第8話 天才ハンター猫Cコード
Cコードという猫がいた。
Sの嫁にと言い訳しつつ店で一目惚れしてお連れした、ラベンダーカラーのチンチラだ。
他の子猫が客と店員に愛想を振り撒くなか、彼女だけが無心でフードを貪っていた。
(……この子は即戦力になる!)
私は確信していた。
家に迎えて四日目。
Cコードは家庭菜園から巨大な何かの幼虫をくわえてきた。
ライムグリーンでちょうど高級ウインナーと同じサイズ感。合計四本をベランダに並べた。
阿鼻叫喚の我が家。
やはり私の目に間違いはなかった!
Cコードは血統書付きの高級猫でありながら食い意地が張っている。
良いハンターになると一目で見抜いた自分を褒め称えたい。
彼女は成獣になると畑のさまざまな害獣害鳥を捕ってきた。
ハタネズミ、イエネズミ、土鳩、謎の小鳥。
ある日、玄関に奇妙なネズミが並べてあった。顔は細長く尖って、手が大きく鉤爪がある。
海峡を挟んでブラキストン線があるから、北海道にはモグラは生息していない。
トウキョウトガリネズミ。
絶滅危惧種二類。
モグラとよく間違われるスポイトみたいな顔の生物。該当するとしたらこれしかない。
ご家族さまで並べられている。
うちの近所のは絶滅した可能性がある。
私が外来種を持ち込んだせいで、希少な在来種がこんなことに……。
Cコードの息子Eマイナーが新鮮な魚をくわえてきた。
灰色と黒のしましまの太った魚だ。
どう見ても海の魚。
田舎だから、四方数キロ以内にスーパーなんか無いのに。
Eマイナーは重い雨戸を片手で叩き開ける豪腕の主。
どこかのお宅の玄関を開けて、朝食のおかずを盗ってきた可能性が非常に高い。
一軒ずつ確認するか?
いや、無理だ。
泥棒猫とハンター猫のハイブリッド。
その存在を世間に知らしめてしまう。
直線距離二キロに海がある。
漁師さんが棄てた雑魚を拾ってきた可能性も無くはない。
だが、拾いものをわざわざ自慢げに見せにくるだろうか?
毎日餌を与えているのに、なぜ捕ってきてしまうのだろう。
カリカリエサは主食で、生物は別腹なのか?
……食物連鎖。
そう。これも食物連鎖の一環に過ぎない。
猫の思考回路は猫にしかわからないのだ。
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