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【連載版】異世界スプーンおじさん~世界を救う勇者  作者: 楊楊
第二章 領主編

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73 事件の真相 3

 ホルスト伯爵の取調べに併せて、ナルルースやハーフエルフたちからも事情聴取を行った。

 結論から言うと、ハーフエルフたちは、本当に同胞を救うためと思って、ポーションなどを作っていたようだ。

 ナルルースが言う。


「騙されていたんスね・・・でも、みんなエルフを救おうと・・・」


 エスタエーデル様がナルルースに質問する。


「ところで、加護を与える薬を作ったのは、なぜじゃ?」

「それは重病の子供のためッス。何でも、急激に体が老いる病気みたいで、その子を助けてくれって、ホルスト伯爵に頼まれて作ったッス。我ながらいいできだと自負しているッス」


 エスタエーデル様に殴られていた。


「どうしてお前はいつも、後先考えずに行動するのじゃ!?まったく、もっと常識というものを教えておくんじゃった・・・」

「師匠よりは常識はあると思うッス」


 また殴られた。


 ただ、ここまで話を聞いて、ナルルースも他のハーフエルフたちも悪意はなかったと判断できる。


 一方のホルスト伯爵だが、こちらも完全自供していた。

 取調べに対して、開口一番こう言った。


「我が領民とハーフエルフたちを救ってくださるのなら正直に話します。どうかこの首一つでご勘弁いただけますでしょうか?」

「それは約束しよう」

「それでは、お話します・・・」


 ホルスト伯爵領はブロンベルク侯爵領に接していて、ブロンベルク侯爵領に街道を封鎖されると立ちいかなくなる。先代までは良好な関係を築いていたが、代替わりしてからは状況が一変する。

 不当な要求をされても呑まなくてはならない状況に陥った。最初はちょっとした非合法の依頼だった。それがどんどんとエスカレートした。元々住んでいたハーフエルフたちにも目を付けられ、排除するように指示された。


「ハーフエルフたちは代々我が領に貢献してくれていました。絶対にそんなことはできません。それでハーフエルフたちの優秀さを知ってもらおうと思い、ポーションや魔法薬をブロンベルク侯爵に献上したのです。今にして思えば、それが間違いでした・・・」


 しばらくして、ハーフエルフたちの有用性に気づいたブロンベルク侯爵からハーフエルフたちに毒薬を作らせて、その毒薬で暗殺を指示されたという。

 その対象者がグレーテルお嬢様だった。


「ハーフエルフたちにそんなことはさせられませんでした。だから、病気の子供がいると嘘をつき、加護を与えるということにして、薬を作ってもらったのです。ブロンベルク侯爵の目的は、グレーテル様を王太子妃候補から降りさせることだったので、納得してもらいました」


 王太子殿下が質問をする。


「それにしても、いつからこんなことをしているんだ?納品書を見る限り、本当に戦争を引き起こそうと思っているようだ」

「ちょうど王太子殿下とグレーテル様の婚約が発表された辺りから、急に注文が増えたのです。断ると何をされるか分からなかったので、仕方なくハーフエルフたちには、無理なことをさせてしまっていました」


 グレーテルお嬢様が言う。


「私たちを頼れば、よかったのでは?」


「流石にそれは・・・ブロンベルク侯爵には『我々は一連托生だ』と言われていましたからね」


 ★★★


 それから3日後、ポーションの受け取りに来た業者を拘束した。

 その業者は、ブロンベルク侯爵のお抱えの商会で、ブロンベルク侯爵の関与が疑われる証言も得られた。

 業者は驚きの発言をする。


「ブロンベルク侯爵領では、ポーションだけでなく、武器や防具も大量に仕入れています。何に使うかは・・・私どもには分かりません」


 王太子殿下が怒鳴る。


「そんなことが通用すると思っているのか!?どう見ても・・・」


 言い掛けたところで、護衛の騎士が血相を変えてやって来た。


「殿下!!緊急事態です。王都が襲撃されました。それも、ブロンベルク侯爵領軍に・・・」

「何だと!?」


 一同が騒然となった。


「父上は無事なのか?それに民たちは?」

「まだ正確な情報が掴めていません。申し訳ございません」


 グレーテルお嬢様が言う。


「一旦、我がアルトナー侯爵領に向かいましょう。そこで体制を立て直し、情報を集めるのです。もしもの時は・・・」


 王太子殿下が言う。


「その覚悟はできている。我が王となり、民を守る。皆の者、すまないが、助力を頼めるか?」


 この状況で、流石に無理とは言えない。

 俺たちは、反乱軍を討つために立ち上がるのだった。

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