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第82話:魔道具メーカー「限界性能テスト」編:中編


【魔杖粉砕! お嬢様のフルパワー】

 テストドーム内には、開発チームの「絶対的な余裕」が漂っていました。  大介(中身:エイミー)は、仰々しく台座に置かれた一本目の杖を手に取ります。それは『不壊の魔銀ミスリル』を贅沢に使い、何重もの障壁を施したメーカー渾身の自信作でした。


「まずは小手調べ……というところでしょうか。エイミー様、計測器の準備は整っております。いつでもどうぞ」


 開発主任の佐藤が、余裕たっぷりにコーヒーを啜りながら合図を送りました。


「(ふふん、小手調べだぁ? そんな面倒なこと、俺の性格に合うわけねーだろ。エイミーみたいにちまちま魔力を編むのは苦手だけど、ただドバッと出すだけなら得意分野なんだよ!)」


 大介は、エイミーの体に眠る膨大な魔力の「栓」を、文字通り根こそぎ引き抜きました。  緻密な操作など一切無視。ただひたすらに、ありったけの魔力を杖へと叩き込む――!


「――墜ちなさい!」


 瞬間、ドーム内に耳を劈くような警告音が鳴り響きました。


「な、なんだ!? 数値が……振り切れた!? バカな、まだ発動前だぞ!」 「あ、あの! 杖の障壁が……耐えきれずに、蒸発しています!」


 佐藤がコーヒーを吹き出したのと、杖が「悲鳴」を上げたのは同時でした。  不壊を誇った魔銀の杖が、大介の暴力的なまでの魔力密度に耐えかねて、真っ赤に熱せられた鉄のように歪み始めます。


 ――ドォォォォォン!!


 まばゆい閃光と共に、一本目の杖が文字通り「木っ端微塵」に爆砕しました。


【凍り付く研究者と、弾む皮算用】

 静寂がドームを包み込みました。  舞い散る火花の中、大介(中身:エイミー)は煤一つ付いていない優雅な仕草で、空っぽになった自分の手を見つめ、わざとらしく溜息をつきました。


「あら……。不壊と聞いていたけれど、案外、脆いものですわね? わたくし、まだ『挨拶』も済ませていないのだけれど」


 後ろに控えていた研究員たちが、顔を真っ青にしてガタガタと震えだしました。


「う、嘘だろ……。あの杖は、Aランクパーティ『火炎の帝王』のリーダーが全力で炎を叩き込んだって、傷一つ付かなかったんだぞ……!」 「それを、一瞬で……それも発動前に圧壊させるなんて、この少女は化け物か!?」


 佐藤は膝から崩れ落ち、粉々になった試作機の残骸を呆然と見つめています。  しかし、大介の内心は祭りのような騒ぎでした。


「(よっしゃあ! きたきたきた! 今ので追加報酬二千万確定だろ!? 意外と簡単に壊れるじゃねえか、これなら全本いけるぜ!)」


 大介は、ショックで真っ白になっている佐藤に、追い打ちをかけるように微笑みかけました。


「さて、次の『まき』を持ってきてくださるかしら? 残りはあと四本……早めに済ませて、お茶にしたいものですわ」


「ま、待ってください! 今のは何かの間違いだ! 次の二号機は、一号機の倍の強度を誇る特殊結晶を使って……」


「いいから、出しなさい。わたくしの時間を無駄にさせるつもり?」


 完全に「お嬢様」になりきった大介の圧に押され、研究員たちは震える手で二本目の杖を運び込みます。大介の瞳には、一億五千万へと続く黄金の道が、はっきりと見えていました。

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