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【連載版】異世界スプーンおじさん~世界を救う勇者  作者: 楊楊
第二章 領主編

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63 ハイエルフの姫

 その日、驚きの人物が領主館を訪ねてきた。

 エルフの少女だったのだが、見覚えがないし、勇者の町に住んでいるエルフに確認しても、知らない子だという。

 それになんか偉そうだ。


「お主がこの町の代表者か?」

「一応、議長だよ。シェーンブルグ王国では領主だけど、ちょっと町の統治体制が複雑でね」

「そうか。だったらなぜ、火山や氷山、砂漠に進まないのじゃ?」

「それはね。人が住める環境にないからだよ」

「住む、住まないの問題ではない!!困難に立ち向かうことこそが、人生なのじゃ!!特に短命種の寿命は短い。命の炎を燃やし、未開の大地へ踏み出すのじゃ!!」


 何か、怒らせるようなことを言ったのだろうか?

 それに言っていることが意味不明だ。


 一緒に応対してくれたカヨさんも困惑している。

 追い返そうと思ったが、偉い人の娘とかだったら、厄介だ。グレーテルお嬢様のパターンもあるしな。


「えっと・・・お嬢さんは、お父さんとかお母さんとかはいるのかな?もしかして、冒険者になりたいの?」

「貴様は、わらわが誰か知らんのか!!それに子供扱いをするでない。こう見えて、3000年は生きておるのじゃ」


 また怒らせてしまった。

 エルフは長命種だが、3000年は生きられない。一体どういうことだろうか?


 カヨさんが言う。


「もしかしたら、家出かも?族長のエルノールさんに確認してもらったらどうでしょうか?」


 またまた、エルフの少女が怒り出した。


わらわは家出などしておらん!!」

「ご、ごめんね・・・お菓子でも食べる?この町の食べ物は美味しいのよ。お姉ちゃんと一緒にどう?」

「どうしてもというのなら、食べてやらんこともない」


 カヨさんがエルフの少女を連れ出した。

 俺は、通信の魔道具を使って、エルノールさんと連絡を取った。


「・・・そういう状況なんです。迷子か家出かも?と思いまして・・・」

「ちょっと待ってください!!お名前は確認しましたか?」

「いえ・・・まだです」

「もしかしたら・・・私もすぐにそちらに向かいます」


 エルノールさんから、説明を聞いて、びっくりした。

 そんな伝説の存在が、なぜここに?


 すぐにカヨさんとエルフの少女の所へ向かった。

 二人は、打ち解けているようだった。


「ほう・・・世界樹があるのか?」

「そうよ。エルフたちが頑張って育てているのよ」

「では、そちらも見せてもらおうかのう」


 カヨさんが、俺に許可を求めてくる。


「見てもらいましょう。問題ありませんよ」


 世界樹の場所に行くとエルフがいつもどおり作業をしていた。

 エルフの少女が声を掛ける。


「うむ。皆の者、しっかりと世話をするがよい。一日一日の積み重ねが、大事なのじゃ」


 偉そうな少女の態度にエルフたちも困惑している。


「ところで、お嬢さんのお名前を教えてくれるかな?」

「仕方がないのう。聞いて驚くな。わらわはエスタエーデルじゃ」


 エスタエーデル!!


 その名は、エルノールさんから聞いた伝説のハイエルフの姫の名前だった。

 以前にエルノールさんは、「グレーテルお嬢様の呪いを解けるのは、ハイエルフの姫くらいしかいない」と言っていた。


 となると、この少女をグレーテルお嬢様がここにやって来るまで、留め置く必要がある。それにご機嫌も取らないとな。


「お嬢様、今までの非礼お詫びします。この後は神獣様をご覧になられてはいかがでしょうか?」

「お主は、わらわの名を知っておったか・・・有名人はつらいのう・・・まあよい。神獣とやらを見てやろう」


 俺の態度が180度変わったことで、カヨさんが不審に思って質問してくる。

 こっそりと事情を説明する。


「だったら、町を上げて歓迎しないといけませんね」



 ★★★


 エルフの少女がブラックシープと戯れている間に、俺はグレーテルお嬢様に連絡を取った。


「なんじゃと!?すぐにそちらに参る。絶対に逃がすなよ」

「はい。何とか努力してみます」


 俺がエルフの少女の所に戻ると、エルフの少女は遊び疲れたようだった。


わらわは満足じゃ。そういえば、腹が減ったのう・・・」

「もちろん、お食事も用意していますよ。高級店ではありませんが、味は保証します」


 エルフの少女を案内したのは、パメラさんの店だった。

 ショウタ君を通じて、話は通しているので、いつもよりも豪華な料理がならんだ。エルフの少女は美味しそうに食べている。


「久しぶりに人族の料理を食べたが、味が進化しておるな」

「ありがとうございます。1日では、食べきれませんので、しばらく滞在してはどうでしょうか?」

「そうじゃのう・・・まあ、少しなら滞在してもよいじゃろう。こう見えてもわらわは忙しいからのう」


 何とか、しばらく滞在してくれることで話はついた。


 次の日も同じように町の観光案内をした。

 担当はカヨさんで、飽きさせない用に工夫している。明日はボルタ王女に頼んで、遠乗りを楽しんでもらう予定だ。


 とにかく早く、グレーテルお嬢様やエルノールさんが来てくれたらいいんだけどな・・・

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