第164話:至高の輝き、リディアの秘宝
大介が地球で『剛力甲・不動』を手に入れたその足で、二人はポータルを抜け、異世界リディアの地へと降り立った。
大介が予定より早く用事が終わったので、結局二人で行くことになった。
今回はエイミーの装備新調。前衛の大介も、護衛と「荷物持ち」を兼ねて同行している。
まず二人が訪れたのは、王都でも最大手の『ルナリス商会』だ。
「おやおや、ダイスケ殿! お待ちしておりましたぞ!」
恰幅の良い商人、ガザルが揉み手で二人を迎える。
大介は地球から持ち込んだ最新の「高保湿美容液」と「ポーション用特殊ボトル」の入ったケースを差し出した。
「ガザル、約束の納品分だ。……それから、今日はこちらに預けている売上から、金貨で三千枚ほど引き出したい」
「さ、三千枚!? ……承知いたしました、すぐにご用意させます!」
リディア側での化粧品販売は、今や王都の貴族女性の間で空前のブームとなっている。
凄まじい純利益がルナリス商会の金庫に積み上がっているのだ。大介は、麻袋に詰められた金貨の重みを肩に感じながら、エイミーの後に続いた。
「……次はどこへ行くんだ? 王都の服飾店か?」
「いいえ、大介さん。私の地球での魔力に耐えられるローブを縫えるのは、人間ではありませんわ。……これから向かうのは、ドワーフの街『グロム・ドール』ですわよ!」
二人は馬車を乗り継ぎ、峻険な岩山をくり抜いて作られたドワーフの職人街へと到着した。
熱気と金属を叩く音が響くその街の最奥、伝説的な名工が営む工房の門を叩く。
「エイミー様、お待ちしておりました。注文の品、仕上がっておりますぞ」
筋骨隆々の老ドワーフが差し出したのは、触れるだけで指が透けそうなほど細い銀の糸で織られた、白銀の法衣だった。
「これこそが、最高級のミスリル糸を極限まで細く引き伸ばし、エルフの古呪文を織り込んだ**『霊銀の聖衣』**ですわ」
エイミーがそれを羽織ると、ローブは彼女の魔力に反応して淡く発光し、その輪郭を幻想的に縁取った。
さらにドワーフの主人は、厳重に布で巻かれた長い包みを取り出す。
「そして、もう一点。エルフの国でも数世代に一度しか産出されない、枯れぬ聖樹の心材を用いた**『世界樹の枝杖』**。これ一本で、貴女様の魔術行使速度は三倍、威力は五倍に跳ね上がるでしょう」
エイミーがその杖を握った瞬間、周囲の空気がピリリと帯電した。
「……大介さん。これなら、どんなダンジョンだろうと、貴方の背中を完璧に守り通せますわ」
漆黒の甲冑を纏う大介と、白銀の光を放つエイミー。
地球とリディア、二つの世界の頂点を極めた装備を揃えた二人は、不敵な笑みを交わした。
「よし、準備は整ったな。……行くぞ、エイミー。政府の連中に、リディアトレードの『本気』を見せつけてやろう」
「はい、大介さん!」




