3-5 準備
家に帰るとコニイとアイリスを含めて今回の仕事について話す。
今回の仕事の集合場所と拠点、本部を兼ねるのは北側にあるリアエズという小さな村となる。そこに天幕や資材を運びこむ必要があるが、これは調査とは別に雇われる探索者が行う事となる。集合は5日後で移動には片道3日が想定されるが、エンドには考えがあり問題が起きなければ移動時間はこれよりもかなり短縮されそうであった。
リアエズの村で集合後、その先の探索するエリアの少し手前に第二キャンプを設営、翌日朝から各担当エリアを探索する事になる。ホールの発見までが仕事であり必要な日数は不明ではあるが、十分な人員を動かす為にそう何日も掛からないことが想定されている。
軍も既に部隊を編成中であり、ホールが見つかればそう日を置かずに一時的に制圧後、周囲をバリケードで囲み部隊を駐屯させるらしい。
とはいえ探索者はホール発見までが仕事のため、順調にいけば遅くとも10日程度で領都まで戻って来れるだろう。
「ふむ、概ねわかったが、危険も想定される仕事だ。助手君が気配を察知できるからある程度は大丈夫なのだろうが・・・気をつけて行って来て欲しい。新装備を試してもらいたくもあるが、それでも極力戦闘は避けるべきだろう。」
「うむ、マギア・フレームとガード・マギアの新型は心強いが、それでも戦う技能のある女性達にはとても敵うまい。」
「残念ながら、そうだろうね。だが混乱させたり逃げる時間を稼ぐ事は上手くいけば出来るだろう。ふふ、だが先頭だけが能ではない。新機能を実際に使用するいい機会ではないか。」
目を輝かせて言うコニイにエンドも同意する。
エンドが身に纏う補助的なパワーアーマーと呼ぶべきマギア・フレームは様々なテストや実戦での問題点を経てかなり改良されていた。当初よりも全身を覆う面積が増えて出力や強度も増しており、今ならば腕相撲で、運動不足の肉体的な強度が低い種族の女性であればなんとか一時的に拮抗する事も可能なレベルとなった・・・その為に必要なマナの消費はかなりのもので金貨を薪がわりに焚べているもの、本来であればとても割りに合わないとコニイは評価していた。男性でマナの産生が多い者にしか事実上使えない代物、さらに言えば男性で外を出歩く者もほぼ居ないので、これはもはや完全にエンド専用となっていた。
ガード・マギアも使い勝手、特に接近されないように射程や命中率、相手の虚をつくような仕掛けを増やしている。相変わらず殺傷力はないようなものだが、実用性は増していた。
エンドもマギアについては見習い工程度には技能を得ており、一般的なメンテナンスやある程度の修理は可能となっていた。それは同好の士を得たコニイをかなり喜ばせるものとなっていた。
「今日は準備をして早く寝て、明日は早く出ようか。」
リンガの提案にエンドは頷き、シッコも賛同の声を上げた。
「助手君、それなら準備が終わったらマギポッドにマナを充填して行ってくれたまえ。」
「うむ、了解した。しかし、随分と増えたものだなぁ・・・」
「既に15個あります。博士、かなり場所を圧迫しておりますので工房の整理を行うべきです。」
円柱状のマギアが大小様々床の上を占拠し、元々様々なパーツなどが乱雑に積まれた工房は更に狭くなっていた。無表情なアイリスの指摘にコニイはバツの悪そうな顔をするも、そのうちやるさと明後日の方向を向いた。
準備は必要ではあるが、普段から外に出ることが多い為、そこまで新しく買い揃えなければならないものもない。拠点となる場所で食事や湯といったものは支給されるとも聞いている。しかし、装備の点検と保存食や予備の衣類、消耗品などの準備は手を抜く事なく行っていた。
翌朝、準備を整えて大きな背嚢を背負って領都の北口を出る。そしてある程度門から離れた場所で。
「よし。ではマギア・フレーム三式の機能を開放する事としよう。」
エンドが楽しげに宣言した。




