92 決戦 2
馬鹿女神は再び火の玉を出したが、すぐにかき消された。
「そ、そんな・・・たかが、ダンジョンマスターごときが・・・」
エスタエーデル様が言う。
「ルシルよ。もう証拠は十分じゃろう?それに現行犯じゃしな」
「もちろんです。すぐに通報しますね」
馬鹿女神が騒ぐ。
「通報って・・・まさか、ルシル!!私を嵌めたのね?」
全く話についていけない。
エスタエーデル様が説明してくれた。
「ルシルは、ずっとエリスのことを捜査していたのじゃ。上級神に依頼されたとはいえ、個人的な恨みもあるようじゃしな」
ルシルさんが続く。
「そのとおりです。ケイスケさんたちも苦労されたようですが、転移してすぐに命を落とした者たちも悲惨でしたよ。私のように子供と離れ離れになった父親や問答無用で転移させられて、離れ離れになったカップルもいました。私と同じように天使になった者も大勢いるので、協力してくれましたしね」
ルシルさんによると、馬鹿女神よりも上の上級神に馬鹿女神の酷さを訴えたそうだ。しかし、すぐには対応できないと言われたようで、決定的な証拠を集めてほしいと依頼があったという。
「エリス様、諦めてください。もう証拠は揃っています」
エスタエーデル様も追い打ちを掛ける。
「こっちは、こっちで話がある。先程も言ったが、ダンジョンの中での神力の使用は御法度じゃ。よってダンジョン神様にも来てもらう」
しばらくして、地面から美しい女性が現れた。
いつも偉そうなエスタエーデル様がその女性に首を垂れる。
「ようこそ、ラビリンス様」
「久しぶりですね、エスタエーデル。それにしても、立派なダンジョンになりましたね」
「こちらにおる者たちの協力がありましたからな」
「フフフ・・・そのようですね」
そんな会話をしているところに馬鹿女神が割って入る。
「ダンジョン神といっても、どうせ下級神でしょ?だったら、ダンジョン神諸共、消滅させてあげるわ。それで証拠隠滅できますからね」
馬鹿女神はというと、大量の火の玉を出した。
エスタエーデル様が言う。
「なんと愚かな・・・ラビリンス様を下級神などと・・・」
ラビリンスが言う。
「構いませんよ。こういうことも、最近はめっきり減りましたからね。偶には暇つぶしにいいですしね」
ラビリンスがそう言うと魔法を唱え、大量の火の玉をかき消した。
「そ、そんな・・・下級神ごときが・・・」
「一応言っておきますけど、私は下級神では、ありませんよ」
エスタエーデル様が言う。
「このお方は、ダンジョン神の最高神、ラビリンス様じゃ。中級神ごときが勝てるはずはない」
「そ、そんな・・・」
馬鹿女神は、膝から崩れ落ちた。
しばらくして、空から眩い光が差し、オーラのある壮年の男が舞い降りた。馬鹿女神とルシルさんが跪く。
「ゼウス様・・・こ、これは、その・・・ちょっとした行き違いで・・・」
ルシルさんが言うには、この男が人神派閥の最高神ゼウスらしい。
「我はすべて見ていた。よって、裁定を下す。中級神エリスよ。貴殿の神資格を100年間の停止とする。100年間は天界に戻ってくることは許さん。きちんと罪を償え」
ゼウスは、ガネーシャとラビリンスに向き直った。
「ガネーシャ殿、ウチの者が迷惑を掛けた。すまぬ。ラビリンスよ。貴殿にも迷惑を掛けたな」
ガネーシャが答える。
「構いませんよ。我も迂闊な所が、ありましたからな」
「そう言ってもらえると助かる」
ラビリンス様が言う。
「それでは、こちらはそこの女神を貰いましょう。こき使ってあげますよ。それで得たダンジョンポイントを信仰心に変換して、ガネーシャ殿に返済しましょう」
全く言っている意味がよく分からない。
エスタエーデル様が説明をしてくれる。
「エリスが騙し取っていた信仰心をガネーシャ殿に返すとしても、どう見積もっても、すぐに返すことはできん。じゃから、我がダンジョンで強制労働させて、そこで得たポイントを信仰心に変換して、ガネーシャ殿に返す話がついたのじゃ」
ということは・・・
「うむ。つまり、すべてが上手くいったという訳じゃ」
本当によく分からないうちに、解決してしまったようだ。
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