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6R武神目撃する

短いです。

ふっ、ふっ、ふっ。


私は先程トゥルークから出た後走っております。

京都とは言っても市中の観光激戦区でもないので昼近くとはいえ人はそこまで多くは有りません。

公園の側を走り、Uターンをしてトゥルークに向け再び路地を走り込んでいる辺りでした。人込みが僅かに増し、住宅が増えてきた所でしょうか。私はそれを見たのです。

道を横切る栗色の髪をした妙齢の女性、顔立ちはハッキリしており、スッと通った鼻筋に切れ長の目。かなり整った顔をしています。

見間違える筈はありません。それは30年も前に死んだ筈の妻の若かりし頃の姿でした。


「明日奈!」


私は夢中になって叫びながら後を追います。


ドスン。


しかし追い掛ける最中注意を怠った私は道行く人に当たって倒してしまいました。


「きゃあ」


観光客と思われます大きなスーツケースを引いた女性は尻餅をつき、倒れてしまいました。きっとスーツケースが邪魔して上手くバランスが取れなかったのでしょう。


「ああ、申し訳無い!お怪我は有りませんか?これは……、申し訳有りません。お召し物を汚してしまいました。」


会見の時と同様、90度の謝罪を見せ、手を貸して立たせます。


「わっ、」


長くパンチの引く動作を意識していたせいか力加減を間違えてしまった様で強く引いてしまい、女性は勢い余って私の胸に飛び込みます。私は昔から背が高かったので少し小柄気味の女性は私の胸に埋まる格好になります。


「2度のご無礼申し訳有りません」


慌てて謝る私に顔を上げて私を見た女性は私には聞こえない程小さな声で「わっ、綺麗なお爺ちゃん」と何事か呟いたかと思うと少し離れて服の汚れを払い始めました。


「い、いえ。此方こそすいません。避けきれなくて」


するとまさか女性の方から謝って下さったのです。何と優しい方でしょう。


「お召し物を汚してしまい申し訳有りません。是非弁償させて下さい」


あまり高く無いと良いのですが……。卸しに行くとなると彼女に余計な時間を掛けてしまいます。幸い相応の蓄えは有りますので足りないことは無いと思われますが、流石に3000万等と言われてしまうと困りますね。先輩に借りに行かなければならなくなります。


「いや!こんなの払えば済むんで!」


女性はそう言うと力強く服を叩きます。私に大丈夫と見せる為でしょう。


「いえいえ、その様な訳には行きません。是非弁償させて下さい」


大人としてこの様なやり取りを3度程続けた後、私は1つ提案をしました。なるべく悪気を抱かせないように細心の注意を払います。


「でしたら丁度もう直ぐお昼ですし何か奢らせて下さい」


「そんな!悪いですよ!」


両手を振って断る女性にもしかして、と気付きました。


「あ、申し訳ありません。お食事はもうお済みでしたか?それとも何かこれからご予定が?」


それならば大変申し訳無いことをしてしまいました。ご予定があるのに邪魔をしてしまい……、今後は気を付けねばなりません。


「いや、そんなことは無いですけど……」


「でしたら!」


「いや、でもそんな。悪いですし……」


少し畏まる女性に申し訳無いと思いつつも方便を使うことにします。何の謝罪もせず済ますなんて人として有り得ませんからね。しかし人間年を取るとズルさばかり覚えてしまって嫌になりますね。人が若くありたいと言うのも分かる気がします。


「その様に遠慮なさらずとも。実はお恥ずかしながら、私が行きたいだけなのですよ。弁償とは口実です。いや、この年になると行くような場所は限られてしまいまして、若者が行くような店は行き辛いのですよ。もし宜しければ一緒に行って下されば少しは馴染むのではないか、と」


人に嘘を吐くというのは何気に傷付きますね。その痛みに慣れてしまったというのが今一番苦しいですが。


「あ、そういうことでしたか」


女性の顔には納得の表情が浮かびます。自分で騙しておいてなんですがこんなんでこの先騙されず生きて行けるのでしょうか。心配です。悪い人に目をつけられないと良いのですが……。


「はい。袖すり合うも多少の縁と申します。どうかこの老害を助けては下さいませんか?」


「そういうことなら……」


「良かった!」


話が纏まった段階で私は先程見失った妻の姿を目で追い掛けます。勿論、そこに妻の姿は有りません。


「どうか、しましたか?」


女性が不思議そうに私を見ているのに気付くと私は慌てて女性に向き直ります。


「いえ!何でもありません。行きましょうか。あ、スーツケース重そうですね。お持ちします。気付かず申し訳有りません」


「……普通逆では?」


妻を見間違うことなど有り得ません。しかし妻が“若い姿で”ここに居るなど有り得ない筈……。さぁてこれはいよいよボケが始まりましたかねぇ。もう少し先だと思っていたのですが……。


この時、私はもう少し深く考えて妻を追うべきでした。そうすれば、あの様なことにはならなかったでしょう。私がこの時の真相を知るのはもっとずっと後のことになるのです。


また、この後女性に私の素性がバレてちょっとした騒ぎになるのはまた別の話です。


題名武神ナンパするでも良い気がしてきたw


1年前の16の夏、体育の時間でプールでした。田舎の高校なので皆(極一部を除いて)バッキバキに割れてました。板チョコでした。まぁ、何処とは言いませんが。

そんな中1人のクラスメートがオレに向かって言いました。

「いや、寒そうにしてるけどお前脂肪かあんだから寒くねぇだろ」


どっきぃ〜〜〜〜〜。


そう、全国平均のMGナンチャラ量からすれば痩せぎみ(分類は痩せすぎ、痩せぎみ、普通、太りぎみ、太りすぎ)なオレですが田舎の高校ではデブです。幾ら腹に力入れた所で割れることもないので無駄な努力ですが、何とか目立たず生きてきたのに!


「いや、寒いか寒くないかは筋肉量だから脂肪は関係ない。それにオレお祖母ちゃんお祖父ちゃんっ子だし(色々着せられる)」


とか曖昧に切り返しつつ、女性は第二次成長期になると体が丸みを帯びてくるとか保険の教科書に書いてあったからもしかしたらオレは女子なのかも知れない。

と現実逃避しました。


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