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第22話 戦闘開始2

「そい、やー、とう。」


「……少しは真面目にやって。」


「いやいや真面目だから。」


 マヤとニイルは何とかアオバに追いつこうとするが、アオバの進軍速度が速いため中々追いつけずにいた。


「それにしてもあの人は何であそこまで速いのかね?」


魔獣ガルムがアオバに寄り付けられないから。」


「そん位見ればわかるって。」


 のんきな事を言いながら周りの魔獣ガルムを狩っていく二人。そんな時、突如轟音が鳴り響く。

 マヤとニイル、アオバやランボ、しまいには魔獣ガルム達も音の発生源を見る。


「――何だよあれ……。」


 それは、上空にいくつもの魔方陣が展開されそれらから膨大な魔力が籠った『バーニングランス』が次々と放出されている光景だった。


「向こうに『宮廷魔導師マエストロ』が居たのか?……いや、居なかった筈だ。」


「恐らく今まで隠していたと思う。」


「何のために?」


「そこまでは分からない。」


 ただ、


「向こうの心配はもうしなくても大丈夫って事だけは分かる。」


 *


 一方、倞達の所は何とか戦線を維持する事に成功していた。


「左翼展開!そのまま押し戻せ!」


「中央はそのまま維持!後続の魔法部隊は10秒後『ファイヤーボール』を一斉掃射!」


 倞の攻撃の後、騎士団長は簡単に部隊を作り、敵本隊に対抗した。流石は騎士団長と言うべきか、その指示は集団戦をあまり経験しない冒険者の集まりでも効率的、かつ効果的に隊を運用していた。


「右翼、弾幕が足りてないぞ!何やっているんだ!」


「俺がカバーしに行く。」


「うむ、頼んだ。」


 倞は騎士団長に一言入れると、陣形の右翼側へと走り出す。そして着くや否、


「『ファイヤーボール』『ウィングボール』」


 二つの魔法を発動。それぞれ敵の後続の方に飛んで行く。そして、空中で『ファイヤーボール』と『ウィングボール』が衝突する。瞬間、爆発音が辺りに響く。土煙が上がり、暫く視界が遮られるが、それも直ぐに無くなり、


「――右翼、敵を殲滅完了。」


 *


「――右翼、敵を殲滅完了。」


 その声に騎士団長は驚愕した。倞が右翼へ援護に回ったのがつい数分前である。そしてたった二発の魔法で右翼側に展開していた敵を殲滅する技術と発想に騎士団長は舌を巻く。


「あのような奴、ウチの団に欲しいなぁ。――右翼はこのまま中央の方へ移動!敵を全て殲滅しろ!中央、左翼はもう少しの辛抱だ!」


 粗方指示を終え、負傷者が集まっている拠点の方に足を向ける。


「負傷者の状況は?」


「このまま戦場に出せる者は4名、軽傷者5名、重症者1名です。」


「そうか、引き続き君たちは拠点の防衛を頼む。」


「分かりました!」


 騎士団長はその返事に頷くとまた前線へと戻る。その際、一度だけ町の方を見て、


「――気のせいか。」


 *


「慌てるな!今冒険者たちが足止めをしている!焦らずに避難してくれ!」


 その頃、町に残った冒険者達は一般人の避難誘導に徹していた。時折聞こえる轟音に不安を抱く者もいるが、表情には出さ無かった。


「荷物は一つだけにしろ!そこの婆さん!流石に家持って行くのは無理だ!諦めろ!」


「おい!そこのアンちゃん!あの婆ちゃん逃がすの手伝ってくれ!あぁ?嫌だだと?ふざけた事言ってねーでサッサとやれってんだよ!」


「大丈夫かボク?何?ママと逸れたのか?……よし、お兄ちゃんが一緒に探してあげるから今は逃げような?」


「……分かったおじちゃん。」


「お 兄 ち ゃ んだ!」


 そんなやり取りをしながらも、確実に一般人を避難させている彼らの腕は確かな物だろう。だが、そんな彼らを不幸が襲う。


「もう少しで避難完了って所か。」


「残念、もう殆ど逃してしまったのですか。」


「――へ?」


 直後その冒険者は、何が起こったのか気づく間もなく首を落とされた。


 *


「やれやれ、全く面倒臭い事をやってくれますね、下等生物は。」


 ハーイ・ハンドは血の滴る手を払い、後ろにいる部下に町を焼き払うことを命令する。


「――全く、これだったらあの場所に居た奴から潰して行った方が愉しかったのに……。」


 少し後悔するような口ぶりで、呟くハーイ・ハンドは次の瞬間ニタリと笑い、


「――見つけた。」


 *


「ふぅ……。何とか終わったな。」


「……疲れた。」


 魔獣ガルムを駆逐し終えたマヤとニイルの元にアオバが歩み寄ってくる。


「そうで御座るな。」


「いやいや、アンタ大して疲れていないだろ!?」


「あれって結構腕に来るで御座るよ?一度経験してみれば分かると思うで御座る。」


 そんな風に呑気に会話をしていると、ふと何かが近づいて来る気配を感じたアオバが、


「――何かが来るで御座る。」


 その言葉にマヤとニイルは臨戦態勢に入る。暫くして、その正体が姿を現す。


「ふむ、お主達少しは出来るな?」


「誰だいおじいさん。」


「儂はジウバ。魔族と呼ばれる者だ。」


 その言葉を聞いた瞬間、三人はそれぞれの得物を構え距離をとる。

 ジウバはそんな三人を見て、


「もう一人強いのがおる筈じゃ。そやつを呼んで来い。話はそれからじゃ。」


「嫌だね。なんでお前の言う事を聞かなきゃいけないんだよ。」


 ニイルの言葉を聞き、ジウバはフォッフォッフォッと笑うと、


「――良いから黙って呼ばんか。」


「――ッ!?」


 ジウバから発せられる圧力にニイルは思わず後ずさりする。


「……こりゃマジで呼ばないと勝てねぇかもな。」


 *


 暫くした後、ランボが三人のいる所へやって来る。


「こいつかぁ?……確かにヤバそうだなぁ。」


 ランボが構える。それを見たジウバは、


「魔族第13席、ジウバじゃ。お主たちの名は?」


「――人間、SSランク『鉄壁』ランボ。」


「――人間、SSランク『真紅の兄妹スカーレット・ツイン』マヤ・スカーレット。」


「――同じく人間、SSランク『真紅の兄妹スカーレット・ツイン』ニイル・スカーレット。」


「――人間、SSランク『絶刀』アオバで御座る。」


 それぞれ名乗りを上げる。そして戦いの火ぶたは切って落とされた。



 *




「クソッ!」


 彼――アルベール・オードラスは燃え盛るピョングの町を疾走していた。

 殆どの避難が終わり、奥にいる筈の仲間にその趣旨を伝える為に態々町の外から来たのだが、そんな彼を出迎えたのは燃え盛る街と、時折上空から飛来する『ファイヤーボール』だった。

 アルベールは、何とかそれらを避け仲間がいる筈の所へ向かう。身体強化を使わなければ熱で焼けてしまうと錯覚するほど燃え盛る中、何か有った時の集合場所に到着する。そこでアルベールが目にしたモノは――


「嘘だろ、……嘘だって言えよ!タチアナ!」


 無残に首と胴が分かれてしまっていたタチアナの姿だった。


「ああぁ……あああぁぁぁぁぁぁぁぁああああああああ!!!!!!!」


「――全く、煩いですね。」


 突如背後から声がする。しかしアルベールの耳には届かなかった。


「この私を無視するとは……この下等生物如きがッ!」


 アルベールはタチアナの首を持ったまま首から上が無くなり死んだ。崩れ落ちたその死体は、首が無くなったタチアナの死体の直ぐ傍に倒れた。



モブの名前考えるのが辛い……。

それにアオバ達の所の展開の仕方がイマイチ……。


ちょっとした小話

・ハーイ・ハンドは斬首好き。

・魔族は自分が認めた者に名乗りを上げる事が多い。

・マヤとニイルの二つ名である『真紅の兄妹スカーレット・ツイン』は僅か3秒で閃いた。特に意味は無い。




こう言う名前のキャラ出して!とかあったらどんどん言ってください。大体出します。気に入ったのが有ればサブキャラとして出るかも。

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