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第4話 猫使いという生き方

亡き父は農業者であると共に、優れた猫使いでもあった。


 黒猫Sが生後半年を過ぎて外で散歩を楽しむようになると、父は彼の調教をはじめた。


 猫の排泄物は臭い。

 畑に近所の野良猫が入ってくるのを、家族は嫌っていた。


 父はよくSに話しかけ、Sは人語を解しているように端からは見えた。


 父は春先に外で猫のオラついた声が聞こえるとSの尻を叩く。


 Sは尻を叩かれながら士気を高め、

「おわーうぅぅー!!」と唸り声をあげる。


 彼の士気が上がりきったところで「来たぞ、行ってこい!」と窓から放つ。


 ボクサーとセコンドの関係に似ていた。


 訓練なのか遊びなのかわからない。

 特に猫の声がしなくても「行ってこい!」と言われると真夜中に叫びながら出動していく。


「消防車のサイレンみたい」


 妹はこの時のSの鳴き声がお気に入りだ。


 しばらくパトロールしてからSは戻る。


 猫にはいろんな楽しみ方があるのだ。 


 私は普通でいい。


 父に奪われたSの気を引くため、猫じゃらしや玩具を大量に買い揃え、あらゆる味の猫缶を揃えることにした。

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