3-52 事後
「うー、んと、ここは?知っている天井だ・・・」
リンガが目を覚ますと自室の天井が目に入る。
「おお、やっと起きたのかね?もう昼過ぎになっているよ。」
傍らの椅子に座り本を読んでいたコニイはパタリと音を立てて本を閉じた。
「さて、リンガ、状況は覚えているのかな?」
まだ少しぼんやりとしているリンガは眠たげな声で呟いていく。
「昨日は、うん。そうだ。アイボーとキスして、それから、えへへへ」
「ふんっ!」
「あいたっ!何するんだよ!」
「惚気るなぁ!私が惨めになる!それでその後だよ!」
コニイに叩かれて幾分ハッキリとした頭でリンガは記憶を辿った。
「それでー最初は良かったけど、何回やっても相棒が止まらなくて、うう・・・やめてって言っても聞いてくれなくて、あっ!」
完全に目を覚まして上半身を起こそうとしたリンガであったが、「はうぁっ!」という悲鳴を上げて動きを止める。
「リンガ!?どうしたのかね!?」
「こ、腰が・・・あと股とかお尻もなんか、痛い・・・そういえば喉もイガイガする・・」
「・・・とりあえず水はあるから飲みたまえ。体はまぁ、ゆっくり動かすしか無いね。あと、今の君の身体の状態で言っておかなければならない事がある。」
コニイが真剣な表現となり、ゆっくりと体を動かし水を飲んでいたリンガの心拍数が上がる。
「リンガ、君。マナ漏れしてる。」
「え!マジで!?う、うわぁ!恥ずかしい!変態じゃんか!!」
「まさか成人向けの空想小説とか下世話な噂でしか私も聞いた事が無かったが、本当に見るのは初めてだよ・・・どれだけ盛ったのやら。」
通常女性はマナを消費して活動しており、男性の様にマナを外部に放出するという事は殆ど無い。それは仮にかなり大量のマナが供給されても吸収出来ない分は霧散するだけでそのような状態にはならない。
しかし、とある場合、男性と致してマナが大量に含まれたものを受け取り、そしてそれが多量の場合には身体のキャパシティを一時的に超えてマナを取り込み、そしてそれは少しずつ身体から放出されていく。この状態がマナ漏れと呼ばれる。
この世界の男性の性欲は一般的に低く、その様な状態になるには通常複数の男性と短時間に関係を持つ以外には生じ得ず、余程の金や権力、もしくは強すぎる制約が無いと難しいため世間的には非常に破廉恥な状態とみなされている。そして、その特異性故に様々な噂やネタとなり世間での知名度だけは高いものであった。
「それにもう一つ」
「何だよ!」
「タツキ氏に助手君が目覚めて動ける様子だと昨日アイリスにおつかいに行ってもらうついでに連絡してもらったのだが、組合からの速達で今日の夕方に必ず来てほしいとのことだよ。」
「え?いや、この状態で外に出るとか、それホント変態だろ!?それに体も痛いし!!」
慌てるふためくリンガにコニイが小さく首を振る。
「自業自得だよ。結果はともあれ最初に誘ったのは君の方だろう。必ず来るようにとあったし、それに助手君を一人で行かせる気かい?」
「そうだ!アイボーも昨日から休んでいないし今日は無理じゃないかな!?」
「助手君は既に仮眠をとって元気に昼食を食べていたよ・・・せめてもの情けだ。マナ透過性の高いマントを用意してあげよう。諦めたまえ。」
「う、うわあああ!!」
暫くぐずって居たリンガであったが、ゆっくりと身体を引きずるようにベッドから出て乾いた喉と空腹を満たすためにリビングに向かうのであった。




