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【連載版】異世界スプーンおじさん~世界を救う勇者  作者: 楊楊
第二章 領主編

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67 砂の中の魔物

 俺たちはすぐに会議を開いた。

 カールさんが言う。


「領主様の話を聞いて、気づいたことがあるんだ。俺が見たのは一度だけだが、他の冒険者の間では噂になっていることがあるんだ。砂漠の魔物が、一瞬で砂の中に消えるってな・・・」


 ショウタ君が、報告書の束を持ってくる。

 それを見ても、同様のことが記載されていた。現在、砂漠では、そこまで強い魔物は出ていない。気温が普通なら、ある程度経験を積んだ冒険者であれば、十分対処できる魔物ばかりだ。


 カールさんが言う。


「デザートフォックスの群れと遭遇した時なんだが、相手も俺たちに気付いて、襲って来ようとしたんだ。まあ、俺たちがデザートフォックスなんかに負けるはずがないと思って、迎え討とうとしたら・・・突然、群れが砂の中に消えたんだ・・・」


 カールさんは、嫌な予感がしたので、すぐに探索を打ち切って、帰還したという。


 カヨさんが質問する。


「砂の中で活動する魔物に心当たりは?」

「ないな・・・」


 全く未知の魔物か・・・

 カールさんは続ける。


「これは俺の推測だが、俺たちじゃなく、デザートフォックスを狙ったのは、俺たちを餌と認識しなかったからじゃないかと思う。もし、人間の味を覚えたら、俺たちが餌にされる可能性は十分にあるな」


 一同が青ざめる。対応策も思い浮かばず、意見も出ない状態が続く。

 そんな中、カヨさんは何やら作業を始めた。しばらくして、カヨさんが発言する。


「これを見てください。報告にあったデザートフォックスが砂の中に引き込まれる現象を地図に落としてみました」


 地図を確認する。


「何となくですが、生息地が分かるかと・・・」


「カヨさん、お手柄ですよ。これで探索範囲を絞ることができます。それに一般の冒険者には、この地区を立入禁止にしましょう」


 カールさんも続く。


「流石は奥様だ。これで探索もしやすくなる」


 カヨさんのお蔭で、探索する地区は限定されたが、問題はどうやって、討伐するかだな。その前にどんな魔物かを知りたいけど・・・


 ショウタ君が言う。


「こんなのはどうだい?釣りと同じ感じで、デザートフォックスを餌にするんだ」


 ショウタ君の案は、デザートフォックスを囮にして、魔物をおびき出すというものだった。


「デザートフォックスの捕獲依頼なら、低ランク冒険者でも受けられるしね。もちろん依頼料は、町のほうから出してくれるんだよね?」


「もちろんだよ。それにしても、強かになったね・・・」


 ★★★


 そこからは、魔物の情報を集めるとともに、冒険者総出で、デザートフォックスの捕獲を始める。討伐するだけならなんてことはない魔物だが、捕獲するとなると意外に骨が折れる。

 それは高ランクの冒険者になればなるほど、その傾向は強い。一撃で倒してしまうからな。


 それでも、3日もすると、かなりの数のデザートフォックスが集まった。

 いよいよ作戦開始となる。

 砂の中の魔物がよく出現する地点を中心にデザートフォックスを撒いていく。そこには、斥候部隊を配置し、砂の中の魔物が現れたらすぐに報告が来るような体制にしている。


 俺たちはというと、魔物が出現したらすぐに対応できるようにして、 部隊とともに待機だ。

 しばらくして、通信の魔道具に報告が入った。


「デザートフォックスが砂の中に引き込まれた。場所はB地点。かなりデカいヘビだ」


 すぐにB地点に向かう。

 発見した冒険者から詳しい状況を聞く。


「体長は10メートルくらい、ヘビのような魔物でした。あれに似た魔物は海にいるシーサーペントでしょうか・・・シーサーペントが砂漠にいるわけありませんし・・・」


 カールさんが言う。


「もしかしたら、サンドサーペントじゃないのか?俺も見たことはないが、砂の中を自由自在に泳ぎ回るらしい。伝説の魔物で砂竜とも呼ばれているんだ」


「カールさん、もっと詳しく教えてくれませんか?」


「俺も詳しいことは分からないが、体長から考えて、かなりの大物だろうな。それとシーサーペントとの戦い方が参考になるかもしれんな」


 そこからは、カールさんにシーサーペントの討伐要領を指導してもらった。


「まあ、釣りをすると思ってもらったらいい。水中に潜られたら、太刀打ちできないから、とにかく海面に引きずり出すんだ。そこを一気に魔法や弓なんかで畳みかける。ただ、今回の作戦に応用できるかは分からないがな」


 俺は少し考えて言った。


「多分、できると思います。それに一度砂の上に出してしまえば、シーサーペントよりも討伐しやすいかもしれません。何たって、ここは陸ですからね」


 俺は、みんなに作戦を伝えた。

 一同が驚愕している。


 カヨさんが言う。


「これなら、暗殺し放題ですね・・・」


 そうだよな・・・だから今まで黙っていたんだけどな。

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