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【連載版】異世界スプーンおじさん~世界を救う勇者  作者: 楊楊
第二章 領主編

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79 女神の預言

 ボルタ王女の問題を解決した俺たちは、結婚式の準備に追われていた。

 聞いた話だと、結婚式の準備で破綻するカップルも結構いるらしい。誰を呼んで誰を呼ばないか、料理は何にするか、お色直しの回数は・・・揉めるネタは山のようにあるしな。


 まあ、俺の場合はカヨさんの言いなりだし、出席者についてはグレーテルお嬢様が決めてくれるので、そこまで揉めることもないだろうけど。

 カヨさんが言う。


「できれば、日本にいる家族に見せてあげたかったです・・・」

「そうですね。私もそう思います・・・」


 少し、しんみりしてしまった。


 ★★★


 結婚式の打ち合わせで教会を訪れた時、事件が起こった。

 空が光り輝き、あの馬鹿女神が降臨した。急なことで住民は騒然となった。今回も天使のルシルさんと一緒だ。


「勇者たちよ。嬉しいニュースです!!最後の勇者が見つかりました!!」


 そういえば、そんな人もいたよな・・・

 できれば助けてあげたいとは思っていたけど、どこにいるのかも、何の神器を持っているのかも分からなかったから放置していたけどな。


 俺とカヨさん、ショウタ君でさえ、そんな反応だから住民にしてみたら、「それで?」みたいな感じだ。

 ここでマリアさんがナイスな質問をする。流石は教会の偉い人だと思った。


「創造神エリス様!!最後の勇者とは、一体誰のことなのでしょうか?」

「おお、マリア。そこにいる勇者たちと同じく、私が神器を授けた者です。その者は今、非常に危険な状態に陥っています。絶対に助けなければなりません」


 話がよく分からない住民も一応は納得している。


「ケイスケさんやカヨさんみたいな方が、困ってらっしゃるんだな」

「そうみたいだな」

「助けてあげたいな」


 マリアさんが言う。


「その方は一体、どこにおられるのでしょうか?」


「暗黒大陸です」


 場が騒然となる。


 暗黒大陸?


「カヨさん知ってますか?」

「詳しいことは・・・噂には聞いたことがあります」


 ショウタ君が言う。


「この大陸から海を隔てて北にある大陸のことさ。かなり危険な場所で、命知らずの冒険者でも近寄らない場所らしいよ」


 そんな所に転移させるなんて、馬鹿女神は鬼畜だ。


 ここで天使のルシルさんが場を収めた。


「ここからは、込み入った話になります。ですので、関係者だけで話をしたいと思います」


 俺とカヨさんとショウタ君、それにマリアさんを交えて、話し合いの場が持たれることになった。



 ★★★


「暗黒大陸のどこにいるかも、どんな人物なのかも、どんな神器を持っているかも分からないって、どういうことですか!?」


 俺は叫んでいた。

 馬鹿女神が苦しそうに言い訳を始める。


「もう神器のリスト自体を廃棄していますし、こちらとしてもやりようが・・・」


 廃棄したのお前だし、そもそもリストを作っていたかどうかも怪しい。

 ここでルシルさんが助け舟を出した。


「ケイスケさんが驚くのも無理はありません。しかし、今それを言っても仕方がありません。とにかく最後の勇者を見つけなければならないのです」


 ルシルさんは、いつになく必死だった。

 更に説明を続ける。


「それを説明する前に、この世界の成り立ちについて・・・」


 言い掛けたところで、馬鹿女神がしゃしゃり出て来た。


「そこは創造神である私が話しましょう。マリア、しっかりと記録するといいですよ」

「はい」


 この世界には、この馬鹿女神の力が及ぶ領域と邪神と呼ばれる怪しい神の支配する領域があるという。現在のところ、この世界のほとんどは馬鹿女神が手中に納めているらしいが、暗黒大陸と呼ばれる場所だけは、女神の力が全く及ばないようだ。


「状況から考えて、最後の勇者がいるのは、暗黒大陸しかありえません」


 ルシルさんが補足する。


「エリス様は、必死に捜されました。しかし、ここまで捜して見つからないとなると、エリス様の力の及ばない領域にいるとしか、考えられないのです。暗黒大陸にいると仮定すれば、今まで全く情報がなかったのも納得できます」


 カヨさんが言う。


「それで、私たちに暗黒大陸に向かえと?」


「そうです。そして暗黒大陸にいる邪神を討ち倒し、世界を平和にするのです」


 ちょっと待て!!

 それって、最初に言うことじゃないのか?

 今更、言われても・・・


 ショウタ君が言う。


「だったら何で、転移させる時に言わなかったんだよ?今更、言われても・・・」

「それはですね。邪神は力が弱く、矮小で取るに足らない存在だと油断していたのです」


 油断って・・・


「しかし、これまでの世界の混乱を考えると、邪神の仕業としか思えません。まともに戦えば、私に勝てるはずがありませんから、卑怯で姑息な手段を使ったのでしょう」


 最初に馬鹿女神に言われたのは、「姿の見えない「大いなる悪」が居て、裏で世界を混乱に陥れようとしているから、それを何とかしろ」という話だった気がする。


 ショウタ君が小声で言う。


「普通に考えて、同じ世界に邪神がいるなら、そいつが犯人の可能性が高いって、真っ先に思うのが普通なんだけど・・・」


 それが馬鹿女神の馬鹿女神たる所以だ。


 ここまでの話をまとめると、馬鹿女神は俺たちに暗黒大陸に行って、まだ見つかっていない転移者を保護し、ついでに邪神を倒してこいって言っている。


 だけど、勝手すぎる。

 少しは文句を言ってやろう。

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