3-53 呼出
ギリギリまで布団にいたいというリンガを後に、コニイはラボにてエンドと話をしていた。
「ふむ、助手君の極めて強いマナに耐えきれずにマギアフレームの人工筋肉が異常に動作し断裂、フレームも崩壊してしまったのか。ほかのガードマギアも軒並み壊れているね。」
「ああ、せっかく作って貰ったのに済まない。」
エンドは頭をさげるが、コニイは興奮した様子でそれを止める。
「何を言うのかね助手君!これほどの貴重なデータはそう無いよ!私のマナポッドも先の光で目一杯まで補充されているし、やれる事は多いなあ!」
コニイの言葉は気遣いではなく、目を輝かせ本心で言っている様子であった。
「そう言って貰えると助かるな。だが、この先濫用するつもりは全く無いが、必要な時に使わない理由は無い。いざマナを強く込めた時に毎度壊れてしまうのは些か申し訳なくなるな。」
「うーん、下手に耐えたりアースをつけるよりもいっそ身体から外れる方がいいのかも知れない。手早く脱げる機構は助手君の強い希望で着いているしね。」
「うむ、よろしく頼む。とりあえずは一つ前のバージョンのものを暫定的に使うしか無いか。あれは変形機構が無いのが残念だが。」
「そうだねぇ、ガードマギアは予備があるから持っていくと良い。どちらも改良しないといけないね、助手君が無理をせず身を守れるように。」
コニイも一度エンドが致命傷を負った事を知った時、目の前に無事な姿があっても酷く心が動揺したことを思い出す。そのリスクを少しでも減らしていきたいと考えていた。
ゆっくりと階段を降りる音が聞こえてリビングまで戻ると、猫背となったリンガが腰を抑えてドアを開ける。
「相棒、身体は大丈夫かな?」
「・・・誰かさんのおかげで大丈夫じゃないよ。腰がおかしいし、他にも変な所がヒリヒリするし。」
リンガはジトっとした不機嫌そうな目でエンドを睨みつける。
「済まない。あまりにも君が可愛くてね、我を忘れてしまったようだ。許してほしい。」
「うっ、そ、そういう言い方はズルいよ。べ、別に嫌な訳じゃ無かったし、ただ加減はしてよね。」
顔を真っ赤にしたリンガがいじらしげに小声で、そして上目遣いに訴える。その様子にコニイは青筋を浮かべ、そしてエンドは情欲が掻き立てられた。
「・・・私の相棒はどうにも激しいのが好みらしい。では早速ぬおっ!」
「いたっ!」
「惚気はもう良いからさっさと行きたまえ・・・いや、私もタツキ氏とは面識があるし着いていこう。今の君たちはどうにも浮ついているように見える。」
コニイが冷たく笑いながらエンドとリンガに拳を入れて蹲る2人を見下ろす。その静かな迫力に大人しく準備し、エンドはシッコを纏って予備の外套を羽織り家を出る。
「ところでリンガ、どうしてそんな布を被っているのかね?」
歩きながらエンドが尋ねるとリンガは恥ずかしそうにマナ漏れについて説明する。
「ふむ、それならば布を取らないのも納得だ。私も相棒が周囲から何人もの男を抱いたという不名誉なまで見られるのは気が良く無い。」
「う、うん。だから今後は程々にしてね?」
「・・・善処はしよう。たぶん、おそらく、もしかすると。」
「駄目じゃん!」
「ギギギ・・・」
「ハカセー、顔が怖いヨー」
活気ある街中を進み、業務時間外となった組合のドアの呼び鈴を鳴らす。すると、そう時間が経たずして受付兼秘書を勤めるマギアンのイースがドアを開けて組合長室まで案内する。
ドアを開けるとそこには組合長である大鬼族のタツキと、落ち着いた洋装の黒髪のマギアンがスーツを着た護衛を侍らせ静かに微笑んでいた。




