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第12話 盗賊♂

サブタイトルのネタが切れてきた。

 何かが爆ぜる音が聞こえる。周囲には焦げた肉の臭いと鉄の香りが入り交じり、慣れない者が近くを通ると気を失ってしまうであろうその場所に少年と少女――倞とリリスが立っていた。

 彼らは手にそれぞれショートソードとロングソードが握られていた。倞はショートソードを払い血を飛ばした後、腰に括り付けている万能ナイフを取り出し、


「うわっ、この中から耳探すのって相当時間かかるぞ……。」


「ツベコベ言うな。面倒臭いからって『バーニングレイン』なんてモノを使ったお前が悪い。」


「へいへい。」


 近くの肉片に近づき耳が無いか探し始める。暫く奮闘したものの、結局戦果は全体の三分の一程度しか無かった。しかもその三分の一は初めの方に剣を使って倒した物で、『バーニングレイン』を使った物からの収穫は無しに等しい。


「クソッ、これだけしか手に入らなかった。」


「それでも一応は依頼完了だ。今は一刻も早く宿へ戻って銭湯に入る方が先だ。」


 リリスはそう言うと身を翻し歩き去る。


「ちょっ!?待てよ!」


 その後を追うように倞も走り出す。


 ――倞がこの世界に来て既に半年以上が経過していた。


 *


「――む、近くに誰か居るな。」


 リリスは目を閉じ近くに誰かがいる事を倞に知らせる。倞も目を閉じ耳を澄ませる。

 確かに近くに人がいる音がする。


「素材目当ての盗賊か?――いや違うな。これは恐らく商人か何かが盗賊に襲われてるんだな。」


「如何する?助けに行くか?」


 リリスが尋ねるが倞は首を振るう。


「冒険者を護衛として雇わなかったのが悪い。もし雇っていたとしても報酬金をケチったか何かでそこそこの腕の奴しか来なかったんだろ。自業自得だ。助ける価値は無いね。」


「――半年前のお前なら有りえない回答だな。」


「こう言う風に育てたのは何処のどいつだってんだよ。」


 その言葉にリリスはアハハハと笑う。が、直ぐに表情を引き締める。

 そして、


「残念ながらそうはいかないみたいだ。」


 直後、草むらから薄汚れた男達が6人現れる。

 その光景を見た倞は、


「くそっ!お前分かってたな?」


 と悪態を吐く。

 そんな倞達に薄汚れた男の中でもボスの様な奴が一歩前に進み出る。


「お前たち、服までは奪わないから手にしている物全てよこしな!」


「ボス、普通そこは「命だけは助けてやるから身に着けている物と女を置いていきな!」じゃないんですかね?」


「置いて行って貰うなら男に決まってるだろ。」


 その言葉にリリスはあきれた表情になり、倞はそっとお尻の穴を手で隠すようにする。

 周りの取り巻きは何時もの事なのだろうか、諦めた表情で聞き流している。


「わかったか!女は武器と持ち物だけ捨ててどっか行け!男は俺と楽しい事をしような?」


 ボスがそう言った瞬間、倞の目の前に魔方陣が出現する。


「『バーニングボール』」


 リリスと取り巻きは其々防御姿勢をとり、ボスは、


「む!それがお前の返事か!ダハハハハ!」


 と笑いながら『バーニングボール』を正面から受け止める。瞬間、辺りに衝撃波が起こる。

 煙が立ち上る。流石に今ので生きてはいないだろう。そう思った時、


「ダハハハハ!良い!実に良いぞ!」


「ば……バカな!?」


 煙が晴れる。そこには服が燃えてはいるがほぼ無傷な状態で立っているボスがいた。


「お前の愛はよく効いたぜ。」


「『バーニングランス』『バーニングランス』『バーニングレイン』『ウィングボール』『サウザントバーニングランス』!!」


 普通では有りえない魔方陣の多数同時展開に『サウザントバーニングランス』と言う『宮廷魔導師(マエストロ)』でも使える者は僅かしかいないと言われている魔法を瞬時に構築。発動し、変態(ボス)をこれ以上近づけないように弾幕を張る。

 取り巻きはその衝撃で大きく吹き飛びリリスはロングソードを地面に突き刺し吹き飛ばされないようにする。

 流石に少しは効いただろう、と思うが変態(ボス)の笑い声に膝を折る。


「――こんな奴に勝てないと言うのか……。」


「残念だったな。相性が最悪だったみてぇだ。だが体の方はどうかな?」


 目の前に燃えた所為で全裸となった傷だらけの変態(ボス)が勃つ。その時、倞の顔がニタリと歪む。

 変態(ボス)はそんな事に気が付かず倞に手を伸ばす。瞬間、


「な……に?」


 ドスンと変態(ボス)の体が地に沈む。その後ろには倞が手刀を構えた状態で立っていた。


「もしやとは思ったが、まさか魔法を無効化するとは……。恐ろしい奴だ。」


 色んな意味で、と呟く倞にリリスは、


「お疲れ様。」


 と一言。


「早く銭湯行きたい。切実に。」


「それは同感だ。――ところで此奴はどうする?」


 視線の先には取り巻きに介抱されている変態(ボス)の姿があった。


「だから盗賊紛いな事はやめましょうって言ったのに。」


「こうじゃないと雰囲気が出ないだろう。」


「何の雰囲気ですか!?」


 リリスと倞は顔を見合わせると、


「――見なかった事にしよう。」


「そうだな。」

『バーニングレイン』:「火」「球」「爆発」「上空より落下」「多数」

『ウィングボール』:「風」「球」

『サウザントバーニングランス』:「火」「槍」「爆発」「千発」


変態(ボス):希少な魔法を完全に無効化する体質を持つ。本人は便利程度にしか思っていないが、かなり凶悪。物理は普通に効く。


倞:久しぶりの登場。作品の中だと半年以上経っており、考え方も常識もこの世界に適応してきているが、まだ甘いところもある。実はAランクになって居たりする。

リリス:こちらも久しぶりの登場。そろそろデレるかも。

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