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【連載版】異世界スプーンおじさん~世界を救う勇者  作者: 楊楊
第二章 領主編

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81 暗黒大陸へ

 とうとう暗黒大陸へ出発となった。

 移動は何とブラックワイバーンのノワールさんとネーラちゃんだった。ノワールさんが言う。


「ノーラにも長距離飛行の訓練が必要だしな。それに酒をいっぱい貰えることになっているから、遠慮することはないぞ」


 どうやら、酒で釣られたようだ。

 暗黒大陸まではアイーシャ皇女も同行する。不測の事態が起きた時にすぐに知らせるためだ。


 こうして、俺たちは多くの人に見送られ、暗黒大陸に旅立つことになった。


 空の旅は、かなり快適だった。

 魔法障壁を張ってくれているお陰で全く寒くない。普通に会話もできる。今もカヨさんとルシルさんがお喋りをしている。


「ところでなぜ、暗黒大陸と呼ばれているんですか?」

「理由は様々です。全く未知の危険な大陸ですからね。一説によると全く作物が育たない環境で、魔族が力による統治を行う修羅の国だそうです」

「そうなんですね。だったら向こうから、こちらに攻め込んでくる可能性は高いですね」

「一概には言えません。ただ、こちらに攻めて来れない事情があったのかもしれませんね」


 二人の会話を聞いて、かなり不安になった。

 誰がそんな場所に好き好んで行くのだろうか?

 ただ、そんな場所に転移させられた転移者には同情する。


「ルシルさん。その転移者が、もう死んでいるということはないんですか?」

「それはないですね。まだ神器がエリス様の手元に返って来ていませんからね」

「でも他の場所にいる可能性も捨てきれないんですよね?」

「それはないと思います。というのも、エリス様は中級神に昇格され、能力も増しています。自分の力が及ぶ領域で神器を持った者を捜すなんて朝飯前ですよ。ただ、あの性格ですから、捜索すること自体を忘れていたようですが・・・」


 あの馬鹿女神なら仕方がない。



 ★★★


 丸2日、海の上を飛び続けた。

 途中、無人島で休憩したが、ここまで目立ったトラブルもない。ルシルさんが、少し馬鹿女神の愚痴をこぼしていたくらいだ。


 そして、とうとう暗黒大陸が見えてきた。

 大陸の近くに町のようなものがあるのが分かる。

 アイーシャ皇女が言う。


「とりあえず、あの町の近くに着陸しますね。そこで、私たちは一旦帰還します。何かあれば、通信の魔道具で呼んでください」


「分かりました」


 町の近くで、アイーシャ皇女たちと別れた。

 俺たちが町へと歩いている途中で、町から警備隊のような集団が現れた。緑色の体色をした小柄な種族だった。それに小型のドラゴンに乗っている。

 ルシルさんが言う。


「ゴブリンです。非常に危険な奴らで、私たちの大陸では既に絶滅したと言われています。それに乗っているのは騎竜と呼ばれる魔物ですね」

「戦闘をしないといけませんか?」

「そうなる可能性は高いでしょうね・・・」


 いきなり戦闘か・・・

 でも、それなりの町を築いているくらいだから、話くらいはできるかもしれない。

 ここは、サラリーマン時代に培った営業スキルで何とかしよう。


 警備隊の隊長が俺たちに声を掛けてきた。


「おい!!大丈夫か?いきなりドラゴンが現れたから、慌てて来たんだ。それにしても無事でよかった・・・」


 あれ?俺たちのことを心配してくれてないか?


「ありがとうございます。私たちは旅人です。実はこの大陸に仲間がいることが分かり、捜索に来たのです。できればご協力を」

「分かった。それで、どんな奴なんだ?」


 そう言われても困る。

 どんな人物かも、どんな神器を持っているかも分からないからな。だから、打ち合わせどおりに言うことにした。


「不思議な魔道具を持っている者で・・・」


 言い掛けたところで、ルシルさんが遮る。


「10歳くらいの黒髪の女の子です。名前は愛子、不思議な魔道具を持っています。顔立ちは、このお二人と同じような感じです」


 あれ?

 何でルシルさんはそんなことを知っているんだ?


「ルシルさん?」

「実は、何とか調査して、ここまで判明したんです。神器は分かりませんでしたが・・・」


 カヨさんが言う。


「小さい女の子なら記憶にあります。確かジョウロだったと思います」


 それなら覚えている。


「私も覚えています。転移される直前まで、『ママ!!どこ!?』って泣いていました。そんな少女を有無を言わさず転移させたのはどうかと思いましたけど・・・」


 言葉を濁したが、鬼畜の所業だ。


 ゴブリンの隊長の表情が変わる。


「ジョウロを持った黒髪の幼女だと!?」

「はい」

「まさか、天女様を捜しに来たのか!?」


 天女様!?


 どういうことだろうか?


「天女様のお知り合いの方々だったのか?だったら早く言ってくれよ。

 おい!!宴の準備だ!!町に報告しろ」


 数名のゴブリンが騎竜に乗って急いで町に戻っていく。

 ゴブリンの隊長が、俺たちに向き直って言う。


「俺はゴブリン自警団のゴブラスだ。すぐに歓迎の宴の準備をさせる。俺たちは天女様のお蔭で救われたからな。そのお知り合いの方となれば、最大級のもてなしを約束しよう」


 どういう訳か、俺たちはゴブリンたちに歓迎されるのだった。

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