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3-48 会議

 さて、前線に居た兵士達は下品なジョークで笑っていれば良かったが、司令部では危機が唐突に過ぎ去った事を喜びはしたが、堆く積まれた問題に頭を抱えていた。


「・・・西からの攻勢は収まりましたが、各地のホールを放置した結果、多くの危険性の高い魔獣が領都に多数居ると思われます。再度の封じ込めと掃討は必要でしょう。また、先の異常なマナに惹かれてそれらが領都に集まってくると予測されます。」


「その意見は正しい。だが我々の損耗も大きい、多少の休息がなければ兵達も動けまい。まずは負傷者の救護とアンデッド達の死体の処理は優先してやらせなければなるまい。魔獣達についても、最低限の部隊は揃えて警戒に当たらせる必要はあるが・・・」


「信じ難いですが、ゾンビの中からも自我を取り戻した者がある程度居ると報告を多数受けています。軍人もおり多少の補填にはなりますし、領都の兵達の心情からも彼女達にはなるべく前線にでて貰うのが良いでしょうな。」


「むぅ、彼女達が悪い訳では無く皆等しく災害の被害者だ。だが、敵となってしまっていたのは事実、説明を行いなるべく納得の上で自主的に任務についてもらい、それを広く知らせて禊としてもらうか。加えて都市機能も早急に回復させる必要がある・・・」


 司令部の将官たちは真面目な顔で頷き合い意見を出すが、最も大きな問題が一つあった。


「問題は多い。だが、ある意味一番の問題は・・・あの男性だ。とりあえずは認知度から銀仮面と呼ぼう。我々が助かったのは事実であるし、領都のマナ不足が一時的にでも完全に回復した。傍から見れば喜ばしい事だが、此方からすればあのような存在を放置するのは危険だ。あれはマナが、あまりにも軽くなりすぎる。」


「・・・野放しにするには危険。身柄を抑える必要が有りますか。」


 重々しく周囲の者も頷く。軍が統制を保って居られるのもマナを管理しているという側面が大きい。さらに、経済活動からしても価値を持つマナを湯水のように流通させられては崩壊してしまう。

 さらに、このリゾトニアとて軍政が引かれているものの、教会や他国、裏社会もあり銀仮面の動向を探っているとの話もあった。


「ふふっ」


 微笑ましそうに話し合いを静観していた大将が笑い、幕僚の注目が集まった。


「・・・閣下は何かご存じですか?いえ、先の急な陣形の変更のことも考えますと、何かをお知りのようですな。」


「はは、いや済まないね、中々無い機会だし君達の成長にも繋がると思って少し黙っていたんだよ。年寄りの悪い所だと思って欲しい。それに、私だってそう知っている事は多くはない。だがーーー」


 一息ついた大将の顔が微笑みから真剣な眼差しへと変わり、幕僚達も姿勢を改めて正す。


「まず銀仮面の事だが、軽々しく動くな。今、我々の立場はあまり良くは無いことを自覚しろ。銀仮面を捕まえようとして不評を買い、我々に反発したら前線の兵士や若い将官がそれに乗る可能性がある。さらに領都の市民達も強く反発するだろう。今回の事態、我々の努力は無駄では決して無かったが、最終的な解決ができていなかったのは明白だ。さらに強制的な市民の徴兵、男性からのマナの徴収、アンデッドとなった首都の兵士による被害など、軍の求心力は圧倒的に低下している。勿論非常事態であった事は誰の目にも明らかであり今は強く言うものはいないだろうが、大きな不満はあるだろう。そんな中で噂でも我々が銀仮面に対し何か行動を起こそうとして邪推される事は防がなければならない。」


 幕僚達は悔しそうに黙り込むが、そこに反論は無かった。その様子を見て大将は表情を優しくして話す。


「何、私も知っている事はそう多くはないが、それでも伝手はある。ここは私に任せてくれないか?」


 頷く面々に大将も頷き返す。混乱の中伝令兵が持って来た書簡に書かれていた知己の探索者の名前。ポケットの中の小さな金属片を弄びながら、大将は面白そうな笑みを浮かべた。






 

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