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女子的な趣味をオープンにしたら似たような趣味の女子達と仲良くなれて親友まで出来ちゃったお話  作者: いちくん
第一章:女子的な趣味をオープンにしたら似たような趣味の女子達と仲良くなれた話
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たまにはこんなのもイイ

☆★☆ 金曜日の放課後 ☆★☆


 帰り道、村上さんの提案で、俺たちは『黒薔薇同盟』と言う名前のグループチャットを作った。


 そのグループチャットに夜、森口さんから自作のぬいぐるみの画像が送られてきた。


 『上手になりたい』と言うメッセージが添えられていた。


 たしかに、かなり独創的(コメントしづらい)なぬいぐるみだ。


 立体なのに二次元に見える不思議。


 『誰でもいいからアドバイス出来ない?』とメッセージが続いた。


 村上さんと、西村さんが即座に

 村上:『竹中く~ん? できる?』

 西村:『ぬいぐるみは分からないけど竹中くんなら?』


 俺に期待しているようだが、ぬいぐるみはさすがに未経験。無理。

 だが、無理と言って突き放したり、諦めたりしたくないというのが俺の本音だ。

 俺は1分ほど迷った末


 『俺もぬいぐるみはまだ挑戦したことは無いけど、一緒に悩むことなら出来そう』


 などと送ってみた。


 すると即座に

 村上:『明日、会う? 会える?』

 森口:『お願い。一緒に悩んで』

 西村:『やっぱり未経験か~でも一緒に悩みたいね』


 バババッと着信が続いた。


 ちょっとにやけてしまったのは一応秘密だ。


 『明日午前10時、杉見手芸店で俺と一緒に悩むのなら、素材は無料で使い放題』


 俺の提案を送ると、数秒スマホが沈黙したが、


村上:『素材が無料ってなに? どう言う事? そんなことできるの?』

森口:『え? タダで素材を使えるって言うのは竹中くんがお店に見本を提供しているからだよね? わたしたちは無理なんじゃないの?』

西村:『本当に? 大丈夫なの? 後でカオリさんにいろいろと言われたりしない?』


 疑問や心配はごもっとも。でも


 『大丈夫だよ。遠慮しないで、楽しく悩もうぜ』


村上:『やったー! 明日も会えるんだね』

森口:『明日10時ね。よろしくお願いします』

西村:『えーと、大丈夫だって信じます。明日、楽しみにしています』


 『ああ。俺も楽しみにしてるよ』


 その後はチャットの止め時を見極められず、1時間半ほどダラダラとグルチャは続いた。


 なにこれ? めっちゃ楽しかったんですけど??


 この日のチャットは、最後の『おやすみなさい』の挨拶を誰も出来なかった(所謂(いわゆる)、寝落ち?)




☆★☆ 翌日(土曜日) ☆★☆




 午前10時。


 俺はすでに事情をカオリおばちゃんに話し、奥の教室の使用許可をもらっていた。

 この辺のやり取りは、きちんとしたい俺に、カオリおばちゃんが合わせてくれている。

 何といってもこのおばちゃんはかなりいい加減だ。俺がしっかりしなくては。


 3人は一緒に来た。

 杉見手芸店から一番遠い西村さんが、村上さん、森口さんと順に迎えに行ってここまで来たそうだ。


「いらっしゃーい。ねえねえ遼ちゃん、どの子が彼女? ん? ん??」


 くそババアがウザい。


 俺は黙って素材を奪うため3人を呼ぶ。


「必要な素材や使ってみたいものがあったら、遠慮なく持ってきて。一応、店主(ババア)の許可を取るから」


「え? 本当にいいの? わたしたちはちゃんとお金払うよ?」


 村上さんを筆頭に、3人とも遠慮する。


「いいんだよ。遼太には随分と儲けさせてもらっているからね~。お店潰すくらいの勢いで持っていきな」


 カオリおばちゃんのOKが出た。しかも随分と強気だ。


 目を丸くする3人。


「ウインドウの見本品とブログの写真がバズったことで、潰れそうだったこの店を俺が救ったみたいなんだ」


 と、説明したが


「それだけじゃないんだな~実は」


 カオリおばちゃんがにやりと笑う。


「まぁ、そろそろバレると思っていたからね、バレる前に種明かしっていうのも乙なもんだ。良し、イイだろう。ここで明かしてやろう」


 前置き長げーよ。


「実はね、友人の結婚式だとか? 親戚に頼まれたとか言って、遼ちゃんに作ってもらってたアレコレはね、ブログのお客様からの注文で、オーダーメイドだったんだよ~。いや~オーダーメイドって儲かるよね~? なんて言ったってこっちの言い値で買ってくれて、その上喜んでもらえるんだからさ~。まさに、ウインウイン」


「はぁ?」


 驚く俺。何言ってんの?コイツ。


「遼ちゃん騙してあれこれ作らせてるだけで、月平均40~50万。アタシゃ荒稼ぎしてたのさ~だから遠慮なんかせずに、じゃんじゃん持っていって」


 な ん だ と ! ?


「おい! みんな、欲しいもの全部持って来い! 最高級素材に(こだわ)れ~!」


 俺の理性が崩壊した。




☆★☆ 元手芸教室 ☆★☆




 気を取り直して、今は森口さんのお悩みだ。


 実際俺も今、カオリおばちゃん(くそババア)が憎くて平静ではいられないが。


 それは置いておいて、俺は完全にぬいぐるみは門外漢。


 だから


「好きに遊ぼうぜ。下手でも何でも楽しくやるのが一番の上達の道だ。最高級素材を無駄にしまくる最高の機会だ~!」


 あ~俺、ちょっと壊れてる。何言ってるのか良く分かんない。


 みんなで好きに店内をあさり、


 俺はサイコロのぬいぐるみを作る。なんとなく正立方体って基本っぽいからやってみた。


 森口さんは犬? それとも熊? のぬいぐるみ中に綿を豪快に詰め込んで、二次元から脱却し三次元にはなった。


 村上さんは何を作っているのか俺には全く分からなかったが、『ペンギンだ』と言い張って西村さんと森口さんにメチャメチャウケていた。


 西村さんは小さめの金魚を何個も何個も地道に繰り返し作り、最終的には誰もが金魚と理解できる腕前になっていた。


 みんなで下手くそなぬいぐるみを大量に作った。


 もはや高級品を浪費しようとはだれも思わなくなった。


 自分の好きな素材で、自分の手に負えるデザインで。


 俺もへたくそで、納得いくものは作れなかったけれど。


 たまにはこんなのもイイ。


 カオリおばちゃんがいつの間にかミスドを大量に買い込んで差し入れしてくれて、


 みんなで食べながらも、ぬいぐる製作は(とど)まることは無かった。


 行儀は悪いけれど、これもまたイイ。


 本来の目的『上手になるための方法をみんなで一緒に悩む』


 そんなこと、もう全員が忘れていた。


 思い出す必要が無かった。


 それほどに、この『()()』は楽しかった。


 俺たちは夕方になるまで、夢中で遊んだ。


 


☆★☆ 日曜日 ☆★☆




 早朝6時。


 カオリおばちゃんから呼び出しの家電(でんわ)が来た。


 俺はまだ寝ていたから、母さん(夢子ちゃん)が出たのだが。


 慌てた母さんにたたき起こされて、俺は一気に覚醒した。


 電話に出た俺にカオリおばちゃんは一言。


「ブーケ作れ。今すぐ来い」


 意味が分からないが、この人(くそババア)にはなぜか逆らえない俺。行く。


「前にあんたが作った、薔薇30本のブーケ。これと同じの」


 パソコンの画像を見せられた。


 大 中 小

 濃い赤 赤 薄い赤 ピンクの濃 淡


「急げ!」


 俺はまだ寝ぼけていたが、なんとか3時間ほどでできた。


 10時すぎにカオリおばちゃんお手製のそうめんを食わせられた。


 茹で時間足りなくない?芯が残ってる。


 でも、全部食べた。腹が減っていたから。


「同じブーケをもう一個作れ」


 命令形


 12時頃にスマホが鳴った。


 グルチャ。


村上:『今何してる? 暇?』


 『え~と、仕事してる? かも?』


村上:『仕事??』


 『杉見手芸店で』


村上:『みんな連れて行く』


 午後1時頃に3人が来た。




 カオリおばちゃんが俺たちに見せた杉見手芸店のブログ。


 めっちゃバズってた。


 で、結婚式のブーケ?


 五万円。


 え? 五万!?


 ぼったくりじゃん? 普通高くても三万くらいっすよ?


「いいんだよ。高級(プレミア)感出すのさ それでも注文あと3つ。今日中」


「おい、って、え? まさか? 全部俺が?」


「ほかにだれがいるんだよ。アタシは作れないからね」


 俺は『黒薔薇同盟』のみんなを見る。そして


「誰か助けて~?」


 今まで生きてきて、一番情けない声が出た。しかも必死。


 目と目が合ったのは西村さん。そうだ、この子は頼りになる。思えば一番最初に仲良くなりたいと思ったのは西村さんだった!


「西村さん!」


 俺が彼女に声をかけるのに、なんの躊躇(ためらい)もなかった。


「え? あ?」


 西村さんの気持ちなど、今は忖度(そんたく)できる状態じゃない。


「サポート頼む」


 なりふり構ってはいられない。


「あ、はいッ!」


「赤の布ここに置いて!」


「はいッ」


「ピンクの3枚持って来て!」


「はいッ」


「ここの屑、全部片付けて!」


「はい!」


「濃い赤6枚準備!」


「えーと、はい!」


「針金全部、この長さに切って」


「はい!」


「緑の色画用紙をこの長さに」


「はい!」


「あれをここに」


「はい」


「これを束ねて」


「はい」


「ここをグルグル巻いて窓際で放置」


「はい」


「次、2つ目」


「はい」


「さっきと同じ手順」


「はい」


「次」


「はい」


「次」


「はい」


「これをさっきのと同じ……


「なんか、あの2人…息がぴったりね」


「亜子ちゃん…わたしなんか悔しい…」


「わかる……かも。わたしもなんとなく悔しい感じ」






「次」


「はい」


「これ寄せて」


「はい」


「よし、3つ目」


「はい」


 ………………


















 俺と西村の忙しさをよそに、


 森口さんと村上さんは……


 それぞれ自由に自分の趣味の時間を過ごすのであった。

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