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第95話:入れ替わり報告会

「おかえり、エイミー。入れ替わり期間、向こうで無茶しなかったか?」


「私の方は今回は商品納入とトレーニングだけだっから特別なことは何もなかったかな。……それで? その満足げな顔、何かあったのね」


エイミーが呆れたように、しかしどこか安心したように微笑むと、大介はテーブルの上に一枚の重厚な書類を置きました。


「驚くなよ。このアパートと土地、二億でまるごと買い取った。エイミー、お前が稼いでくれた金のおかげだ」


「に、二億……!? ちょっと、このボロ家……いえ、失礼。この建物にそんな価値があるの?」


「価値なんてねえよ。ダンジョンが出てから周りの住人も逃げ出して、他の部屋は全部空室の幽霊物件だ。でも、ここには『入り口』があるだろ? 大家の気が変わって取り壊される前に、法的に俺たちの所有物にしちまった。これでここは、誰にも邪魔されない『俺たちの城』だ」


「……そう。二億で城を買うなんて、私の世界でもなかなかないわ。でも、そうね。私たちの繋がりをこれで守れるなら、安い買い物なのかもしれないわね」


エイミーはそう言って、少しだけ嬉しそうに部屋を見渡しました。


しかし、大介はそこで少しだけ真剣な表情になり、声を落としました。


「……それと、新宿ダンジョンでのことだ。報告しておかなきゃならないことがある。ボスの精神攻撃で、お前の過去を見た」


エイミーの肩がピクリと跳ね、その瞳に一瞬だけ影が差しました。


大介は逃げずに、真っ直ぐに彼女を見つめ、幻影の中で見た光景を語りました。


冷酷な父・ロバートや兄・ヴァルディスから浴びせられた罵詈雑言。そして、孤独な書斎で「誰かを守れる強さ」を求めていた幼い彼女の姿を。


「勝手に覗く形になって悪かった。けどな、エイミー。お前を『人形』だなんて言った奴らは、節穴もいいところだ。あんな絶望的な環境で、誰かを救うために魔法を磨き続けてきたお前を、俺は心底すげえと思った。……それに、あの頃から『細すぎる男』に不満を漏らしてたお前のブレなさは、もはや尊敬に値するよ」


「ちょっと……! そんなところまで見られたの!? 恥ずかしいじゃない……!」


耳まで真っ赤にするエイミーを宥めるように、大介は自分の分厚い胸板を拳で叩きました。


「笑ってないって。お前の家族が何を否定しようが、俺がお前を全肯定してやる。これからは、この『双葉荘』も、俺のこの体も、全部お前を支えるためのバルクだ。お前の邪魔をする過去なんて、俺が一緒にぶち抜いてやる」


「……バルク。ふふ、よく分からないけど、大介らしいわね。そこまで言うなら、お父様たちへの意返しは大介さんの背中も貸してもらうことにするわ」


エイミーは照れ隠しにふんぞり返ってみせましたが、その瞳には信頼の色が強く宿っていました。


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