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女子的な趣味をオープンにしたら似たような趣味の女子達と仲良くなれて親友まで出来ちゃったお話  作者: いちくん
第一章:女子的な趣味をオープンにしたら似たような趣味の女子達と仲良くなれた話
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『黒薔薇同盟』結成!

 放課後。初戦勝利と喜んで呆けていると


「さ、帰るわよ」


 と、声を掛けられた。西村さんと村上さんも一緒にいるのに、声をかけてきたのはまさかの森口さんだった。


「え? 下校はキミたち3人で帰る手筈では?」


「気が変わったのよ。これはわたしたち3人の総意よ」


「そうそう。一緒に帰ろうよ~」


 村上さんにも誘われ、西村さんは「うんうん」と頷いている。


 ま、これも俺にヘイトを集めるのに役に立つかもしれないな。


「よし。わかった。一緒に帰ろう……って、西村さんたちとは結構方向違わない?」


「大丈夫よ。遠回りになるのは竹中くんだけ」


 え?俺だけ遠回り?


「……ま、いっか」


 今日から毎日、俺も一緒に帰ることになった。仲良し展開早すぎじゃね?


 帰り道は俺だけが極端に遠回りになるルートで帰ったが、全然苦では無かった。むしろ楽しかった。


 西村さんと村上さんの家の場所を教えてもらった。「男子に家の場所を教えるなよ」とツッコんでみたが笑って(かわ)された。


 夜にはまた3人からメッセージが届いた。

 当たり障りのない話とおやすみの挨拶に対し、俺もまた当たり障りのない話におやすみの挨拶を添えて返した。






☆★☆ 5月11日(木) ☆★☆



 昨日と同様、午前中の森口さんは、村上さんとお喋りして盛り上がっており、他者に付け入る隙を与えなかった。

 何事もなく昼休みとなり、今日もちょいワル(わたなべ)の机を拝借することに成功した。


 弁当を食べ終えた俺たちはまた、手芸を楽しむ。


「ねぇ、竹中くんのカバンに付いてる、その黒い薔薇なんだけれど」


 森口さんが自然な表情で話かけてきた。天使だったころとは全然違っていて柔らかい。


「わたしにも作ってもらえないかしら?」


 ほう。この『黒薔薇』はコサージュ部門の最高傑作。俺もお気に入り。さすが森口さんお目が高い。


「お? いいぜ。サイズは? 大きくも小さくも出来るよ」


「同じ大きさがいい」


「ほう。森口さんとお揃いか~」


「ちょっと待った~~!わたしも欲しい~~森口さんだけなんて嫌~」


 わお。わがまま全開で村上さんがちょっと古風な待ったをかけてきた。ねるとん?

 でも何となく可愛いとも思える。


「ちょっ詩織!」


 まぁ、西村さんなら止めに入るよね。


「亜子ちゃんだって欲しいよね~」


 しかし?


「そりゃあ……そうだけど」


 そっか、一人だけって不公平だよな。ヨシッ


「わかったよ。3人分作ってくる」


 うんうん。今夜のお楽しみだな。


「ううん。作ってきて欲しいんじゃなくて、作るところを見たいし、昼休みにここで作って欲しいの。出来る?」


 なるほど。実演販売ってやつか。あれは確かに興味深いもんな。

 所要時間と必要物品を考える……行けるな。ま、余裕か。


「……うん。大丈夫。多分出来るよ」


「じゃあ約束ね」


 いままで結構俺は、森口さんに壁を感じていたけれど、なんかここんとこ急に積極的に話かけてくるようになってきた感じがする。


「おう」


 その後は村上さんが昨日家で作ってきた、犬のビーズアクセをみんなで笑いながら鑑賞した。


 なかなかに味のある不細工(かわい)さであった。


 ちょっとだけ不貞腐(ふてくさ)れた表情の村上さんがとても可愛いかった。


 今日も数人のクラスメイトの好奇の目を感じたが、悪意は特に感じず、何事も起こらずに放課後を迎えた。


 そして今日も4人で一緒に下校した。





☆★☆ 5月12日(金)☆★☆


 今日も午前中は無事に過ごし、昼休みを迎えた。


 もはやいつも通りと言えるほど当たり前に4人で弁当を食べた。


 今日は『黒薔薇のコサージュ』を3つ作る。時間的にはぎりぎり間に合うだろう。


 急いで布を出し、ハサミでチョキチョキと切り始めた。


 周囲の警戒は森口さんに一任した。何かあれば知らせてくれるはずだ。


「ねぇ、(かた)とか使わないの?」


 西村さんが不思議そうに聞いてきた。


「おう。薔薇はもう何千本も作ってるからね。型を使うよりもイメージでハサミを入れてるんだ」

「すごーい」


 チョキチョキとハサミ入れは続く。


「あれ?もしかして今日の昼休みで3つ全部作るの?」


 西村さん的には不思議なんだろうか。


「おう。時間的には大丈夫そうだから、一気に作ろうかと思ってさ」


「そんなに急がなくてもいいのに」


「まぁ、そんなに急いでるわけじゃないよ。実際、時間的には休み時間が終わる5分前くらいには、できると思うから」


 その時


「(小声)女子2人こっちに来る」


 森口さんが囁いた。


 一瞬緊張が走る。


「竹中くんは続けてていいよ~。大丈夫~」


 村上さんがのんびりした声で俺に言った。そののんびりさになぜか安心感があった。

 俺はその安心感を信じて作業に集中した。


「マミちゃん、さゆちゃん。いらっしゃ~い」


 村上さんの方から声をかけた。どうやら親しい間柄のようだ。


「お、おじゃまします……」

 緊張した声で、マミちゃんかさゆちゃんが挨拶した。


「えへへ~。何やってるのか気になってるんでしょ~」


 第一印象は最悪だった村上さんだが、知れば知るほど頼もしく感じてくる。


「う、うん。竹中くんがなんか興味深いことしてるから、なんか近くで見たくなっちゃって……」


「いいよいいよ~。でも、竹中くんには声を掛けないでね~。今、集中してるから~」


「わかった。邪魔しないからここに居させて?」


「うん」


 こいつはイイ。悪意や下衆な好奇心を森口さんに近付かせないための良い盾になる。


「なんか、りんごの皮をくるくる剥いたような感じだね」


「薔薇の設計図って、こんな感じなんだ」


 俺が答えると


「竹中くんは集中しなさい」


 西村さんに叱られた。なぜ?


 俺は話しながらでも全然大丈夫なんですけど?あのババア(杉見手芸店)なんかが近くにいれば、常に邪魔してくるからこの程度なら微風(そよかぜ)みたいなものなのだが。まあいい。


「速いッ!?」


 俺が切って形にした薔薇の素をくるくると巻き始めると、西村さんが感嘆の声をあげた。

 自分でも作っているから分かるんだろう。俺の技術の高さが。


「何が起こっているのか分からない。まるで魔法を見てるみたい」


 マミちゃんかさゆちゃんのどちらかが呟いた。

 

 巻き終わった。


 ここからはおしべとめしべ。どうせ隠れるから本当は付けなくてもいい物。だが、これは俺のこだわりだ。


 森口さんの貴重さと高貴さをイメージして作った金色の素材に、瞬間接着剤をチョコっと付けて中央に突き刺す。一つ。そしてまた一つ。そして全部突き刺す。


 仕上げにピンセットとヘラを使って花弁(はなびら)をカールさせる。内側の花弁は内側に。外側の花弁はちょっとだけ外側に。


 つぼみが開いたばかりの、まだ若々しい感じをイメージして。


 やがて一つ目の『黒薔薇』が完成した。


「はい。森口さん。まだ、接着剤が不安定だから、せめて放課後までは動かさないように注意してね」


「あ、ありがとう。竹中くんって本当に凄いのね。おどろいたわ」


 森口さんの表情はもう俺の知っている、中学時代のような作られた顔ではない。普通の女の子だ。まぁ、綺麗すぎるけど。だからこそか、なんか褒められると照れる。


「へへへッ。どういたしまして」


 さあ、気を取り直して。


「さ、次は西村さんのを作るよ」


「あ、はいっ」


 西村さんは、第一印象で凄く頼りになったし、言葉を選ぶことのできる素敵な女子だったけれど、最近、意外な面も見え始めてきたな。


 俺は先ほどの動きをリプレイするかのように作業を進める。


 西村さんの『黒薔薇』のおしべとめしべは銀色にした。これは単に俺のイメージだが、西村さんには銀色がよく似合うと思う。それに銀の食器は毒素に反応して色を変え、人に危険を知らせてくれるという頼もしさがある。


 そんな説明を俺はしないが、そんな意味を込めた。


 その銀を隠すように、また、花弁をカールさせていく。そして完成。


「はい。西村さん」


「あ、ありがとう……」


「最後に村上さんの分ね」


「はいッ」


 良い返事だ。元気いっぱいって感じ。


 村上さんの『黒薔薇』のおしべとめしべは薄桃色(ペールピンク)にした。これは俺のふわっとしたイメージだけで、特に意味はない。可愛らしさから選んだだけと言ったところだ。


 それでも、いい加減に選んだわけじゃない。ちゃんと似合うと思ったから選んだんだ。言わないけどね。


 これですべてが完成した。休み時間の残りはまだ10分ある。


「竹中くん凄い。見させてくれてありがとう」


 マミちゃんもさゆちゃんも、俺の友人ではないけれど、同じクラスメイトだ。褒められて悪い気はしない。


 村上さんがこの2人との会話をしている間、俺が道具を片付けて、西村さんと森口さんが散らかった布切れや糸くずを片付けてくれた。


「お揃いの『黒薔薇』まさか一日で出来るとは思ってなかったけど……なんかいいね」


 西村さん的には一日ではできないと思っていたのだろう。実際に手芸を趣味として、実力と技術、経験を積んでいるからこその感想だ。

 知らない人には一日で出来るとか出来ないとか、想像することすらできないだろうから。


「そうね。なにか、わたしたちの絆の証みたいに感じられるわ」


 森口さんの瞳が輝いて見える。眩しい。


「『黒薔薇同盟』?そんな名前が似合うような気がするわ」


「『黒薔薇同盟』……いいね!」


 その名称、俺は気に入った。が、


「さっそくカバンに付けちゃお~」


 おい。村上さん? さっきの俺の話、聞いてました? 接着剤が…!


「おい、待て! 村上。まだ接着剤が不安定だからせめて放課後までそっとしとけ!」


 あ、ついつい村上さんを呼び捨てにしちゃった。


「あ! え? ……は~い」


 全く、村上さんはこういうところが抜けてるんだから。まぁ、手のかかる子ほど可愛いってやつか。仕方のないやつだ。







 そして









 今日も平和裏のうちに一日が終わった。


 平和が一番。














 みんなー! もりぐちさんは、いいひとだぞーー!






 戻って来ーーーーい!






 心の中で、俺は叫んだ。

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― 新着の感想 ―
[良い点] 今回のお話は平和でした。 森口さん防御網も増えている様子。 クラスメイト達の誤解を解くのか、それとも触れずに新たな関係を増やしていくのか、この後の展開が楽しみです。 [一言] 村上さんが良…
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