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第147話:決戦、螺旋と傲慢の果て


王国武闘大会、決勝。 闘技場のボルテージは最高潮に達していました。


対峙するのは、無名の冒険者ながら圧倒的な力で勝ち上がった大介と、上級貴族の嫡男であり「天才」の名を欲しいままにするアルフレッド・ヴァンハイム。


「……身の程を知れ、野良犬。エイミーは私の『飾り』として相応しい女だ。お前のような者に横から口を出される筋合いはない」


アルフレッドは純白の甲冑に身を包み、宝石が埋め込まれた麗しい魔剣を抜きました。


その瞳には、大介を人間としてすら見ていない、深い蔑みが宿っています。


「飾り、か。……あんたには一生分からないだろうな。彼女の本当の輝きも、その隣に立つために必要な覚悟も」


大介は静かに構えを取りました。観客席のエイミーは、フードを脱ぎ捨て、凛とした立ち姿で大介を見守っています。


「始めッ!!」


審判の合図と同時に、アルフレッドが消失しました。


「『光速の審判ジャッジメント・レイ』!」 上級の光魔法を剣に宿した超高速の刺突。並のAランク冒険者ですら、目で追うことすら叶わない神速の一撃。


しかし、大介の目には、エイミーとの特訓で見てきた「銀色のドリル」の方が遥かに速く、凶悪に映っていました。


「……見えている」


大介は最小限の動きで剣筋をかわすと、掌底で剣の側面を叩き、軌道を逸らします。


「なっ……!? 私の剣を避けたというのか!」


「これしきの速度、彼女の『シルバースパイク』に比べれば、止まって見える」


大介の言葉に、アルフレッドの顔が屈辱で歪みました。 「貴様ァ! 落ちこぼれの魔法などと私を比べるなッ! 塵になれ! 『大極光爆グランド・クロス』!」


アルフレッドが魔剣を地面に突き立てると、闘技場全体を覆い尽くすほどの膨大な光のエネルギーが炸裂しました。逃げ場のない広範囲攻撃。


「大介さん!」 エイミーが叫びます。しかし、それは悲鳴ではなく、信頼の合図。


大介は深く腰を落とし、拳に全ての魔力を凝縮させました。エイミーが教え込んだ、一点突破の螺旋の理。


「……『極・螺旋正拳スパイラル・インパクト』」


光の奔流が迫る直前、大介の拳が虚空を打ち抜きました。 放たれたのは、ただの衝撃波ではありません。超高圧に圧縮された魔力のドリルが、光の爆発そのものを中心から「穿ち」ました。


バリィィィィン!!


空間が割れるような音と共に、アルフレッドの必殺魔法が霧散します。


その中心を真っ直ぐに突き進んだ螺旋の余波が、アルフレッドの魔剣を根元から粉砕しました。


「あ……が……あ……!?」


魔剣を折られ、防御障壁を貫かれたアルフレッドは、その場に膝をつきました。


大介の拳は、彼の喉元数センチのところで止まっていました。


「……俺の勝ちだ。二度と、彼女を飾りなんて呼ぶな」


静まり返った闘技場に、大介の低い声が響きました。 一拍置いて、割れんばかりの歓声が沸き起こります。


貴賓席では、父ロバートが呆然と立ち尽くし、母マーガレットは涙を浮かべて拍手を送っていました。


そしてエイミーは、誇らしげに、最高に輝く笑顔で大介へと駆け寄りました。


「……お見事でしたわ、大介さん! 私の、自慢のパートナーですわ!」


大介はエイミーの手を力強く握り返しました。


それは、古い因縁を完全に打ち砕き、二人の新しい時代を告げる勝利の証でした。

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