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一つの恋の……欺瞞

 伯爵は執事の問い掛けに狼狽えた。

 それを見た他の者はアリーシャが仕組んで何食わぬ顔で婚約者に成り代わったのだと知った。


「不味くないですか、もしもアリーシャが仕組んでまんまと成り代わったのだとしたら。それこそ今回のことも含めて悪くすれば爵位返上もあり得る」

「あ、あなたどう致しましょう。アリーシャがそんな恐ろしい事が出来るなんて」

「私も詳しく知っているわけではないのだ。ただ噂を流して上手くいったから良く働いてくれた者にお礼がしたいと言う事で宰相を通じて就職の斡旋をしたり良い縁談を世話しただけだ」

「不味いじゃないですか。それ調べられたら一巻の終わりだ」

「仕方がない、アリーシャは辺境の修道院に入れる。それで手打ちにして貰わないと一族に迷惑が掛かる」

 妻がワァワァ泣き出した。

 昨日は美しく自慢の娘だったのに、何処で間違ったのか。


 その時部屋の扉がバタンと開いた。

 そこには1日で人が変わったようにやつれたアリーシャが居た。

「嫌よ、婚約破棄も修道院も。私は王妃になる人間なの、勝手に許さないわよ」

「アリーシャ、今日王太子殿下から婚約破棄を伝えられたんだ、正式に通達もあるはずだ」


「嫌よ、まだ手があるはず。リリアナは植物状態なんだから」

「彼女は関係ない、お前が仕出かした事だ」


「兄様、言って良い事と悪い事がありましてよ。まだ負けませんわ」

「……」


「す、少し休みなさい、疲れただろう。それから将来のことを考えよう」

「本当ね、お父様。勝手に婚約破棄を受け入れてはダメよ、約束して!」

「あぁ、約束しよう」


 アリーシャはメチャクチャになった部屋で手紙を書いていた。

 今頼れるのはあの人しか居ない、何てついてないの?

 肝心の時王都に居ないんだもの。


 アリーシャは知っていた。

 多情で浮気者の彼がアリーシャにだけ本気だった事を。

 そして彼女の為なら何でもすることを。


 ハワードがその手紙を受け取ったのは2日後だった。

 本来であれば3〜4日掛かるところを商人に金を掴ませ頼み届けさせた。

 勿論王都での騒動は此方まで届いていない。


 それを受け取った時、久し振りの王都の風が吹いた様にハワードは感じた。

 しかも相手はアリーシャだ、嬉しくないわけがない。


 メリッサに見とがめられない様に若干挙動不審になりながら用心深く蜜蝋を剥がす。

 手紙には困った事になったの、貴方しか頼れない。

 助けて頂戴、お願いよ会いに戻ってきて。とだけ書いてあった。

 おかしいな、順調な筈なのにどう言う事だ?


 そして手紙が嬉しくて眺めていると一箇所質感の違う所がある。

 何気なく指でなぞると涙の跡だと直感した。

 アリーシャが泣いている?あのアリーシャが泣いて助けを⋯⋯。


 居ても立っても居られなくなったハワードは取るものも取りあえず屋敷を抜け出す。

 メリッサに何も伝えず王都行きの辻馬車に飛び乗った。


 一方メリッサは随分前から姿の見えないハワードを探していた。

 ガーデンパーティーで出す野菜の選定を業者と行っていて厨房で指示を出していたのだ。

 屋敷の馬車は有るし、馬もいる、散歩?

 なんだか嫌な予感がして家令にハワードのことを尋ねると彼も知らないと言う。


 ただ商人が手紙を持ってきた事ぐらいです、と彼は言った。

「手紙?」

「ハイ、王都からの商人から渡されておりました」


 メリッサは書斎へ走る、そして机の上や引き出しを漁る。

 無い、その手紙が無い。持って行ったのだ。


「馬車を用意して追いかけるわ」








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