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一つの恋の……豪奢

 アリーシャは何時もより気合いを入れてオシャレしていた。

 王妃様との久々のお茶会。

 あくまで少人数でとの事だったがここで他の婦人や令嬢とは格の違いを見せつけねばと意気込んでいた。


 女官に他の招待客について聞いたところ20名程のこぢんまりした会との事。

 重要人物のご紹介かと母親と選りすぐったドレスや貴金属で此れでもかと飾り立ててきた。

 家を出る時に両親からなんて素晴らしいのでしょうとお墨付きをもらい上機嫌で城に登城した。


 時間よりも早く着いたのでアリーシャに用意されている豪華な部屋で暫し待つ様に言われたが、政務中のエドモンドに早く会いたかったので部屋付きのメイドに呼びに行かせる。

 入場時にエドモンドがエスコートしてくれるものと思い自分のドレスとお揃いの布で作らせたポケットチーフを用意していた。

 これをエドモンドの胸に飾り手を取って進む自分の姿を想像しただけできっと会場中が溜息を漏らすだろう。

 そして選ばれた者の幸福を見せつけてやるのだ。

 主催する現王妃の事など微塵も考えていないアリーシャであった。


 部屋がノックされエドモンドがおいでになったのかと振り向くと、呼びに行かせたメイドと文官が入ってきた。

「殿下は如何なさったの?」


 すると文官が気まずそうに

「政務でお出かけになっておられます」


「今日の事は勿論ご存知なのでしょう?少し遅れるのかしら」


「ハイ、ご存知かと思いますが少し遠方でしてお帰りの時間が読めません」


「お茶会よりも優先されるべき政務なの?一体どちらにお出掛けになったのよ!」

 これが他人の事ならば政務を優先させる様に優しげに言うのだが、自身の事となると思わずカッとして本音が漏れる。

「政務の事ですので他言は出来無いのです」


「私が聞いているのよ、王太子妃になる私が!」


「……」


「全く使え無いわね、普通今日が大切な日だって事分かっていたでしょう。王妃様主催のお茶会で私が皆さんにご紹介される大切な日なのよ!主賓を一人で入場させる気?」


「申し訳ありません、こちらの手落ちです。お戻りになられましたら直ぐにお茶会の方にお連れ致しますので」


「全くどう言う教育が為されているのかしら?あなたの上司を呼びなさい、命令よ」


「命令とは聞き捨てなりませんね、いつからこの城の主になったのですか?」

 王妃が沢山の側仕えを従えてドアの所に立っていた。


「あっ!」


「ノックをしまして御声がけも致しましたが……」

 王妃付き女官が言う。


「興奮して怒鳴っていたのですから聞こえなかったのでしょう」

 王妃がキツイ眼差しで言う。


「いえ、手違いがあったので注意をしていたのです。選りにも選って王妃様のお茶会ですので」

 顔は引きつりそうになりながら取り繕う。


「文官の上司とは王の事ですか?」


「いえ、そういった意味では……」


「そうですか、悪く取りすぎた様です。もうじきお茶会が始まりますから行きましょう、お待たせする訳にはいきませんからね」


「……はい」


「何か不満の様ですね」


「いえ決してそういう事では、王太子殿下が遅れていらっしゃるようなので」


「何故忙しい王太子がお茶会に顔を出しますの?」


「お、お披露目のお茶会だと伺っていましたので」


「お披露目とは?王太子妃教育の話などを聞きたいと思ってお招きした関係者だけですけど」


「……」


「何か勘違いを?そう言えば随分とおめかししている様ですね」


「あの、いえおめかしなんて」


「内輪のお茶会でその様な格好が出来るとは随分と浪費家なのですね」


「……」


「さぁ、参りますよ、遅くなりました」


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