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【連載版】異世界スプーンおじさん~世界を救う勇者  作者: 楊楊
第二章 領主編

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68 砂の中の魔物 2

 俺は今、スキルで出した小さなスプーンをデザーフォックスに食べさせている。

 これは作戦で、デザートフォックスを食べたサンドサーペントの体内で、スプーンを巨大化させ、サンドサーペントごと引っ張り上げるためだ。


 ショウタ君が言う。


「そんなの無敵じゃん。チートすぎるよ」


 カヨさんも続く。


「そうですね。それに拷問なんかにも使えそうです。ただ、私たちはケイスケさんほど、形状変換や遠隔操作が得意じゃないからできませんけど」


 やろうとしているカヨさんが、少し怖い。


 カールさんが言う。


「全く領主様は規格外すぎるぜ。それと、あまりスプーンをデカくしすぎないでくれよ。折角、冒険者や騎士様を集めたんだ。一瞬で討伐されたら、凄い雰囲気になるぜ」


「そうですね・・・気をつけます」


 手順を確認したら、早速作戦を開始した。


 30分程待機したところで、急に目の前のデザートフォックスが砂の中に消えた。

 カールさんが叫ぶ。


「領主様!!来たぞ!!」

「分かりました!!」


 俺はスプーンを長槍くらいの大きさにして、空中に引っ張り上げた。

 スプーン越しだが、かなりの重量を感じた。感覚だと、サンドサーペントの中には3本のスプーンがある。

 しばらくして、巨大なヘビが姿を現した。3本のスプーンが突き刺さっている。


 カールさんが叫ぶ。


「セーラ!!」

「任せときな。特大爆裂魔法で仕留めてやる」


「魔道女子会」のメンバーが集団魔法を放つ。

 サンドサーペントの周りで大爆発が起きる。砂煙が収まり、確認するとまだサンドサーペントは生きていた。ただ、かなり弱っているように見える。


「領主様、どうする?」

「そうですね・・・ウズウズしている人たちがいるので、近接戦闘隊を投入しましょう」

「了解。おい!!近接戦闘隊!!突撃だ!!」


 大声を上げながら、近接戦闘隊が突進して行く。

 近接戦闘隊は、シェーンブルグ王国部隊、ティーラム帝国部隊、ドワーフ部隊、冒険者部隊の混成だ。因みに先頭を走っているのは、ボルタ王女とカヨさんだ。何とも言えない気持ちになる。


 俺はというと、サンドサーペントが砂に潜ろとするのを、頑張って防いでいた。

 目立たないけど、結構重要な役割だと思っている。

 戦況はというと、若干怪我人が出ているようだが、数に任せて圧倒している。


 そして決着の時が訪れる。

 ボルタ王女が、サンドサーペントの頭部を切り落とした。大歓声が上がる。


「やったぞ!!仕留めたぞ!!」

「こんな魔物を倒したなんて・・・自慢できるな」

「騎士として、戦いに参加できたことは、本当に名誉なことだ」


 みんな、嬉しさを爆発させている。

 ここでショウタ君が指示をする。


「おい、冒険者!!すぐに解体をするぞ!!解体を手伝ってくれた奴にはボーナスを出すぞ!!」


 冒険者は大喜びだった。


 その場で、ある程度の処理をした後に死体を持ち帰ることになった。サンドサーペントからは、今回も特大の魔石が採取できた。

 拠点となっているオアシスに戻ると大歓声で迎えられた。


 すぐにグレーテルお嬢様に報告する。


「よくやった。すぐに参加した者へ勲章を渡そう」


 式典が始まると王太子殿下がスピーチを始めた。


「貴殿らは皆、勇者だ。そしてドラゴンスレイヤーだ。勇気を持って()()を打ち倒したのだからな。王太子の名において、貴殿らに勲章と報奨金を授ける」


 グレーテルお嬢様がこっそり言ってくる。


「敢えてドラゴンということにしたのじゃ。どう見てもヘビじゃが、誰も見たこともない魔物じゃから、こっちがドラゴンと言い張れば、それで仕舞じゃ。それにシールドラゴンなんかは、どう見ても亀じゃしな」


 こういった政治的なセンスは、流石だと感心してしまう。

 俺なんて、スプーンを操作しただけだしな・・・



 ★★★


 サンドサーペントを討伐したからといって、めでたしめでたしで終わらないのが、辛いところだ。素材の分配や拠点をどうするかで、会議が開かれた。

 当然、アイーシャ皇女も同席している。


 グレーテルお嬢様が仕切る。


「まず、砂竜から採取した巨大な魔石じゃが・・・ここはドワーフの王に贈ろうと思っておるのじゃが・・・」


 これは、勇気を持って最前線で戦ったドワーフたちに敬意を表するためだ。それに魔石を渡せば、美味しいお酒のお返しをくれるという打算もある。また、帝国とシェーンブルグ王国とのもめごとを避ける意味もある。

 アイーシャ皇女が言う。


「帝国としては、砂竜の頭部をいただければ構いませんよ。頭部を皇帝陛下に献上すれば、さぞお喜びになるでしょう」


 帝国としては、名誉が何よりも大事だ。

 だから、討伐の一番の証明となる頭部を持ち帰ることで、面目が保てるし、参加した帝国騎士たちも、自慢できる。

 こういった交渉ができるようになり、アイーシャ皇女も逞しくなったと思う。以前なら、言いなりだったが、今では自分なりに考えて、行動できるようになっている。それに他国に対する配慮もできるしな。


「それでは、この拠点についてどうするかを決めたいと思うのじゃが、何か意見がある者はおるか?」


 カヨさんが手を挙げる。


「私に考えがあります。それは・・・」


 カヨさんの案には、一同が驚いていた。

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