第11話 国境付近海域戦
同時刻、国境付近の海域。この場所でも戦いは起こっていた。
「敵船確認!」
「全『魔導師』は射程に入り次第直ちに広域魔法を撃て!」
「了解!」
カンニバル帝国の保有する船は35隻。その内の約半数である17隻がこの海域に集められた。
対する敵船の総数は21隻。単純な戦力では負けている。だがこの船団を纏めるネルソン・マンデラ提督にはこの戦いに勝つビジョンが脳裏に鮮明に映し出されていた。
「敵船射程圏内までおよそ100!90!80!」
「甲板じょうで動き有り!『魔導師』です!数は……お、およそ300!」
「300!?あの船まさか全員『魔導師』って事か!?提督!そうしますか!?」
「……なに、焦る事は無い。勝利はもう見えている。」
「そ、そうですか。」
ネルソンは椅子に座りパイプを吹かし始める。魔法の打ち合いが始まり騒がしくなった外の音を聞きながらゆっくりと目を閉じる。数秒、いや、数分か、暫く目を閉じていたネルソンは不意に目を開ける。
そして、
「第一艦隊は単縦陣で右へ迂回しながら敵の背後へ回れ。第二、第三艦隊はこのまま正面から複縦陣に移行し攻撃を続行。第四艦隊は単横陣を組み岸に近づけ。客人が来るぞ。」
「「「「了解!」」」」
ネルソンに言われた通りに陣形を変えていく。消耗率が比較的少ない第一艦隊は『バーニングボール』や『ファイヤーメテオ』を使用しながら回り込む。もっとも損傷率の大きかった第四艦隊は戦域を離れ客人とやらを待つ。
そして、第二、第三艦隊は正面から敵の攻撃を凌ぎつつ反撃を行うがやはり被害は大きい。
「一番艦マスト折れました!航海不能です!」
「二番艦甲板に『バーニングボール』が多数直撃!もう持ちません!」
「六番艦左舷に被弾!浸水しています!」
次々と艦の損傷の報告がなされる。兵達はネルソンの言っていた客人は来ないのではないか?と思い始めていた。
その時第四艦隊一番艦の乗組員が陸地からこちらに向かって跳躍してくる影を確認した。
直後、轟音と共にその影は甲板に降り立つ。そしてすぐさま次の船へ向かって跳躍する。
――その影は背に身長ほどの二振りに大剣を背負った鬼、Sランク……いや、今はSSランクのソウルであった。
ソウルは次々に船を飛び渡り、ネルソンが乗っている船に降り立つ。
「お前が依頼者のネルソン・マンデラだな?」
「いかにも。そう言うお主はソウルで間違いないな?」
あぁ、とソウルは答える。
「依頼は敵艦の殲滅。間違ってはいないな?」
「その通りだ。此方の船と敵の船、見分けは付くか?」
「大丈夫だ。問題無い。」
「そうか。では頼む。」
ソウルはネルソンの最後の言葉に答えず最前線へと跳躍を開始する。
「……提督、奴は一体何者なんですか?」
「――奴はいずれEXランクになれる男だよ。」
*
ソウルは身体強化を行いながら目標へと跳ぶ。背にある二振りの大剣の内、片方だけを抜き取り上段に構える。そして落下。同時に大剣に刻まれた魔方陣からある魔法が発動する。直後、ソウルの落下速度はさらに上昇。そして、
「チェストォォォ!!!!!」
大剣を思いっきり振りかぶる。直後、ソウルの直線上にいた敵船が真っ二つに割れる。それでも勢いは止まらずその衝撃は海も割り高さ30メートルほどの水柱を作るに至った。
ソウルはもう一度魔方陣を起動。自身にも身体強化をかけ直し海面を蹴りもう一度跳躍する。
今度はそのまま敵の船の甲板に降り立つ。
「悪いが依頼なんでな。あまり恨まないでくれよ。」
そして一閃。それだけで船は上下に分かれる。その光景はあまりに異様だった。
「あ、悪魔だ……。」
どこからとも無く聞こえて来た声にソウルはガハハハハッ!と笑い、
「これからお前らの命を奪うSSランク冒険者、ソウルだ。」
悪魔はそう言い残りの敵船を全て真っ二つにしてこの戦いは終わった。
*
その後、カンニバル帝国は侵攻して来た周辺諸国を逆に吸収。ヘルメス皇国、ラツア王国の両国家はこの事に対し非干渉を決め込む。こうしてこの世界にカンニバル帝国、ヘルメス皇国、ラツア王国、アニメジア連邦の四大国家が誕生した。
そして予言に書かれた事態はおよそ半年後に起こった。
結局主人公は出なかったんや←
今回の言い訳:一度書いてみたかった。反省はしているが後悔はしていない。
一応これでこの章は終わりです。短すぎるって?プロットには
「カンニバル帝国と周辺小国の戦争」
「カンニバル帝国とヘルメス皇国のトップの密談(東の国の使者がもたらした予言について)」
しか書いてないもん。(実話)
それとあまりに短すぎるから急いで次の章書いてます。次の章はかなり長くなる予定。まぁ腕次第なんですけどね。
ネルソン・マンデラ 性別:男 年齢:57歳 利き手:右利き 種族:人間 髪:白髪交じりの金髪 目:紫
ソウル 無事ランクが上がりSSランクに。
倞 出番なし。
リリス 同じく。




