74 王都奪還作戦
アルトナー侯爵領に到着した。
早速、軍議が始まる。グレーテルお嬢様が仕切る。
「今のところ国王陛下の安否も王都の状況も分かっていません。そのことから考えて、残念ながら王都は、もう落ちていると考えていいと思います。そのことを前提で軍議を進めましょう」
ショウタ君が言う。
「王都の冒険者ギルドと連絡を取ろうにも取れない。王都でパメラが営業している系列店についても同じだ。本当に心配だよ。だから王都付近の町の冒険者ギルドには何か特異事項があったら、連絡してくれるようにお願いしているんだ」
情報が入らないと、何もできない。
もどかしい時間が続く。そんな時、王都の冒険者ギルドのギルマスであるスタンリーさんが飛び込んで来た。
「久しぶりだな。おっと、これは王太子殿下、失礼しました。まずは、ご報告を。国王陛下はご無事です。現在はオーベルト男爵領に逃げ込んでいますので、ご安心ください」
スタンリーさんは国王陛下の命を受け、ここにやって来たようだ。
「国王陛下のご意向としては、王太子殿下と一度合流したいとのことです」
グレーテルお嬢様が言う。
「王太子殿下、まずは陛下の元へ馳せ参じましょう」
「そうだな。細かい話はそれからだ」
すぐに準備して、その日の内にオーベルト男爵領に向かう。
オーベルト男爵は忠義に厚い方だし、サクラさんもいるから安心だ。俺程じゃないけど、そこそこ大きな鉄パイプを上空に出現させることができるから、そうそう戦いには負けないだろう。
2日後、オーベルト男爵領に到着した。
すぐに王太子殿下とともに国王陛下と謁見する。
「父上!!よくぞご無事で・・・」
「何とかな・・・皆の者も無事で何よりだ」
そこからは、挨拶もそこそこにお互いの情報をすり合わせる。
まずは国王陛下の護衛騎士から説明を受けた。王都が襲撃を受けたのは、ほんの数日前だったという。有力貴族を集めた毎年恒例の定例会議を開く時期だったこともあり、貴族の王都への出入りのチェックが甘くなっていたようだ。
「毎年トラブルらしいトラブルが起きないので、警備する者たちも油断していたようです。ある程度の集団が王都に入る場合は一旦門を閉めて、念入りにチェックすることに規定ではなっているのですが、慣例で門を開けっぱなしたまま対応し、碌なチェックもしていなかったようです」
前世のサラリーマン時代を思い返してみてもそういったことはよくあった。慣れとは恐いものだ。
こういったことから、大きな事故につながるからな。
「そして、早めに王都入りしたブロンベルク侯爵は、国王陛下に謁見を求めてきました。これも例年通りのことなので特に気にしていませんでしたが、その席で・・・」
いきなり切りつけられたという。
そして時を同じくして、王都は炎に包まれた。国王陛下の襲撃に併せて、テロ行為を行ったようだ。
国王陛下が言う。
「こちらで調査したのだが、ブロンベルク侯爵は『国王陛下を暗殺したテロリスト共は、我らが粛清した。こちらで捜査した結果、黒幕は王太子だ』と言っておるそうだ。ここまで大嘘だと、逆に感心する」
グレーテルお嬢様が言う。
「時期がくれば自然と王位が巡って来る王太子殿下が、そのようなことをするはずがありません」
「そのとおりだ。理由など何でもよかったのであろう。それよりも、すぐにでも行動を起こさなければならない理由があったのであろう」
そんな話をしているところに、サクラさんがやって来た。
「通信の魔道具にアイーシャ皇女から連絡がありました。すぐにおつなぎします」
一同が、アイーシャ皇女が映った魔道具に注目する。
「国王陛下、大変でございました。事態は緊急を要するため、すぐに本題に入らせていただきます。まずブロンベルク侯爵には、我が帝国の貴族や教会の関係者が加担しているようなのです。というのも・・・」
アイーシャ皇女が言うには、教会と懇意にしていた貴族の多くが力を失ったのだが、それを良く思わない者も少なからずいたそうだ。その者たちが教会を追放された勢力と合流、そしてブロンベルク侯爵と共闘することになったそうだ。
「向こうにしてみたら時間が経てば経つほど、自分たちの力が落ちていく。一か八か行動を起こしたのも、分からんではないな」
グレーテルお嬢様が言う。
「ところで、帝国はどのように動くのでしょうか?」
「恥ずかしながら静観ですね。ただ、帝国は侵略国家ですのでこの件を利用してシェーンブルグ王国から領土を切り取ってやろうという勢力も一定数いるのです。帝国に援軍を求めれば、それ相応の対価を求めらると思います」
何れにしても、早期の解決が必要ということだな・・・
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