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【連載版】異世界スプーンおじさん~世界を救う勇者  作者: 楊楊
第二章 領主編

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70 犯人捜し

 とうとうこの日がやって来た。

 グレーテルお嬢様の加護が解除できることになった。


 王太子殿下だけでなく、国王陛下、グレーテルお嬢様のご両親も来られている。

 グレーテルお嬢様大好き人間の護衛騎士アンヌさんは、朝から大泣きしている。


「本当によかった・・・やっとお嬢様の悲願が達成できるのですね。でも、今の可愛いお姿も今日で見納めになるのは、それはそれで悲しいです。しっかりと目に焼き付けねば・・・」


 俺はというと、「グレーテルお嬢様の加護が解除されたら、結論を出す」と言って、またまた、結論を先送りにしたのだが、それももう限界だ。でも、もし成功すれば、お祭り騒ぎになるから、もうしばらくは・・・でも、このお祭りムードに乗じて、結婚を迫られるパターンもあるかもしれないし・・・


 そんなことを思っていたら、加護の解除が始まる。

 場所は教会の一室だ。護衛騎士のアンヌさん以外は、誰も入れない。


「加護を解除すれば、元の大きさに戻る。そうなったら、皆の前で裸体を晒すことになるからのう」



 しばらくして、アンヌさんの叫ぶ声が聞こえてきた。


「お、お嬢様!!ああ・・・なんとお美しい!!」


 すぐに扉が開かれ、金髪縦ロールの二十歳前後の美少女が登場した。


「グレーテルでございます。この姿に戻れたことは、皆さんの支えがあったからです。心より感謝を申し上げます」


 エスタエーデル様の説明によると、精神年齢が元に戻り、年相応の言葉遣いに戻ったようだ。


 すぐに王太子殿下がグレーテルお嬢様に駆け寄る。


「グレーテル・・・奇跡だ・・・」

「殿下・・・ご心配をお掛けしました・・・」

「気にするな・・・このまま独り占めしたいが、まずはご両親に」


 グレーテルお嬢様のご両親も掛け寄る。

 周囲は感動の雰囲気に包まれた。


 国王陛下が言う。


「本当にめでたい、早速、婚礼の儀を執り行おう」


 誰もが賛成した。


 そんな中、エスタエーデル様が言った。


「感動ムードに水を差すようで悪いが、少し気になることがあってのう・・・グレーテルに加護を与えた者に心当たりがあるのじゃ。グレーテルよ、少し魔法を使ってみてくれ」


 どういうことだろうか?


 グレーテルお嬢様が言う。


「エスタエーデル様、私は魔法は使えないのです。昔は使えたのですが、それが使えなくなってしまって・・・」


「やはりな・・・まあよい。昔を思い出して、使ってみよ」


「分かりました。ウォーターボール」


 グレーテルお嬢様は、魔法で水の球を作り出した。


「魔法が使えるようになっています!!」


「間違いない。少し話をしたいことがある。人払いをしてくれ」



 ★★★


 別室において、エスタエーデル様が説明を始める。

 話を聞くことを許可されたのは、国王陛下と王太子殿下、グレーテルお嬢様のご両親、勇者である俺とカヨさんとショウタ君だけだった。


「この加護をグレーテルに与えたのは、恥ずかしながらわらわの弟子じゃ」


 一同が騒然となる。


「幼女の姿となった経緯を教えてくれ」


「分かりました。あれはある夜会に出席した時でした。飲み物を勧められ、飲んだのですが、しばらくして、意識が朦朧となったのです。その日は何もなかったのですが、次の日には幼女の姿に・・・そして、魔法も使えなくなりました」


 グレーテルお嬢様のご両親が言うには、グレーテルお嬢様は、かなり魔法が得意だったようだ。当時は知性もさることながら、魔法の能力でも王妃に一番相応しいとの評判だったという。


「この加護は特殊なのじゃ。前に精神年齢と肉体年齢を入れ替えると言ったが、完全にそれだけでは、加護が与えられなかったと見える。それを補うために持っていた魔力を犠牲にしたというわけじゃな」


 俺は疑問に思ったことを口にする。


「特殊なのは分かりましたが、なぜ、エスタエーデル様の弟子だと分かるのですか?」


「それは、魔力を犠牲にして、加護を与える方法を開発したのが、我が弟子なのじゃ。その弟子というのは、ナルルースというハーフエルフの娘じゃ」


 エスタエーデル様が続ける。


「不遇な環境のナルルースを不憫に思い、弟子にしたのじゃ。才能はあったのじゃが、素直すぎた。騙されやすいのじゃ。ナルルースと別れたのも、故郷で問題が起こって、それを解決するためということじゃった。すぐに帰ってくると言っておったが、もう10年以上帰ってこないのじゃ」


「エスタエーデル様も心配しているのですね?」


「そうじゃな・・・弟子が迷惑を掛けたことは、詫びる。じゃが、弟子がグレーテルを貶めようとするなど、考えられん。誰かがナルルースを利用しているのじゃと思う」


 国王陛下が言う。


「分かった。この件は国を上げて捜査することを約束する。まずは、事件の真相を明らかにすることだな」


 こうして、お祭りムードから一変して、犯人を捜すことになってしまった。

 明日には、本格的な捜査会議を開くという。


 こんな状況だと、俺の結婚話なんて、している場合ではない。


 まあ、結論を先延ばしにしているだけなんだけどな。

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