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第122話:修行開始と、暑苦しい再会


リディアの冒険者ギルドの重厚な扉を、大介(中身も大介)が潜りました。


しばらくエイミーと中身を入れ替えて「地球のダンジョン」に籠もっていたため、本来の自分の肉体でリディアの空気を吸うのは、彼にとってどこか新鮮で、かつ気が引き締まる思いでした。


「よし……。まずはこの世界での『感覚』を身につけねぇとな」


大介が掲示板を眺めていると、背後から地響きのような足音と共に、聞き覚えのある野太い声が響きました。


「お、おい! 見ろよリリー、ありゃ大介じゃねえか!」


振り返ると、そこにはエイミーの話にあった筋骨隆々の戦士ガルガンと、ニヤニヤと意地の悪い笑みを浮かべた弓使いのリリーが立っていました。


「大介ぇ! お前、今までどこで何してたんだぁ! ずっと姿を見せないから、てっきりどこぞの魔境に修行に行ったかと思ったぞぉ!」


ガルガンが大介の肩を、親の仇かというほどの強さで叩きます。


エイミーが中身だったあの夜とは違い、大介はそれをがっしりと受け止めましたが、ガルガンの目は相変わらず「友情」という名の熱に浮かされていました。


「あはは、本当よ。あの夜、あんたが乙女みたいな悲鳴を上げて逃げ出した後、ガルガンったら『俺の愛が重すぎたか……』って三日三晩落ち込んでたんだから。あんた、あんな声出せたのね?」


リリーがクスクスと笑いながら追い打ちをかけます。


大介は(……エイミーの野郎、俺の体で何しやがった)と遠い目をしましたが、今はそれを追求している場合ではありません。


「悪い。ちょっと……『遠方の魔境(地球のダンジョン)』の方で立て込んでてな。しばらくこっちの仕事はサボってたんだ。だから、今日は慣らしの依頼から始めようと思ってここに来たんだよ」


「なんだ、腕が鈍っちまったのか? だったら俺たちが付き合ってやるよ!」


ガルガンが鼻を鳴らし、自分の巨大な斧を誇示するように叩きました。


「ちょうどいいぜ。大介、お前のその研ぎ澄まされた筋肉、鈍らせておくのはこの街の損失だぁ!」


「……ああ、頼む。格闘術と魔法を混ぜるための『土台』を作りたいんだ。ガルガン、リリー。しばらく修行に付き合ってくれ」


大介の真剣な眼差しに、リリーも少しだけ笑みを引っ込め、楽しそうに弓を指先で回しました。


「魔法と格闘の融合ね。あんた、また面白いこと考えてるじゃない。いいわよ、その『慣らし』、私たちがとことん付き合ってあげる」


こうして、大介のリディアにおける本格的な修行が、かつての「相棒」たちと共に幕を開けました。


しかし大介は、この後ガルガンから「友情の組手」という名の過剰なスキンシップを再び受ける羽目になることを、まだ完全には予見できていないのでした。

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