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一つの恋の⋯⋯瓦解

 王妃は能面の様な表情のままメイド達を連れ離宮にある自室に戻った。

「暫く気持ちを落ち着けたいから声を掛けるまでそっとしておいて頂戴」

 抑揚のない声で指示する。

「はい、かしこまりました」

 王妃付きの沢山のメイド達がゾロゾロ出て行く。

 先程のことが王妃様に余計な心労をかけた事を察して誰もが俯き加減で無口だった。

 そして誰も居なくなった部屋で王妃は一人呟く。

「エドモンド、私の出来ることはやりましたよ。後は自分で後始末をなさい」

 それから少し悲しげにバルコニーを見た。


 今日中には先程の事が面白おかしく人々の口に上る事だろう。

 リリアナを汚い手段で追い詰めたあなたが事実で窮地に陥るのはどんな気持ち?

 王妃はニンマリ笑った。


 その頃お茶会会場では王妃の去った扉の前で暫く放心状態のアリーシャだったがようやく我に返り、戻ってきた王妃付きのメイド長に慌てて聞く。


「王妃様は?お戻りにならないの?」


 先程の言い訳を考えていたアリーシャはまだ招待客が帰っていないのに、周りが見えていなかった。


「チョットあなた、王妃様は王様の所に行かれたの?」


 王妃付きメイド長は残してきたお客様の為に戻って来ていた。

 王妃の途中退席を詫び、お見送りをする為に。


「いえ、そう言った事は私からは申し上げられません」

「言いなさいよ、使えないわね!いいわ王様の所に案内しなさい。それと宰相を呼んで頂戴。至急よ」


「それは出来ません」

「エドモンドも帰っているなら呼びなさい、これは命令よ」

「王太子殿下とお呼びください、問題ですよ」

「いいから。早くなさい!この私が言ってるの!」


 そこまで言ったところでザワッとした雰囲気に振り返り、まだ出席者が残っている事に今更ながら気が付いた。

「み、皆さんこれはですね⋯⋯その、誤解が更に悪く取られた事故の様なものなんです。説明して分かっていただけることなので⋯⋯これで私は失礼しますね」

 それだけ捲し立てる様に言うと華美なアクセサリーをジャラジャラ言わせながら淑女とは思えない様な小走りでアリーシャは去って行った。


「想像の遥か上を行きましたな⋯⋯」

 ある講師の声が響いた。


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