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【連載版】異世界スプーンおじさん~世界を救う勇者  作者: 楊楊
第二章 領主編

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66 砂漠のオアシス

 探索隊には、俺とカヨさんとショウタ君、ベテランパーティーの「疾風団」、「魔道女子会」に加えて、帝国騎士団の有志、そしてなんとボルタ王女も加わることになった。


「ボルタ王女、かなり危険な任務になりますよ。場合によっては命の保証も・・・」

「婿殿!!危険や困難を共にするのが、夫婦ではないか?それにカヨ殿も参加されるのだから、私が行かないわけには、行かないぞ」

「分かりました・・・」


 渋々、ボルタ王女の同行を認めたのだが、すぐにボルタ王女を連れて来てよかったと思ってしまった。

 というのも、ボルタ王女は暑さや環境変化に強い騎獣を多く連れて来ていた。

 その騎獣はキャメールというラクダに似た騎獣だった。


「騎馬王国にも乾燥地帯はある。そう思って、キャメールを連れて来たのだ」

「ありがとうございます。何とお礼を言ってよいか・・・」

「気にすることはない。夫を支えるのが妻だからな」


 ボルタ王女は嬉しそうだし、ボルタ王女のお付きの騎士たちも喜んでいる。

 というか、ここまで来たら、結婚するしかない気がしてきた。カヨさんを見ると深いため息をついていた。


 1日砂漠を奥に進んだところで、カイルさんが大声を上げた。


「領主様!!大発見だ。水があるぞ!!」


 カイルさんの案内で、急いでその場所に向かう。


「これって・・・」


 カヨさんが言う。


「前の世界で言う、オアシスですね・・・」



 ★★★


 オアシスは十分な水源があり、前の世界によく似たトロピカルなフルーツも多く生えていた。それになにより、気温が快適だ。

 カイルさんが言う。


「ここを見つけただけでも、かなり凄いことだぞ。だってここのフルーツを売るだけでも、かなり儲かるだろ?」

「それはそうですね。それに観光地にしてもいいかもしれません。貴族なんかは、こぞってやって来ると思いますよ。ですが・・・」

「そうだな・・・エリアボスがな・・・」


 そうなのだ。

 エリアボスを討伐しないかぎりは、そんなのは絵に描いた餅だ。誰が好き好んで、ヤバい魔物がいる場所に来たいと思うだろうか?


「でも、軍事拠点としては最高です。探索もそうですが、ここに拠点を築けば、作戦の幅も広がりますよね」


 ショウタ君が言う。


「そうだね。ここを拠点にしたら、多くの物資が備蓄できるし、人も集められる。しかもこの距離なら、低ランクの冒険者でも来るだけなら、なんとかなるな。冒険者ギルドの出張所を作ってもいいかもしれない」

「そうだね。それにしてもショウタ君は、支部長っぽくなったよね」

「まあ、これでも支部長だしな。責任もあるし」


 ショウタ君は少し照れていたが、嬉しそうだった。

 俺もカヨさんもそうだが、ショウタ君も成長している。スキルや戦闘力だけでなく、人間的にも。



 ★★★


 そこからは、対応が早かった。

 冒険者だけでなく、ドワーフや職人たちも大勢やって来た。拠点の開発のためだ。急ピッチで工事が進む中、俺はまたまた土木作業員に戻ってしまった。今日もせっせと基礎工事を行う。


 また、酒造りの職人もやって来た。


「このフルーツで、果実酒を作れば大儲けできますよ。マナミ様にも報告しないといけませんね」


 もう既に新たな産業も生まれつつある。

 その中で、一番活躍していたのは、ボルタ王女とその騎士たちだった。勇者の町からオアシスに向かう冒険者や商人、職人たちの護衛や荷運びを担ってくれた。これには、多くの者が感謝する。


「本当に有難い」

「ああ、領主様の奥様はできた方だ」


 ますます、婚約解消しづらくなってしまった。


 1週間もすると、拠点に主要な施設が完成する。

 冒険者ギルドと商業ギルドの出張所の他にも、貴族用の宿泊施設も完成する。すぐにグレーテルお嬢様と王太子殿下がやって来た。


わらわのためにやってくれておるのに、わらわたちだけが、安全な場所で待つのは、心苦しい。せめて、現場で苦楽を共にしたいのじゃ」

「我も同じだ。上に立つ者として、当然だ」


 こういうところが、グレーテルお嬢様が慕われる要因だと思う。


 そして、驚きの人物も・・・


「なかなかの出来じゃな・・・ケイスケよ、困難に立ち向かう者には、祝福が与えられるのじゃ」


 エスタエーデル様だった。

 カヨさんが小声で言う。


「もしかして、このオアシスは・・・」

「そうかもしれませんが、知らないフリをしておきましょう」


 どう考えてもこのオアシスは不自然だ。

 カイルさんたちだって、この場所は何度も探索したはずだ。多分俺たちが最初に探索した時も、この場所には来たことがある。その時は、ただの砂漠でオアシスなんて、影も形もなかった。

 となると、誰かが作ったとしか思えない。それができるのは・・・


 まあ、考えたところで分からないし、エスタエーデル様に聞いたところで、教えてくれないだろう。それに気分を損ねられて、オアシスを消滅させられても困るから、知らないフリをすることにした。


 ただ、お礼はしないといけないな。


「エスタエーデル様、実はここで採れるフルーツは絶品で、フルーツの盛り合わせを用意しているのです。それにそのフルーツで作ったシャーベットもありますからね」

「ケイスケよ。気が利くな・・・少し、予言をしてやろう。砂の中には、十分に気を付けよ。《《砂の中》》にはな」

「ありがとうございます」


 曖昧に笑い、お礼を言う。

 多分、エリアボスのことを言っているのだろう。


 俺たちは、すぐに会議を開くことにした。

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