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【連載版】異世界スプーンおじさん~世界を救う勇者  作者: 楊楊
第二章 領主編

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76 王都奪還作戦 3

 俺たちは王都に到着した。

 メンバーは、俺とカヨさんとショウタ君、それにスタンリーさん以下の冒険者たちだ。少数精鋭にしたのは相手を油断させるためだ。

 10人にも満たないこの集団は一見すると普通の冒険者に見える。基本的に王都は出入り自由だから、入口の門も特にチェックされることもなく通ることができた。


 スタンリーさんが用意していた拠点に到着する。

 寂れた酒場の二階だ。スタンリーさんが冒険者に指示をする。


「作戦は以前指示したとおりだ。とにかく情報を集めろ。3日後に決行予定だ」


 冒険者たちが町に繰り出す中、俺たちは拠点で待機だ。

 スタンリーさんが言う。


「この作戦の肝はアンタたちだ。休める内に休んでおくといい」


 それか3日間は特にすることがなかった。

 集められた情報に目を通してはいるが、分析関係はすべてスタンリーさんがやってくれたしな。


 そしていよいよ、作戦決行日となった。



 ★★★


 明け方日の出前、俺たちは商人を装い、王城までやって来た。

 この時間を選んだのは警備が手薄になるからだ。夜勤の勤務終わりと重なるし、早番の使用人や商人の出入りが始まる。門番の集中力が切れるし、チェックも甘くなる。俺たちも城に出入りする商人の列に並ぶ。


 スタンリーさんが言う。


「ケイスケ殿、どうだ?」

「十分できますね」

「だったら、遠慮なくやってくれ」


 王城は、周囲を掘で囲まれている。

 掘に掛かる橋は3箇所、2箇所はまだ閉まったまま、1箇所のみ出入りがある。橋を渡る前にチェックを受けるのだが、その関係で橋に人がいない時間帯が出てくる。そのタイミングを計っていた。


 よし、今だ!!


 俺は、上空に巨大なスプーンを大量に出現させた。

 スキルレベルが上がり、ちょっとしたビルくらいの大きさにはできる。それを王城の周囲を囲む堀に突き立てた。

 場が騒然となる。


 作戦というのは、俺がスプーンで王城を囲み、ブロンベルク侯爵以下を城から出られなくすることだった。作戦は上手くいき、王城は完全に隔離された。俺たちはというと、ここに居ても意味がないので混乱に乗じてその場を去った。俺たちだけでなく、王城に入ろうとしていた商人も帰って行ったので、怪しまれることはなかった。


 スタンリーさんが言う。


「じゃあ、残りの施設も頼むぜ」


 王城以外で、ブロンベルク侯爵の勢力の拠点となっているのは2箇所ある。そこでも同じことを行った。


 スタンリーさんが、すぐに通信の魔道具で連絡を取る。

 半日もしない内に国王陛下と王太子殿下がやって来た。


「ご苦労であった。後は我らに任せてくれ」


 ここから俺がやる事はない。

 国王陛下と王太子殿下が中心となり、各貴族の懐柔、世論の誘導を行う。拠点とするのは、グレーテルお嬢様の実家であるアルトナー侯爵の王都別邸だ。連日、多くの貴族や有力な商会の関係者がやって来る。


 やる事はないと思っていたが、実はあった。スプーン曲げだ。

 貴族たちの前でスプーン曲げを披露するのだが、全くウケない。それどころか恐怖で顔が引きつっている。


 これには理由があるんだけどな・・・


「それにしても、急に巨大なスプーンが落ちてきたら対処しようがありませんね。本当に怖いですよね?」


 グレーテルお嬢様が脅すからだ。

 いつでもお前たちの上にスプーンを落せると、暗に言っているのだ。


 併せて王城の他に隔離した2箇所の施設を強襲する。

 メンバーは冒険者の精鋭と近衛騎士、そして俺とカヨさんとショウタ君だ。隔離した施設にはブロンベルク侯爵の息の掛かった者が多くいる。その者たちを拘束することはもちろんだが、一般市民にも分かる形で強襲することで、力を示す目的もある。


 更に・・・


「王都の民を人質に取られた我は、泣く泣くブロンベルク侯爵に王城を開け渡すことにしたのだ。しかし王都の民に被害を出すことなく、王都を奪還できる方法が見つかったから、こうして我が来たのだ」


 相手が噂を使った情報戦を使ってきたんだから、こちらがそれを使ったからと言っても文句は言わせない。この情報戦はこちらが圧倒する。だって相手は情報戦をしようにも王城から出られないからな。


 ★★★


 そんな活動も2週間が過ぎた。

 ある人物が王都にやって来た。アイーシャ皇女だ。それもブラックワイバーンのネーラちゃんに乗って。


「お久しぶりです、国王陛下」

「アイーシャ皇女、礼を言うぞ」

「いえいえ、こちらにも利益がありますからね。厄介な帝国貴族を一掃できますからね」


 アイーシャ皇女もアイーシャ皇女で、目的があるようだった。


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