第10話 国境戦線
「現在の状況は!?」
「はっ!現在第一歩兵部隊部隊、第二歩兵部隊部隊共に接敵開始。第三騎兵部隊は作戦開始位置へ移動開始。第四魔導部隊、第五魔導部隊は各自持ち場に着きました。」
顔に傷があり、顔の皺が彼の年齢を物語り、歴戦の戦士を彷彿させるそのオーラを持つ男――クラウド・ライトは部下からの報告を聞きうむ、と軽く頷く。
そんな彼の元にもう一人の部下が駆けつける。
「ほ、報告です!諜報部隊からの伝令で敵勢力の数が分かりました!」
「どの位だ?」
「じゅ、十万です!」
その言葉に流石のクラウドも驚きが隠せなかった。
「――それは本当か?」
「はい!今回は傭兵の姿も確認されています!」
「くそっ!奴らどこからそんな金を出しやがったんだ!」
あまりの出来事に悪態を吐くクラウド。そんな彼にさらに追い打ちをかける報告が入る。
「新たな敵勢力が海からこちらに接近してきます!」
「……原因はアニメジアか。奴ら金の事になると碌な事しねぇな!」
クラウドは思わず机を殴りつけてしまう。
「――例のアレを使っては?」
「いや、アレの使用はまだ早い。ヘルメスの奴らとの協定でも来たるべき時にのみ使用するとある。今使ってはこの後どうなるか見当がつかん。それにあのラツアの馬鹿王が目を付けるだろう。それだけは御免だ。」
いや待てよ、とクラウドは少し考え、
「――奴等に依頼しよう。」
*
その頃、第一、第二歩兵部隊は敵勢力の歩兵部隊との戦闘に突入していた。
兵の練度や装備はカンニバル帝国の方が優れていたが、敵勢力は明らかに兵とは思えない恰好をした者や傭兵と呼ばれる冒険者の一部達の姿があり、戦況は硬直していた。
第一歩兵部隊に所属する新兵のカルロス・エディックは今もなお迫り来る敵勢力との戦闘の渦中にいた。
まるでのように寄って来る敵を手にした魔法剣(簡単な魔方陣が書かれた物で魔力を流すと切れ味が上がったりする)を用いて切り捨てていく。
「第六魔導部隊はまだか!?」
切っても切っても次々に湧いてくる敵にカルロスの精神が疲弊していく。
握っている魔法剣は汗と返り血により何時すっぽ抜けるか分からない状況だ。それでも彼は自国にいる家族や愛人の為にその件を振るう。
*
一体どれだけの時が流れただろうか。カンニバル帝国側の兵士も次々に敵に切り倒されていく。そんな中カルロスは体中に切り傷を負いながらも未だに戦い続けていた。しかし何時まで経っても援軍が来ない。その事にカンニバル帝国の兵たちは皆不安になる。その時敵上空からこちらに向かって火の玉後降って来るのが見えた。
「『ファイヤーメテオ』だと……ッ!?『上級魔導師』クラスの魔道士が向こうに居るのか!」
かなり広域にわたって展開されている為、避ける事は難しいだろう。
――此処までなのか……。
カンニバル帝国の兵の顔には絶望が色濃く映される。それに反して敵はその勢いをさらに活発にさせる。
しかし、絶体絶命の時、突如上空に展開していた『ファイヤーメテオ』が消滅する。
突然の出来事に誰もが唖然とする。
そんな戦場に女の声が響き渡る。
「帝国の兵ってこんな弱かったかしら?」
逆光でシルエットしか見えないが、手にしている反りが有る片刃剣を片手にしているその姿から誰もがとある人物を思い浮かべる。
「『悪魔の一振り』エリナ・ガウス……ッ!」
エリナ・ガウス――カンニバル帝国に拠点を置く世界に4人しかいないEXランクの内の一人だ。彼女は身体強化しか使えないが魔装具である反りが有る片刃剣――彼女曰く刀と呼ばれる物――を使用し、射程内ならばあらゆる魔法を消滅させる事が出来る。
そんな彼女が増援として来てくれた事によりカンニバル帝国の兵の士気は高まり、反撃を開始し始める。居るだけで士気が上がり戦局が覆る。それがEXランク。その後、彼女は何もせずに戦いは終わった。
アニメジア――正式名称アニメジア連邦。領地は朝鮮半島全てとその周辺にある小島。珍しい魚などが多数生息し、観光地が多い。
クラウド・ライト 性別:男 年齢:60歳 利き手:左利き 種族:人間 髪:肌色。決して禿とか言ってはいけない 目:茶色
カルロス・エディック 性別:男 年齢:19歳 利き手:右利き 種族:人間 髪:茶色 目:黒
エリナ・ガウス 性別:女 年齢:恐らく100歳は越えている 利き手:右利き 種族:エルフ 髪:鮮やかな金色で腰まである 目:赤色




