぼーっとなーんもしないー、とかしてる時、不思議な満足感あるね…。 ちょっとそんな気持ちを…
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