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一つに恋の⋯⋯監視

 モンタギュー侯爵家のメイド、アンはメリッサの使いの者から手紙と報酬の銀貨を受け取っていた。

 当たり障りのないお見舞いの言葉の後、婚約者の領地に暫く行く事、病状や何か変わった動きがあれば知らせる事、報酬はその時の内容で支払う事等が記されていた。


 王都に戻る時期が未定なので、手紙を持参した使用人の男に困った事があれば相談する事等が記されていた。

 誰かに見られても不審がられないような用心深い手紙ではあるが、そもそも普通の友人関係でこの手紙はおかしい。しかし物理的に行き来が出来ない状況なので、アリーシャへのポーズとしてのものだろうと思った。

 使用人の男には了承の返事をして今の所変化無しでお帰り頂いた。


 そして王太子殿下がお見舞いにいらした際に手紙と銀貨は証拠として、更に使用人の名前もメモしてお渡しした。

 王太子殿下からは側近に欲しい位だとお褒めの言葉を頂いた。

 私はリリアナお嬢様の忠実な使用人ですから、と真面目な顔で言うと変わらずに頼むよと肩をポンポンと叩かれた。

 王太子殿下はお嬢様を裏切ってこのような状況を作り出した張本人ではあるが、今は心を入れ替えられお嬢様の回復を誰よりも望んでおられる。


 そしてお嬢様の身に何が起きたのか、真摯に向き合って下さっているという点では感謝している。

 多分これもお嬢様のなさってきたことが無駄にならなかった証明だと思う。


 その頃メリッサはハワードの実家の領地に到着していた。


 婚約者になって何度も訪れてはいたが今回は特別なものだった。

 結婚まで一年を切り、準備の為と女性関係清算を目的としたハワードの父親の配慮であった。


 勿論領地でも油断は出来ないがそろそろ腹を括って貰わないといけない時期に来ていた。


 結婚準備をしながら女性と距離を置き自然消滅させて領地経営の方にも力を入れないといけない。

 未来の公爵としての自覚を持って欲しい。


 それにあの蛇のようなアリーシャから逃れられるのだから良い事ずくめである。

 近くにいて無理難題を持ちかけられるのも嫌だし、ハワードにチョッカイを出されても困る。


 リリアナの所にはスパイしてくれる者がいるし、我が家の使用人を連絡係にしていて穴は無いはずだ。

 折角ハワード様とこうして一緒に居られるのだから結婚準備をしながらゆっくり出来る。


 それに……あの女が恐ろしい、いやいやあの女が幸せで無いといつ足元をすくわれるかわからない。

 もう既に一蓮托生となってしまっているのだから。


 メリッサは気を取り直しこの領地での生活を存分に楽しむ予定であった。

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