一つの恋の……約束
メリッサ夫人の葬儀はしめやかに行われた。
死因は脳の出血による突然死とされハワードに関する事は箝口令が敷かれた。
義父である公爵たっての願いだった。
ウェールズ公爵家は若夫婦二人を立て続けに亡くし悲しみに沈んだ。
特にメリッサ夫人は屋敷の使用人から領民にまで好かれていた為、早すぎる死を皆が悼んだ。
しかしメリッサ夫人の最期に立ち会った者達は本人が会いたい人の傍に行く事を選び、迎えに来たとするならば今幸せにしているのだろうと信じる事がせめてもの救いとなった。
その後ウェールズ公爵はメリッサが引き受けていた領内の仕事や新事業を一手に引き継ぐことになりゆっくり悲しむ暇も無く仕事に追われ否応なく領内に目を向けねばならなくなり、ウェールズ公爵夫人は気落ちし暫く社交界にも顔を見せることはなかった。
その後の公爵家は他に子供がいなかった為、親戚より優秀な養子を迎える事となった。
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「リリアナ、ここに居たのかい?」
王城の見事な庭園に佇んでいたリリアナはエドモンドの呼びかけに振り返った。
「エドモンド殿下、お仕事はお済みになりましたの?」
「あぁ、随分滞っていたからね。でも何とか目途はついたよ。ここから見る庭園も綺麗だね」
「そうですわね、何だか季節が過ぎるのが早いように思います」
「あれから随分と経ったね、肌寒く無いかい?」
「えぇ、大丈夫ですわ」
リリアナがそう答えたものの心配性のエドモンドは側仕えの者に目配せをして、受け取ったショールをそっと肩から掛けてやる。
「庭園を見ながら何を考えていたんだい?」
「まぁ、ありがとうございます。メリッサ様に会いたいな、とぼんやり思っていました」
「今頃二人はどうしているかな」
「多分メリッサ様が横にいらして甲斐甲斐しくお世話をしてらっしゃるのでは無いかしら」
「ハハハッ。あの二人ならそうかもしれないね」
あれから幾つも季節が巡った。
あの時確かにあった悲しみは時と共に二人の中で変化して思い出となった。
きっと幸せに暮らしていてくれて、目には見えないけれど時々は側で私達と一緒に居るのかもしれない。
「見守って居てくれると言ってましたからお二人で遊びにいらしているかも知れませんよ」
「そうだと良いな、ハワードとたわいない冗談でも言い合いたいよ」
そう言ってリリアナの後ろからそっと抱きしめる。
「でもお互い会いに行くのはずっと先にしよう」
「そうですわね、ずっとずっと先になりそうですわ」
「おじいちゃんおばあちゃんになったら気付いてくれるかな?」
「ハワード様なら何かウイットに富んだお返事があるのでは無いかしら?」
「そうだな、きっと」
二人は微笑んで寄り添って夕日が沈むのを静かに見ていた。
「さぁ、本格的に寒くなってきた。お腹の子もお腹が空いただろう」
「そうですわね、王子も待っているでしょうから戻りましょう」
二人は無事結婚しリリアナは王太子妃となった。
そして二人の間には第一子の王子とお腹の中に第二子が居る。
もう暫くは私たち家族を見守って下さいね、また必ずお会いしましょう……リリアナは天国にいる二人に心の中で声を掛ける。
そしてエドモンドに手を引かれ愛しい王子の待つ温かな場所へと戻って行った。
此れにて本編完結です。終わったぁー!やったぁー!
皆さま本当に長い間ありがとうございました。
……が!回収し忘れは無かったか不安な私( ..)φメモメモ
一応、番外編を予定しています。
「兄サイモン編」「メイドのアン編」「その後のアリーシャ編」
天国の二人はどうしようかと悩んでいますが(´艸`*)
後、「作者苦悩編?」が書けるかな?止めとこかな?
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