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【連載版】異世界スプーンおじさん~世界を救う勇者  作者: 楊楊
第二章 領主編

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82 魔族の町

 俺たちが町に入ると大歓迎を受ける。

 領主っぽいゴブリンが挨拶してくる。


「儂はゴブノフじゃ。天女様のお知り合いなのじゃな?だったら、ゆっくりしていくといい」


 ルシルさんが質問する。


「ところで、天女様は今どこに?」

「3ヶ月前に定期訪問で来られたのじゃが、次の訪問は半年後じゃな。今はどこにいるかは分からん。急ぐならオーガの里で聞いてみればいい」


 領主のゴブリンが言うには、暗黒大陸中を旅して周っているそうだ。

 というのも、暗黒大陸は作物の育ちにくい環境だったのだが、天女様の力によって作物が育つようになったようで、各地を周って人々を助けているらしい。


「ガネーシャ様と一緒に各地を周られているのじゃ。ガネーシャ様が長年に渡って、民のために頑張って来た活動が実を結んだのじゃ。感謝してもしきれない」


 領主のゴブリンは涙ぐむ。

 ゴブリンは数こそ多いが、非常に弱い種族で、他種族から搾取され続けてきた過去があったそうだ。それが暗黒大陸中の食料事情が改善して、そんなこともなくなったみたいだった。


「ゴブリンだけでなく、多くの種族が天女様とガネーシャ様には感謝しておる。天女様を捜す旅に出るなら案内役をつけよう。

 おい!!ゴブラス!!お前が、この方たちを天女様の元に案内せよ」

「はい!!この命に代えても」


 案内役まで用意してくれた。


「暗黒大陸の食糧事情が改善したといっても、まだまだ強力な魔物がうようよいる。アンタらに何かあったら困るからな。それはそうと、今日はゆっくりと楽しんでくれ。料理も酒もいっぱい用意したからな」


 ここまで歓待してくれるとは、正直思わなかった。

 ちょっと悪い気がしたので、マリアさんの聖なる革袋からドワーフ特産のチュウハイを振る舞うことにした。


「これは本当に旨いのう・・・流石は天女様のお知り合いの方々じゃ」


 これも大好評だった。

 こうなると、俺のやる事は一つだ。もちろんアレだ。


「す、凄い!!」

「スプーンが曲がってるよ!!」

「もっと見せて!!」


 子供たちには、やっぱりウケがいい。


 次の日俺たちは、オーガの里に出発した。

 食べきれないくらいの食料も貰った。悪いので断ろうとしたが・・・


「気にすることはない。あんないい酒を貰い、更にあんな楽しい芸まで披露してくれたからな。また、この町にも来てくれ」


「ありがとうございます。絶対にまた来ますね」


 盛大な見送りを受け、俺たちはゴブリンの町を後にした。



 ★★★


 2日程で、オーガの里に到着した。

 オーガは青色の体色で、かなり大きい。平均身長が2メートル以上はある。案内役のゴブラスが言う。


「こちらは天女様のお知り合いの方々だ。しっかりもてなすようにと、ゴブノフ様からの伝言だ」


 門番のオーガが言う。


「何だと!?それは大変だ。すぐに宴の準備をする」


 そこから先は、同じパターンだった。

 盛大に歓待を受け、こちらがドワーフ特産のお酒をお返しで渡す。そして、俺がスプーン曲げを披露する。


 そして次の日には、オーガの里を後にした。

 こちらもオーガの案内役を付けてくれた。


 ★★★


 どこに行っても、俺たちは歓待される。

 オーガの里の後は、オークという豚っぽい魔族の村、その後はインプ族という小柄な魔族の村、そして今日は、多くの種族が共存する商業都市に到着した。


 カヨさんが言う。


「本当に新婚旅行みたいですね?」

「そうですね。楽しんでもらえて、よかったです」

「でも、ちゃんとした新婚旅行もしてみたいですけど・・・」

「分かってますよ。帰ったらちゃんと準備します」


 そんな話をしていたところ、ゴブラスが言ってきた。


「ここは、商業都市で観光名所もそれなりにあるんだ。色々案内してやるよ」

「で、でも・・・天女様を捜さないと・・・」


 ルシルさんが言う。


「私とマリアさんで、天女様の情報を集めますので、お二人は楽しんで来てください」

「ありがとうございます」


 というのも、この商業都市に来て、天女様の足取りはすぐに分からなかった。ここまで大きな町だと、そんなに簡単に情報は集まらないようだ。

 まあ、俺としてはカヨさんとデートができるからよかったけどな。


 ゴブラスは有能なガイドだった。

 見晴らしのいい展望台に案内してくれたり、美味しいレストランにも連れて行ってくれた。本当にガイドを雇って新婚旅行をしているようだった。


「ゴブラスさん、本当にありがとうございます。こんなによくしていただいて」

「気にするな。それくらい俺たちは、天女様に感謝しているってことだ。もし、天女様がいなかったら、こんなことはできなかったしな」


 天女様か・・・


 デートを楽しんだ俺たちは宿に戻った。部屋ではカヨさんと二人っきりになった。


「天女様が見つかったとして、連れて帰っていいものでしょうか?」

「それはそうですよね。サチコさんやマナミさん、ヒロコさんのパターンもありますからね。下手に連れて帰ると、それこそ戦争になりますよ」

「私もそう思います。だから、本人が嫌だと言えば連れて帰るのは、やめませんか?」

「その意見には賛成です」


 そんな話をしているところに、ルシルさんたちが戻って来た。


「情報によると、天女様ご一行は、『少し離れた村に向かう』と言っていたようですが、場所がよく分からないのです。それで考えたのですが・・・邪神を祀る神殿に向かうことにしました」


 ルシルさんが言うには、情報によると地方への訪問が終ると、一度邪神を祀る神殿に帰還するようだ。そこで天女様が帰って来るまで待つという話だった。


「危険かもしれませんが、そこで天女様と接触するのが、一番確実だと思います。それと、その邪神というのは・・・」


 俺とカヨさんは絶句した。


「それって、天女様は邪神に洗脳されているということですか?」

「残念ながら、その可能性は高いかと・・・」


 ルシルさんは落ち込んでいる。

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