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3-32 分隊長

 先日のホール探索に参加した探索者達は特段の希望がなければその多くが同じ小隊に組み込まれる事となった。同じ戦場を潜り抜けた者たちには互いの好き嫌いはあれど、それらを超える共感といったものが存在した。

 小隊長にはランファが入り、分隊長として軍の下士官や上等兵が派遣される。

 エンド達の分隊は主にラ族の面々が割り当てられており、その分隊長はキャンプ地でエンドがマナの補給を行った軍人であった。小柄な三つ目族の彼女はランファの部下で伍長でルアシーと名乗る。先のこともあって非常に友好的であったが、この差配はランファがエンド達を慮ったものであった。


 形としては軍に組み込まれた探索者達であったが、現時点では元々の軍人だけで対応可能な状況であり、戦闘ではなく避難所の巡回と領都の西側以外の哨戒が主な仕事となっていた。

 勿論その仕事自体は真面目に行われていたものの、現在はそれでもまだ雑談を行う余裕があった。


「いやぁ、あの時は助かりましたよ!でも大型種の方で少燃費って珍しいですね?」


 人懐っこいルアシーにエンドは頷く。


「うむ、伍長殿。私もこの国に来て同族に出会った事は無いな。体力はあり周囲の気配も分かるが、戦闘にはあまり期待しないでほしい。」


 ルアシーはエンドの言葉に手を左右に振って笑顔で返す。


「いえいえ!種族で得意なことは違いますからね!私達三つ目もそんなに個人だと強い方には入らないですよ、ま〜ウチの隊長みたいに例外は居ますけどね!」


「ふむ、やはりランファ・・・少尉は凄いのかな?」


「ええ、そりゃもう!」


 ルアシーの話では近接戦が主となる軍では武芸の催しも頻繁に行われる。燃費は悪いが大型のフィジカルに優れた種族が有利な中、毎回かなりの上位に食い込んでいるとの事であった。それだけでなく事務能力にも優れていると自慢げに語る。


「ちょっと真面目すぎて融通が効かない所がありますけどね!でも、ここ最近は結構機嫌が良さそうな事も多かったですねー。」


「む?そうなのか」


 エンドとしては真面目な部分は同意するが、色々と便宜を図ってもらっているため融通が利かないという点に少し同意しかねる部分もあったが、部下とそうでない者への対応の違いも組織務めにはあるのだろうと考える。

 暫く取り止めのない歓談が続き、その日の仕事は終了した。


「・・・アイボー、なんかあの伍長さんと仲が良いね?」


 帰り道のリンガは少し機嫌が悪そうに顔を覗き込む。


「はっはっは、快活で良い女性ではないか。それに同じ分隊として動くのだ、仲が良い事に越したことはないだろう。」


「そりゃあさぁ・・・」


 エンドの袖からシッコの触手がエンドに見えないようにスッと伸び、リンガの肩をそっと掴むと、ぐいっと引き寄せた。


「うあっ・・・」


「おっと、大丈夫かな相棒?ふむ、確かに人通りが多い・・・特に下街の人数が増えた気がするな。あまり離れないようにしよう。」


「そ、そうだね。アイボーに何かあったら大変だしね!」


エンドが肩を抱く様にリンガを寄せると、リンガもエンドの外套をきゅっと握る。


「うむ、頼りにしている。」


「へへ・・・」


 機嫌を直したリンガとエンド、そしてやれやれと小さく呟いたシッコはゆっくりと帰宅するのであった。


 三人が家に着いたがコニイはまだ帰っていない様子であった。家事をしていたアイリスに聞くと、村や町から避難の為長距離を移動してきたマギアン達の交換パーツが足りていない為、修理を行えるコニイはそれなりに忙しくなっているとの事であった。

 結局そこまで夜遅くになることは無かったものの、帰宅したコニイは疲れた様子であり、普段とは反対の立場となったエンド達はそれを優しく労うのであった。


 


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