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一つの恋の……暴露

 ドクトール邸は静まり返りお通夜会場の様な状況だった。

 使用人達は息を潜め矛先が向かぬ様に隠れていた。

 その中で執事だけは静かに近づいて来て執務室に長男のロイド様と奥様がお待ちですと言った。

 アリーシャはと聞くと鍵が掛かっておりますが寝息が聞こえるのでお疲れになって寝ていらっしゃる様ですと言った。


 それから執務室で執事を交えた4人で話し合いが持たれた。

 まず昨日の経緯を話し、ロイドからも噂になった話を擦り合わせてアリーシャのしでかしが判明する。

 特に王太子妃教育を蔑ろにして授業の態度が上の空だった事、レポート等を自分で全くやっていなかった事、王妃様に尋ねられて墓穴を掘った事、王城の者に尊大な態度で怒鳴りつけていた事、王太子殿下を呼び捨てした事、他のお客様を蔑ろにした事、王妃様より着飾っていた事、王城の中を淑女らしからぬ格好で走っていた事など目を覆いたくなる様な所業だった。


「王太子殿下は婚約を破棄されるそうだ」

「⋯⋯」

「アリーシャが、私の自慢の娘が⋯⋯」


「あのこんな時に何だけど、やった事は事実だと思うよ」

「何か知っているのか」


「元々そんな性格だからね、学園の勉強もマトモにやった事はないはずだよ」

「そんな筈は無いでしょう」夫人が庇う。


「宿題やレポートは使用人にさせてたし、試験は対策問題を優秀な同級生に作らせて答え丸暗記で乗り切ってたからね。知らなかった?」

「そんな⋯⋯」


「王太子妃教育を学園でやってたみたいに軽く考えてたんでしょう、舐めてるね」

「他人事みたいに」


「私は兄として何度も言ったよ、信じなかったじゃ無いか。その内アリーシャの仕返しが面倒で見て見ぬ振りしてたけど」

「⋯⋯」


「それに相当遊んでたしね、気が付かなかったでしょう。殿下が現れてからは鳴りを潜めたみたいだけど」


「遊んでたなんて、あの子は病気で亡くなった婚約者をずっと思い続けて」

「隠れ蓑にしてたんだよ、巧妙にね。男に媚びてしなだれかかって」

「⋯⋯」


「まぁ、騙してとっとと王太子妃に収まってくれと神に祈ったけど見てたのかな、神様」


「そんな性格だったなんて⋯⋯でもアリーシャの所為で一族にまでとはなりませんよね」

「宰相からは派閥追放を宣言されたし、社交界には暫く顔が出せんだろう」


「一族には婚約の内定した者も多いのですよ、どうなるのでしょうか」

「みんな纏めて破棄じゃない?私の婚約者もどう出るかな?ははは」

 ロイドは目を覆い零れそうな涙を隠した。


 その時、今まで黙って聞いていた執事がおずおずと言った。

「あの、王太子殿下の前の婚約者のリリアナ様の件もお嬢様が関わっていると言う事は無いのでしょうか?」

「えっ」

「もしそうならば非常にまずいのでは」

 心当たりのある伯爵は言葉に詰まった。



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