表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
87/96

3-26 損害

 エンドはリンガが弾き飛ばされた方に急ぎ走ると、上半身を起こして息荒く座る姿があった。


「大丈夫か相棒?」


「あー、うん。体は痛いけど骨とかは大丈夫そうだよ。オーラを全開にしてなかっなら危なかったっ・・・うわっ!」


 エンドはリンガを抱き上げ、そのまま腕で包む。


「い、いきなりは恥ずかしいよアイボー」


「はっはっは、私も心配したのさ。このままマナも補給してしまっても良いかな?」


「・・・うん。あ、シッコ、アイボーとの間に挟まってるからちょっとどいてよ。」

「ハーイ」


 エンドの身体にくっついているシッコはその身体を女性に見せるためにその胸部を盛っている。そこに顔を押し付けられるような形となったリンガは自分の胸を思い、少し不機嫌そうな顔で言った。




 大物を倒した事により理性なく暴れる小数の魔獣以外はキャンプ地から離れ、ようやく戦っていた面々は一息つくことが出来たが、軍人達は傷の応急処置を終えると状況の把握に努めていた。

 軍人達は死者はいなかったものの司令官である大尉は左腕を骨折し、他にも打撲傷や無理に動き続けた代償として身体にダメージが多く残っている。他の軍人達も無傷な者はおらず、半数は骨折やヒビ、深い裂傷といった重傷を負っていた。


 探索者の方も小型の魔獣を相手にしていた者は無傷や軽傷の者もいたが、牛型と戦った者では二人程死者がでており、早期に治療を要する重体の者も何人か発生した。他にも負傷者が多数出ている。

 牛型の群れに遭遇してしまった第一班については探索者の半分以上が未帰還となった。


 騒ぎを聞きつけたのか暫くしてから第二班が戻ってきてキャンプ地の被害に愕然とした。第二班も蝙蝠型の魔獣が通れる程の小さなホールを発見しており確認に同行していた軍人達共々この班に怪我人は居なかった。

 第二班に居たラ族の小鬼達は、特にカリラは血相を変えて第三班のラ族の元に詰め寄るが、シタラ達が後方に下がった事を聞き深く安堵の息を吐いた。ラ族達は重症者こそ多く出たものの、幸運にも致命的な傷を負った者は居なかった。


「大尉、如何しましょうか?」


 ランファの問いに眉間に皺を寄せた大尉は不機嫌そうに答える。


「撤退だ。牛型のホールの確認をしたかったがこのまま任務の継続は難しいと判断した・・・あくまでも調査の予定がここまで大きな被害を出すとはな。だが、この狭い区域に三箇所もホールがあっただと?明らかな異常だ。」


「第一班の探索者の行方不明者達はどうしましょうか。」


 大尉はちらりと探索者達の様子を見ると問う。


「探索者達の様子はどうだ?」


「正直に言いまして、かなり不満があるようです。危険は承知だったのでしょうが余りにも被害が出ました。」


「さもあらん。探索者組合からも苦情は避けられんな。」


「ええ。とはいえ、元々今後の被害を防ぐ為の仕事であった事は分かっているので表立って反抗の兆しは有りませんね。作戦は完遂できていませんが、今回の報酬は規定よりも上乗せした方が良いでしょうね。幸い牛型魔獣の素材は高値で売れます。」


 大尉は大きく息を吐いた。


「私達から言わせれば下手を打ったのは調査した第一班の探索者達なのだがな。だが、我々もここまで大規模な大型の魔獣の群れがあるのは予想外だったし命令を下したのも我々だ・・・行方不明者の探索はやらざるを得まい、そうしなければ我々の悪評にもなる。ランファ少尉、貴官に任せる。牛型の殲滅は出来ていないから捜索にも戦える人材が必要だ。なるべく能力の高いものを連れて戦闘はなるべく避けながら探せ。どうせ今日明日は我々も動けん、重体の者だけリアエズ村の本部までは運ばねばならんがな。ああ、何というか失態だ・・・」


 自身の固定された左腕を敢えて痛くなるほどに掴み、大尉は天を仰ぐ。


 ランファは敬礼をすると背を向け、エンド達の方へと向かうのであった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ