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【連載版】異世界スプーンおじさん~世界を救う勇者  作者: 楊楊
第二章 領主編

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69 ボルタウン

 カヨさんの案は、拠点をボルタ王女に管理してもらうというものだった。


「ボルタ王女は、サンドサーペント・・・失礼しました。砂竜の首を斬り落とし、とどめを刺しました。戦功一位と言っていいでしょう。それに拠点の開発にも尽力をされました。よって、この拠点をボルタ王女に管理してもらうのが、筋だと考えます」


「カヨ殿・・・」


 ボルタ王女は涙を浮かべている。


 ショウタ君が続く。


「冒険者ギルドとしても異論はないよ。ボルタ王女なら、冒険者のことも理解してくれるしね」


 商業ギルドのギルマスも続く。


「ボルタ王女とその騎士様方には、拠点の開発で大変お世話になりました。引き続き物資の輸送などに、ご協力いただけたらと思います」


 アイーシャ皇女も・・・


「いい観光地になりそうですから、私としては、帝国貴族に声を掛け、お金を落させるようにします。もちろん賛成です」


 グレーテルお嬢様が締める。


「シェーンブルグ王国としても異論はない。ところで、ケイスケはどうじゃ?」


「もちろん賛成です。ボルタ王女、よろしくお願いします」


 ボルタ王女が俺に抱き着いてきた。


「婿殿!!こんな素晴らしい贈り物をもらって、感動している。本当に愛されているのだと実感したぞ。このオアシスを世界一のオアシスにしてやるからな。それにカヨ殿にも礼を言う」


「そういうことは、後でやってくれ。まだ決めねばならんことがあるから、会議を続けるぞ」


 その後の細かい話も特にもめることはなかった。


 会議が終わった後にカヨさんとショウタ君が話しているのが聞こえてきた。


「カヨさん、上手くいったね」

「そうね。ショウタ君もありがとう」

「でも凄いな。ボルタ王女に恩を売る形で、ケイスケさんから遠ざけるんだから・・・」

「最近、ボルタ王女はケイスケさんにべったりだったからね」

「それにしても、ケイスケさんは・・・はっきりすればいいのにね」

「そういうところが、ケイスケさんがケイスケさんである所以よ。どうして、あんな人を好きになったのかしら・・・」


 ちょっと待て!!カヨさんは、本当に俺のことを好きなのか?

 こんなおっさんを?


 どうしたらいんだ?ここ10年近くは彼女もいなかったし・・・



 ★★★


 俺が選んだ答えは先送りだった。

 男らしくないと笑ってくれればいい。でも、どうしていいか分からないんだ。


 だから、オアシスの開発が一段落するまでは、結婚の話は保留にさせてもらっている。そのことを忘れるかのように俺は仕事に打ち込んだ。といっても、基礎工事だけど・・・


 ところで、グレテールお嬢様の加護については、まだ解除できていない。

 というのも、エスタエーデル様が言うには、加護を解除するには魔法薬が必要で、魔法薬を作るには、様々な素材が必要とのことだった。


「加護は解除してやる。じゃが、必要素材を集めるのには、苦労するぞ。まずは、世界樹の葉と世界樹の実、それから、ブラックワイバーンの爪、シェルドラゴンの甲羅、ブラックシープの毛、フェンリルの毛が必要じゃな。どれもすぐに集められる物ではないぞ」


 あれ?

 フェンリルの毛以外は、すべて手元にあるんじゃ・・・


 エスタエーデル様に伝える。


「なんじゃと!?」


「世界樹はこの町に生えていますし、ブラックシープもここにいます。ブラックワイバーンの爪は、ノーラちゃんの爪が生え変わった時にも貰いました。シェルドラゴンも討伐していますし、フェンリルは、獣王国に言えば持ってきてくれるでしょう」


「そ、そうか・・・では、フェンリルの毛が届き次第、魔法薬が作れるように準備をしておこう。それにしても、これらの素材をすぐに集めることができるとは・・・本当に規格外じゃな・・・」


 因みにフェンリルの毛については、獣王国もすぐに了承してくれた。



 そして今日、拠点として活用していたオアシスが正式にボルタウンとして、運用を開始した。町の名前はもちろん、ボルタ王女の名前を冠している。

 町開きには、獣王国の関係者だけでなく、ドワーフの国の関係者も来ることになった。もちろん、巨大な魔石を贈呈したお礼のためだ。


 そんな状況なので、バランスを取るために各国の代表者も呼ぶことになり、その受け入れで、かなり忙しかった。それもやっと、終わる。

 式典の後、ボルタ王女の父親である騎馬王国の国王から言われた。


「ケイスケ殿、ボルタのことをよろしく頼む。あんなじゃじゃ馬を乗りこなせるのは、ケイスケ殿以外におらんからな」

「そ、そうですか・・・はい・・・」


 ますます、逃げられない状況になってしまった。

 カヨさんが言う。


「そろそろ、結論を出す時期では?」


 どうしたらいいんだ?


 答えのだせないまま、今日も一日が終わった。

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