第14話 予知夢
町の至る所が壊れ、人々は逃げ惑う。そんな人々の命を奴は嘲笑いながら消していく。
――燃え盛る炎。
――逃げ惑う人々の悲鳴。
――そして、奴の嘲笑う声。
そこは地獄だった。俺はショートソードを片手に魔法を放つが奴は早すぎる為当たらない。その事に僅かに驚いてしまう。奴はその一瞬を使い目の前から消え失せる。そして背後に現れその手刀を俺の首元目掛け振り下ろす。
*
「――うわぁぁぁっっっ!?」
ガバッ、と布団を吹き飛ばしながら倞は目を覚ます。全身汗だらけになっており、シャツが肌にくっ付いていた。
暫く荒い呼吸を整え、辺りを見渡す。
「――夢か……。」
*
「うむ、そんな事が有ったのか。」
「あぁ、何か妙にリアリティーが有って気分が悪かった。」
朝、市場に向かいながら倞はリリスに今朝見た夢の内容を話した。その内容を聞いてリリスはウム、と唸る。暫く考え込んでいたが、ゆっくりと顔を上げ倞に幾つか質問をする。
「今までにそんな事はあったか?」
「ああ言うのは二回目だ。」
そう、倞にとってあのような夢は過去に一度見ている。内容は少し違うが魔法を使っている等、共通点も多い。倞はその事も含めリリスに説明する。リリスはそれらを聞いた後、さらに質問を繰り返す。
「夢に出た通りの展開になった事は?」
「似たような展開なら幾らか。」
「その時の結果は覆ったか?」
「半々だな。初めの方はよく分からないで結果通りだったけど後半は違う結果になる事も暫しあった。」
「夢以外で急にその光景が浮かび上がったとかは?」
「それは無い。」
そこまで聞いてもう一度リリスは唸る。そして、
「もしかしたら予言視が発動しかけているのかもしれん。」
と言った。倞は訳が分からず首を傾げる。そんな倞の様子を見たリリスは、私もよく分からないが、と前置きをし、
「予言視とは魔眼の一種で、未来視の一部と呼ばれている。効果は夢で見た事が起こるかもしれないと言う一種の警告の様な物だな。だが、予言の当たる割合は半々位でかなり上位の物になる。それがほぼ当たるようになると今度は確定未来視と言ってまた別の物になって来る。」
つまり、
「お前が見たその夢は現実になる可能性がある、と言う事だ。」
*
倞はリリスが放ったその言葉を理解するのに数秒の時を要した。そして、
「そうか。」
と、考え込むように呟く。
リリスはそんな倞の姿を見て、
――無理もない。
そう考えていた。だが、
「速度が速い相手に魔法を当てるには此方の速度を上げれば良いな。」
と言う倞の言葉に驚愕させられた。普通は速い相手に攻撃を当てるなら、行動を鈍くさせれば良いという考え方がこの世界の基本である。無論、魔法を発動させるまでの反応速度や、構築速度などを上げて対処する方法もあるが、劇的な変化は無く、長い年月をかけてやっと実感できる程度なのだ。
そんな大変な事を倞はいの一番に上げたのだ。しかもその顔は自信に満ちている。リリスは、
「お前が十分規格外なのは分かっている。――だが、本当にそんな事が可能なのか?」
と、問う。倞は、
「一応頭の中に魔方陣のイメージは出来ている。――後は実際にやって修正を加えれば何とかなるだろう。」
と、返す。その言葉を聞いたリリスは思わず、
「お前本当に人間だよな?」
「当たり前だ。」
*
「――もう少し、もう少しで遂に我らの願いは果たされる。さぁ、者共。楽しい、楽しい殺し合いの時間だ……。」




