88 新たな信者たち
俺たちは、勇者の町に帰還した。
俺たちに同行したのはガネーシャと愛子ちゃん、それにダークエルフとダークドワーフの代表者たちだった。
ブラックワイバーンのノワールさんとノーラちゃんに乗って帰還したのだが、多くの住民に歓迎を受けた。大半は、物珍しさで見に来た者たちだったけどな。
出迎えの中には、グレーテルお嬢様の関係者の他にエルフやドワーフ、サクラさん、サチコさんやマナミさん、それにヒロコさんもいた。
グレーテルお嬢様が言う。
「ようこそ、ガネーシャ様。私はシェーンブルグ王国王太子妃のグレーテルでございます。我ら一同、歓迎いたします」
「盛大な出迎えご苦労。それにしても、我は其方らに何かした覚えはないのだが・・・」
あまりの歓迎ぶりにガネーシャは戸惑っているようだ。
エルフの族長であるエルノールさんが言う。
「我らの同胞であるダークエルフたちを保護してくださったこと、感謝してもしきれません」
ドワーフの王も続く。
「それは我々も同じ。ダークドワーフ族の行方を先祖代々、探しておりました」
詳しく聞くと、ダークエルフとダークドワーフは、それぞれ魔族とのハーフらしい。魔族への迫害が強まった時、同胞に迷惑を掛けられないと言って、二つの種族はこの大陸から姿を消したそうだ。
ダークエルフもダークドワーフも感慨深いものがあるらしく、再会を喜び合っていた。
そんな中、ハイエルフの姫エスタエーデル様が現れた。
「ダークエルフか。久しいな。息災であったか?」
「し、始祖様?」
「ま、まさか・・・」
「ここに来た甲斐があったぞ」
どうやら、ダークエルフにとってみれば、エスタエーデル様のほうが神様扱いのようだった。
エルフたちが盛り上がっている中で、最も盛り上がっていたのは獣人たちだった。
特にガネーシャと同じ容姿をした象人族は、涙を流して感動していた。
象人族の族長が言う。
「象人族が神獣を従えたことはなかった。それはガネーシャ様がおられたからだろう。こんな光栄なことはないぞ」
ガネーシャ様はというと、神獣であるフェンリルやブラックシープに群がられていた。
「お前たちも久しいな。元気そうで何よりだ」
詳しく聞いたところ、神獣というのは、元々はガネーシャが飼っていたペットらしい。飼っているうちに情が湧き、ガネーシャの悪い癖で加護を与えたのが始まりのようだ。
愛子ちゃんも神獣たちを気に入って、一生懸命モフモフしている。
収集がつかなくなったところで、グレーテルお嬢様が声を上げる。
「難しい話は後です。まずは歓迎の宴を開きますね」
そこからは、楽しい宴会が始まった。
この状況で難しい話なんて、できないからな。
★★★
一夜明けて、二日酔いが残る中、今後の活動について会議をすることになった。
エルフやドワーフ、獣人たちは、すぐにでも自国に来てほしいと言い出した。
グレーテルお嬢様が言う。
「順番に回り、行く先々で神殿を建てるのはどうでしょうか?それだけでも、多くの信者が得られますよ」
カヨさんも続く。
「エリスブランドと同じようにガネーシャブランドを立ち上げてはどうでしょうか?ガネーシャブランドの認定をもらいたい商会は、多くいますからね」
基本的な信者獲得方法は、馬鹿女神の時と同じだ。
やったことがある分、対応も早い。すぐに訪問の準備を始めた。
3日後、最初に訪問したのはエルフの国だった。
ここでは、ガネーシャよりも、愛子ちゃんのほうが尊敬を集めていた。というのも、愛子ちゃんのジョウロから溢れた水を植物に撒くと、成長具合が全く違うからだ。
世界樹を育て、森を愛するエルフにしてみたら、ガネーシャよりも愛子ちゃんのほうが人気が出ても仕方がない。
エルフの族長であるエルノールさんが言う。
「愛子様の神殿を作ろうという者が出るくらいですよ」
愛子ちゃんが困ったように言う。
「私の神殿じゃなくて、ガネーシャさんの神殿を作ってね。それとジョウロは一つ置いていくわ。弱っている草花に使ってください」
「なんと有難い・・・いつでもエルフの国にお越しください」
エルフの国で、信者を大量獲得できた俺たちは、ドワーフの国に向かった。
ここでも大歓迎を受ける。というのもジョウロから出した水で酒を造ったら、今までにないくらい味がよかったからだ。それで、ここでも神器のジョウロを寄贈していた。
マナミさんが言う。
「ここまで良い水でお酒を造ったのは初めてでした。それにそのジョウロをいただけるなんて、感激です。本当に感謝してもしきれません」
ドワーフの王も続く。
「創造神エリスよりも立派な神殿を建ててやろう。もちろんドワーフの意地に懸けてな」
後々聞いた話だが、それはそれは立派な神殿ができたようだ。
そして、俺たちは最もガネーシャを信仰している獣王国に向かったのだった。
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