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3-51 暴走

「さて、リンガは上手くやれたのかね?」


 欠伸を噛み殺しながら自室を出たコニイが誰かの返答を期待するわけでも無く呟く。

 既に目覚めているアイリスに朝の挨拶をしてダイニングの椅子に座ると、そう時間もかからずして温かい茶が出される。友人の成功を祈る気持ちと、多少の妬みを混ぜて一口それを飲み込んだ。


 それから間も無くしてシッコがコニイに近づいてくる。普段はエンドの部屋のにいるシッコであるが、昨晩は空気を読み廊下で夜を明かしていた。


「ハカセ、おはヨー」


「やぁシッコ君、おはよう。助手君達はもう少し寝かせておいてあげようかねぇ」


「ン?寝てないと思うヨ?だって昨日からずーっと交尾してるしサ。ヒトの交尾って長いんだネー」

「ブフッ!ゲホッゲホッ!!」


 コニイは飲んでいた茶を吹き出し、そして激しく咽せた。


「ゲホッ、シッコ君!そ、それは本当かい!?」


「ンー、廊下にいたけどサ、ずっと音がしてたから多分ネ」


 コニイの脳裏に危険な光景が過ぎる。小鬼の性欲は他の種族よりもかなり強く種族特性に近いと言っても良いレベルである。そして箍が外れてリンガが病み上がりのエンドをずっと責めているのであれば、それは危険だと焦る。


「ゲホッ、あ、あのむっつりが!!助手君が危ない!!」


 コニイがエンドの部屋の前に到着すると、確かに苦しそうな喘ぎ声が聞こえる。急いでドアを開けようとするが、鍵がかかっている。


「コレ開ければいいノ?えーっと、ホイっとナ」


 追いついたシッコがドアの隙間から液体状の触手を入れると、内側から鍵を外した。


「だ、大丈夫かい!?助手君!!」


 勢いよくドアを開けて部屋に入ったコニイが目にしたのはーーー


「あ゛ーあ゛ー」


 虚な目で全身の穴という穴を全て汚し、掠れた喘ぎ声を上げるリンガと、ひたすらに腰を打ちつけているエンドの姿であった。


「って!そっちかーい!!」


 コニイは余りにも予想外の光景によろけ、異常なテンションのままエンドの頭に手刀を入れる。

 ゴッという音が鳴り、エンドの動きが止まった。


「はっ、わたしはしょうきにもどった。」


「いやそれ正気じゃないだろう!?それに、ううっ、す、凄い臭いとマナだ、これは私もおかしくなりそうになる。いや待て!何というか部屋の惨状だ・・・いやこれ私の家なんだけどね!?ええい、アイリス!私はコニイを見るから助手君を何とか落ち着かせて着替えさせてくれ!あとシッコ君は掃除を頼む!!」

「かしこまりました。」「えー?ハイハイ」


 友人の痴態と未だに部屋に残る熱気に顔を上気させながらコニイは矢継ぎ早に指示してリンガを連れ出す。


「おいリンガ!しっかりしたまえ!」


「・・・ゔあー」


「だ、駄目か。とりあえず体を洗おう、しかし一体どんなプレイをすればこんな酷いことになるんだ?こんなに性に積極的な男性がいるなんてそれこそ成人向けの三文小説くらいのものだぞ。なんと羨まけしからん・・・」


 コニイはシャワーでリンガの全身を洗うと、自身の予備の白衣を着せて部屋のベッドに寝かせる。少しの間様子を見て呼吸が落ち着いた事を確認してダイニングまで戻ると、エンドが湯気を上げながら風呂場のドアを開けて出てきた。


「助手君、落ち着いたかいで・・・って、いや、まず隠したまえ!」


「おっと、これは失礼。」


 全裸のエンドがタオルで股を隠すとコニイは赤くなった顔でチラチラと様子を伺う。


「いや済まない、どうにも理性を失っていた様だ。記憶はそれなりに残っているのだが、あまりに相棒が可愛すぎたようだ。」


「だからといってやり過ぎだろう!リンガをあんな羨ま、とんでも無い状態にして・・・いやむしろ君の体は大丈夫なのか?病み上がりにそんな無茶をして。」


「うむ、問題無い。私が言うのも何かだが、相棒は大丈夫かな?」


「多分・・・別に外傷があるわけでは無いし女性は基本的に強いからね。多分マナの過剰補給も相まって意識が飛んでいるだけだろう。助手君こそ昨晩は一睡もしていないのだろう?流石に休んだ方が良いね。」


 エンドはそこまで疲労感は無かったものの、コニイの心配そうな顔を見て頷く。


 コニイに付き添われ自室に戻ると、シッコによって部屋は綺麗になっていたが、当のシッコの様子が少しおかしく、床に広がる様に形を崩していた。

 コニイが綺麗になっている部屋を見て感謝の言葉を掛けるがシッコの様子は気怠げであった。


「シッコ君、助かったよ。でもまだかなりなマナが部屋に残っているね、研究のためにこの建屋がマナを通しにくい加工がされて居なかったら近所から何事かと注文を集めるところだったねぇ。」


「・・・ういー」


「む、どうしたのかなシッコ?」


「あのネご主人、マナはウマーだけどサぁ、何と言うか、ちょっと濃過ぎてキツくなったというかサ・・・体ももう前の大きさに戻っちゃったヨ」


「ふむ、脂っこい食事を摂り過ぎた様なものかな?」


「あーうん、よく分からないけドそんな感じかナ」


 エンドは床に広がるシッコを跨いでベッドに横たわる。努めて目を閉じるが、今朝まで続いた行為を思い返して中々眠れそうになかった。


 





 

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