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一つの恋の⋯⋯孤立

 それからアリーシャは宰相の元に向かったが既に話が伝わったのか不在とけんもほろろに言われる。

 明らかに関わり合いになる事を拒んだ居留守を使われた様に感じ、メイドの誰かが密告したのだと思った。

 もうすがるのはエドモンドしかいないと執務室を訪ねるがこちらも未だに不在だった。

 彼が帰るまで居座るつもりでいたが文官達から仕事を理由にていよく追い出された。

 どうする事も出来ず落胆して伯爵家に帰ると、事情を知らない能天気な両親が今か今かと待ち構え矢継ぎ早に質問攻めにされた。

 そしてアリーシャの中で何かがプツンとキレてロビーに飾られていた大振りの花を花瓶ごと叩き落した。

 その剣幕で初めて娘に何かあったらしいと気が付き家人は蒼い顔でオロオロし始めた。


 アリーシャはそのまま部屋に鍵をかけて籠城した。

 今まで取り繕っていた仮面が剥がれ祖母からの贈り物のぬいぐるみを使ってテーブルの上の小物達を薙ぎ払った。

 それからは部屋の中からは絶えず物が壊れる音と泣き叫ぶ声が響き渡り夜通し続いた。

 その日王太子殿下がアリーシャの元を訪れる事も無く家族の不安は増すばかりだった。


 翌日、ドクトール伯爵は娘の様子が常軌を逸しており屋敷を離れる訳にもいかず宰相の元に手紙を届けさせた。それでも返事は無く午後遅くになってようやく城へ登城した。

 登城した瞬間から皆が遠巻きにし伯爵を見てひそひそと何か言っている。

 近づこうものなら蜘蛛の子を散らす様に逃げて行ってしまう。

 首を傾げながらまず殿下の執務室を訪ねる事にした。


 応接室に通されたドクトール伯爵は昨日のお茶会でアリーシャを侮辱した者がいるはずと娘の無念を代弁すべく鼻息も荒く、殿下に一言言ってやらなければと意気込んでいた。


「お待たせしました」

「殿下、昨日ウチのアリーシャに何があったのでしょうか?」


「昨日戻ってから話はしていないのですか?」

「はい、可哀想に部屋にこもって泣いております」


「私も昨夜遅くに帰って来たので事情は今朝聞いたのだ」

「ならばなぜ訪ねて来ては頂けないのでしょうか、アリーシャが不憫過ぎます」


「本当に知らないのか?それともわざとか?」

「それはどう言う?」


「彼女は母の顔に泥を塗った」


「王妃様の?いやあり得ません!」


「証人なら何十人も居る。その上やってはいけない事を堂々と何度もやらかした。言い訳もできんぐらいに」

「な、な⋯⋯」


「追って沙汰があるだろうが婚約は勿論破棄だ」

「そ、そんな」


「多分内容を知ったら社交界には恥ずかしくて出られんだろう」

「それほど?」


「あぁ、辺境の修道院に長い事入る事になるかもな」

「何とか殿下のお力で」


「こればかりは庇い立て出来ん。諦めてくれ」


 そう言われて次に向かったのは宰相の執務室だった。

「どういう教育をしておるのだ、あの様な娘を王太子妃に等と恥をかかせたな」


「あの、ウチのアリーシャが何を」


「その上わしの事まで持ち出しおって。呆れて物が言えん。派閥からも抜けて貰うぞ」

「そんな」

「今後一切我が派閥とは関係なし、以上!」

 そう言い残し足を踏み鳴らして出て行った。


 その後部屋に来た文官に昨日の一部始終を聞き頭を抱えた。


「我が一族はどうなるのだ、どうすればいい」

 肩を落として自宅へ帰って行った。


 伯爵が帰ると屋敷は静まり返りアリーシャの癇癪も収まった様だった。

 しかし家族に最も残酷な話が待っている。

 階段を登りながらどうしてこうなった、何処で間違えたと後悔するのだった。


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