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3-23 ロデオ

 向かって来る牛型は5頭、赤い魔石を持つ大きな個体に続き、通常の個体が続く。ただし、最後の個体の動きはどこかぎこちないものであった。

 エンドは牽制として毒針のガードマギアを撃ち込むが、まともに刺さることが無かった。


「この距離では駄目だな。この乱戦の中閃光弾なども同志撃ちになりかねんか。」


 有効的な牽制を行えないまま、距離はどんどん詰まっていく。


「赤いヤツはボクがやる!他を頼むよ!」


 リンガが小鬼の特性を発揮して姿を周囲に溶け込ませつつ走り出す。

 共にいた他のラ族の小鬼達も応戦するが、少しタイミングが遅れた最後の一頭がエンドに迫る。


「アイボー!?」

「なに、大丈夫さ相棒。シッコもいるし任せてくれ。」

「・・・うん!」


 エンドが相手取る事になった牛型の魔獣は左の後脚を少し引きずっている。遭遇した第一班の探索者が傷を合わせたのかもしれない。何にせよ、付け入る隙が有るのは不利な状況からしてみれば有り難かった。


 エンドは旗を右手から生やすとマナを込めて振り、至近に迫った牛型はその動きとマナに興奮して旗先に飛びかかって来る。

 エンドは旗の柄を即座に縮めて収納すると、身体を翻しつつもまた伸ばして翻弄する。


「シッコ!」

「がってン!」


 シッコが極太の触手を伸ばして牛型の頭部を包む。くぐもった驚きの鳴き声を牛型は出して激しく暴れる。


「うぎゃアッ!」


 暴れ回る牛型により触手がちぎられ、シッコが驚きの声を上げる。それと共に頭部を包んでいた部分も首を振られるとボタボタと地面に垂れて水溜りを作った。


「大丈夫か?」


「あービックリ。これくらいならヘーキだけド、かなりのパワーだネ。暴れられると千切れちゃうネー」


「なるほど、距離が近ければ良いのだな・・・とうっ!」

「うおぅイ!ご主人!?」


 喉に引っかかる粘液でむせ込みエンド達から注意を外している牛型に向けてエンドは駆け出すと、旗を高跳びの棒のように使い跳躍してその背に跨る。


「ブモォ!?」


 急な加重に牛型の魔獣も驚き、身を捩って振り落とそうとする。跨ったエンドも身体が浮か上がってしまう。


「固定してくれ!」

「ええいッ!」


 シッコが触手を伸ばして牛型の胴に回してエンドが落ちないようにするが、牛型は尚も暴れて大きくエンドが揺れる。


「黙らっしゃい!」

「ブモモモモッ!?」


 エンドが旗の先端を牛型の魔獣の魔石に向けると、マナを込めて一気に放出した。

 エンドもこの技については研鑽を積み、あまりにも過量のマナは周囲にも拡散して下手な注目を浴びるというリンガの指摘もあってその改良を行っていた。

 マナを貯め、そして圧縮して一気にパルスにして流し込む。ダラダラと続く痺れよりも鋭く感覚に作用するその一撃は屈強な牛型の意識も濁らせる。

 そこにシッコが再度極太の触手でその頭部を包み込むと、鈍い抵抗はあったものの暫くの後、牛型は窒息してその動きを完全に止めた。


「やったネご主人!」


「・・・ああ。」


「ン?どしたノ?」


「いや、私にもっと力があれば、この魔獣に苦しみを与える形で倒さなくともよかったのにと思ってな。」


「ン?」


「いや、戯言さ。それよりも他の魔獣達はどうなったかのか。」


 周囲を見渡す余裕が生まれたエンドが見た光景は、苦戦するリンガの姿であった。












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